彼と彼と彼女と

         作詞 麻生圭子 作曲 山腰直彦 編曲 倉富義隆
解説 椎名恵さんのフォースアルバム『29〜Twenty nine ダブルコンチェルト』の6曲目に収録。同窓会を舞台にしている点が異彩を放つ興味深い曲である。
 同窓会にありがちな若き日の恋の思い出話に花を咲かせる様子が浮かんでくるが、「意外だわあなたが」「私も意外でしょ」「悲しい片想い少し悔やんでた」といった歌詞にはよくあるパターンと思いつつ「時の流れ」というものを考えさせられる。
 もっとも道場主は大学入学以前には恋は学外だったので、同窓会でこう言う話になる可能性はない。第一惚れた女は皆必ず告白したし。個人的には失敗に終わったとはいえ、同窓会でこういう想いに捕われるなら告白しておいたよかったと思う。やはり言えなかった想いというものは引き摺るものである事がよくわかる。
 まあ、歌詞から感じるのは世の中思い通りにならないものだという事だろうか?「I loved him He loved you 悲しい片想い少し悔やんでた」もよくあるパターンである。やはり「you」は女性だろう(いや、別に女性じゃなきゃいけないいわれはないんですが…)。恐らく後々の「今日の傷み 胸の中に皆 それぞれに 刻んでいくの きっと」とあるところを見れば「you」「彼」のことを意識しておらず、主人公も告白しなかったのだろう。椎名ソングを見てみるとどうも若き日の椎名さんは勝算のない告白はできなかったのでは?と思ってしまう。
 それでも「またねと再会を約束」と思えるのは何だかんだ言っても思い出とは大切なものであり、「変わっていくの 変えていけるの 明日のために」との信念があるからだろう。同窓会に参加した万人に「Destiny」=運命に負けるなとエールを送りたい。


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