14時間遅れの誕生日

         作詞 麻生圭子 作曲 池毅 編曲 戸塚修
解説 椎名恵さんのフォースアルバム『29〜Twenty nine ダブルコンチェルト』の9曲目にして究極の曲である(←「下らん!!」by道場主)。ダンエモンにとっても大変大好きな曲である。
 この曲は上っ面だけを見ると滑稽である。冒頭の「着陸告げるパーサーの声乗客は誰も時計を見る 14時間の昨日が戻る この国ではまだ 私は29」を考察すると後で「摩天楼」「強烈な南部訛り」といった歌詞が出てくる事から舞台はアメリカ合衆国だろう。そして主人公は30歳の誕生日の前日に日付変更線を越えてやって来たのだろう。日本からアメリカは例えば成田からサンフランシスコの所要時間は空路で約11時間である。米国に着く頃は日本は誕生日に達している事だろう。ここだけを見て、この曲が『29〜Twenty nine ダブルコンチェルト』というタイトルのアルバムに収録されていてことを考えると椎名さん、そんなに三十路になるのが恐かったのですか?かと言いたくなる(笑)。
 勿論上記は真意ではない。主人公は「区切り」の時として30歳となるこの日を重んじているが、「何も変わらないわ そうよ 要は生き方ね 年は関係ない」としているのである。この部分を歌う時、ダンエモンは思いっきり力が入る(笑&自己陶酔)。
 この曲の歌詞は言い換えれば区切りの年齢と供に想い出の整理として普段とは観る物も聴く物も異なる世界を疾走したくなって、衝動のままに動いて自分らしく生きることを満喫し、決意を新たにしているのであって、その生き様はなんとも心地いい。「強烈な南部訛りで 話掛け」てくる「人のいいDriver」「タイムマシンに乗るため」なんて「ジョークではぐらかした」所もご愛嬌と言える。
 「最後の恋をすませたなんて 思ってないもの」という歌詞から誕生日の直前に一つの恋の終りがあったようだが、主人公に痛みはあっても後悔はあるまい。「一人生きてく孤独も含め 私は今日まで 悔やんでないわ」という歌詞に不思議と虚勢を感じない。ワガママでも好き勝手でもない、一人の人間として一人の女として信念と決意に則っての椎名版唯我独尊である。もはや誰も彼女を止められない、という雰囲気の魅力を湛えている。
 恐らく主人公は40になっても50になっても60になっても「要は生き方ね 年は関係ない」「これからだから Happy Birthday」と迷いなく歌えるだろう。強がりではなく、信念から出る台詞だから。
 ファンの方々からカミソリを送られる事を覚悟で触れるが、椎名さんよりはるかに若い大黒摩季さんのほうが年齢を気にしており、ファンに「今恋していますか?」とか、「結婚はまだですか?」と聞かれても平然と笑って対応していた(1999年12月24日現在)。椎名さんは本当に年齢を恐れていないのである(笑)。


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