いつかきっと

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 建部聡志
解説 岡本真夜さんの6thマキシシングル曲で、ミニアルバムW o n de rf ul C o l o r sの2曲目に収録されているこの曲はウォルト・ディズニー映画『チキン・リトル』日本語吹替版エンディングテーマ曲でもある。
 子供向き映画のエンディングを意識してか、未来の夢に向かっての意欲的な姿勢が何処かあどけない。

 歌詞のコアは「鳴り止まない思い」という理屈抜きに自らを突き動かす衝動にも似た夢への熱い想いと、その苦難の途次に在って、「君」を想う気持ちが支えとなる事を訴えている点である。
 「好きな気持ち」を抱いて、進み、その歩みと辿り着いた所にある未来こそが「Beautiful day」であるのは明白だが、それを単純なぐらいに高らかに歌い上げている様が何とも心地いい。

 ダンエモンが個人的に好きなのは「世界中 そっぽ向いても 独りぼっちになっても 君を好きな気持ち 変わらない」で、歌手は異なるのだが、大黒摩季さんの「friendship」の一節が彷彿とさせられる。
 現実には「世界中」どころか、社内の一部署、町村の寄り合い、学生の学級や部活レベルでも孤立は怖いものが有り(何とも思わないとしたら、苦痛もないかもしれないが、その社会にいる意味もない、という事でもある)、そんなリスクを省みずに誰かを愛する事は口で言うほど生易しくない。そしてそれ故にそこに迷いを見せない直向きさが何とも微笑ましい。

 年を取るにつれて可能性は少しずつ消えて行き、「夢」という言葉が形骸化し、時に「夢」を語ると−内容にもよるが−嘲笑の的となる事さえ珍しくはない(仮にそれを相手や周囲が目の前に見せなかったとしてもである)。だが、「夢」の価値は各々異なり、「鳴り止まない思い」に年は関係ない。
 道場主もこの道場を立ち上げて2、3年はズタボロの日々だったが、『菜根譚』の教え通りに不運の中の幸運、幸運の中の不運を見てきた故にギリギリで自分を見失わず、ささやかではありながらも見ず知らずの人がこの道場にも徐々に注目するようになり、彼女、昇給、新たな交友といったものを得、相対的な不運の中にも喜びを見出せてこれたからと思っているが、その想いに近いのは「単純なのさ 君の一言で 奇跡 起こせそう」の歌詞かもしれない。
 少なくとも「奇跡」でも「夢」を追わねば、(現時点で達成していないにしても)今の自分よりも何百倍もつまらない人間に落ちぶれていたのは間違いない。

 「いつか Beautiful day! 君と Beautiful day!」のダンエモンにとっての「君」は再び視界から遠ざかったが、闇に消えたとは思っていない。
 「いつか」と思い、それが何時なのかは分からなくても追わずにいられない「この胸に 鳴り止まない思い」を今後も「jingle!jingle!」と慣らし続けたい気持ちを絶やさず生きていきたいものである。


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