彼に片思い

         作詞 椎名恵 作曲 羽場仁志 編曲 戸塚修
解説 椎名恵さんの8thアルバム『Because of the rain』の4曲目に収録。日常生活の一コマで顔を合わせる男性に対して、タイトル通りに「彼に片思い」する曲である。
 身も蓋もない結論をいきなり持ってくるが、主人公の「片思い」「彼」「彼女」がいたことで「始まらずに終わる恋」という結果で終わった。道場主ならここで良く言えば怯むことなくアタックする。悪く言えば?それはもちろん……ぐぇえええ!!(注:道場主のアルゼンチン・バックブリーカー炸裂中)
 (杖代わりに槍にすがりながら)ウググ…内輪もめは置いといて、主人公の日常に舞台が設定されたこの歌の曲調は失恋で終わる歌にしてはライトなリズムで綴られている。
 「いつもと同じように」「もう5分だけ早起きなさい」という歌詞から日常の偶然にかなり依存していることがわかる。そして主人公の立場は学生ともOLとも取れるのも特徴だ。立場に汎用性がある。
 しかし思うのだが、通学或いは通勤途上で顔を合わせるだけの関係手での告白は相当勇気がいると思う。道場主は何回かクラスメートという中の女性に惚れた事があるわけだが、日常的に会話がある仲か、只のクラスメートで互いに顔は知っていても会話したことない相手かで、告白への勇気は質・量ともに大きなものを必要とした。
 ましてこの曲の主人公は「挨拶ぐらいなら」というレベルに頭を悩ましている。「おかしいわね恋は初めてじゃないのに」とあるが、「初めて」の接触はそりゃ、勇気がいるだろう。この世に同じ人間は二人とはいないのだから。やはり恋に限らず「初めて」に挑む勇気は尊い物がある(笑)。
 また「胸がキュンとする」「早く明日になればいいなんて 思う帰り道」はどこか少女チックで、「一人じゃないと気づいた とてもやさしそうな顔で そっと肩に手をかけてる」姿に衝撃を覚えている姿もどこかあどけなさを感じる。道場主なんて告白前にいきなりラブホテルから出てくる想い人とその彼氏を見てしまったのだからなあ…。主人公の気持ちは過剰に理解してしまう(苦笑)。
 個人的に注目したいのは「こんな偶然 出来すぎてるわ 恋人はいないなんて 勝手に決めたのは私ね」「こんなものよとごまかした」である。似た経験があるからわかるのだが、物事は現状がわからずに希望を抱いている状態では最高と最悪を想定してしまう。
 「彼」「彼女」がいると知った主人公がその後いかなる行動をとったかの記述はない。歌詞からの推測では諦めて引き下がる姿が思い浮かぶ。横恋慕が持つ罪深さを知るゆえにダンエモンには進めとも退けとも言えないが、吹っ切れたときの冷静な決意を大切にして欲しいと主人公に対して思うものである。


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