かけがえない人よ

         作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 建部聡志
解説 岡本真夜さんのフィフス・マキシシングル曲で、7thアルバム『再会〜君に綴る〜』のトリである10曲目、ベストアルバム『My Favorites』の6曲目に収録。
 似たタイトルの曲に「愛しい人よ〜Remenber me〜」があるが、この曲がタイトルでもある「かけがえない人よ」としているのはずばり2000年11月3日に産声を上げた真夜さんの長男であろう。
 勿論「かけがえない」対象とは世の中に多々あり、対象を夫や彼氏にできなくもないが、母性愛に溢れる歌詞の慈しみ、諭す様な表現が、その対象として我が子が最もしっくり来る、との確信を与えてくれる。
 「いっぱい涙しよう いっぱい喧嘩しよう 隠し事はやめようね」や、それに続く「ちゃんと 言葉にしよう ちゃんとね 謝ろう にげることもやめようね」は世の親が我が子を躾る際に基本とする事柄でもある。
 そして注目すべきは主人公が「あなた」に様々な事を与えよう、残そう、としていることである。  前者は「沈んだ表情に"うた"を ケガには"おまじない"を 頑張った勇気に"やさしいhug"を あなたに"I love you"を」に歌われる慈しみと褒美であり、後者は「いつか あなたが」で始まる二つの部位がその最たるもので、「懐かしく思う時」や「勇気となる思い出」を「残してあげたい」と願う心は打算も欲望もないただただ純粋に相手の将来を想う愛情に溢れているのが秀逸でありながら、非常に自然でもある。
 最後に触れておきたいのは一番最後の歌詞、「私がいなくても たとえば いなくなっても "自分らしさ"忘れないで」である。一見、縁起悪く思えるこの歌詞もの立場に立てば納得が行く。つまりは親より先に死んではいけない、そしてそうある以上はいつか親がなくても強く生きる為に最も大切な「"自分らしさ"」 を重んじて欲しいという想いだろう。自分自身を見失わないこととは想像以上に重要であることを道場主も経験上実感している。
 真に我が子を思えばこそ、縁起でもないことにまで触れている点は真、注目されて然るべき事柄である。


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平成二三(2011)年三月八日 最終更新