いつだって君がいる

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 山本直市郎

解説 真夜さんの9thアルバム『seasons』の6曲目に収録。遠くにある人を想う歌で、時節が「桜舞う季節」であることもどこか「泣けちゃうほどせつないけど」を彷彿とさせる。またこの曲は元々、上原多香子さんに楽曲提供されたものを、同アルバムにてセルフ・カバーしたものである。

 実の所、主人公と「君」の関係ははっきりしない。恋人同士か、友人同士か、果てまた身内同士と取れなくもない。
 歌詞中で主人公は何度も「会えなくても」と繰り返し、「あの頃」があって、「東へ西へ歩いてく 小さなトランクひとつ 夢の地図と思い出を いっぱい詰めて」生きているのだから恐らくは卒業をきっかけに故郷を離れることで「君」とも距離を置くこととなったのだろう。
 「何かを選んだら 何かを失っちゃう 不器用な自分に 悲しくなるよ」ともあるから、どこかに断腸の想いを伴った一大決心もあったことだろう。

 だが、この曲のタイトルは「いつだって君がいる」である。「届いた絵はがきに “またね”と“ピースサイン” あの頃と変わらない 君からのメッセージ」の歌詞を皮切りに、「夢」「思い出」「同じ夜空」「笑顔」、といった数々の言葉を合言葉に距離があっても、直に見えずとも(恐らくは心の中に)「いつだって君がいる」と言い切る想いの強さこそが、故郷を離れ、夢に向かって東奔西走するエネルギー源たるであろうことが穏やかでも見事に歌い上げられている。

 物事には両面性があるが、「いつだって君がいる」との連呼は主人公の強さを表すものであることに間違いないが、同時に弱さを示すものであることもまた間違いない。
 「不安な夜 に負けないように」「いつだって 笑顔でいたいから」も、一緒に居られないからこそ、台詞に出さずにはいられないとのこともあろう。
 とかく新たな出会いと別れを迎え易い「桜舞う季節」だからこそ、「もう一度夢を乗せて」との決意を新たにすることの大切さを教えてくれる曲でもある、とダンエモンは見ている。


真夜の間へ戻る

平成二四(2012)年一月八日 最終更新