カサブタ

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 西垣哲二&岡本真夜

解説 岡本真夜さんの10thアルバム『Close To You』の5曲目に収録。強がる自分の弱さを本当は気付いて欲しい、という想いと行動が矛盾した中にある本音を歌った一曲である。

 「喜怒哀楽」と言う人間の感情の中で、おおよそ「怒」と「哀」は感じずに済めばそれに越したことは無い。或いはそれを感じていても表面に出さないことが美徳とされることも少なくない。そしてそんな偽りの表情が根付きつつも、人間本音で自分自身を偽ることが出来ないのも自明の理である。
 冒頭の「知らず知らずのうちに 笑顔が上手になって また傷ついて」と言う歌詞はその実態を見事に短い歌詞で表現している。

 実際、「悲しみなんてきっと 通り雨ね 晴れ渡る空 見上げる 一人 止めどなく流れるこの涙を 今すぐ 誰かに見つけてほしい」「悲しみなんてきっと 通り過ぎてく その笑顔に愛はあるのだろうか 行き場のない想いを この涙を 本当は あなたに見つけてほしい」の歌詞を見れば、主人公が日々の悲しみや辛さに対して強がりつつも、本音では「あなた」に対して救いを求めているのは明白である。
 「強いフリ」でその場をしのいでも解決にはならず、心には確実に傷が残り、それでもそれを繰り返してしまう様を「カサブタ」の一言で表現したこの曲のタイトルネーミングは本当に見事だと思う。

 真夜さん自身、「大丈夫って言ってしまう」タイプらしい。スタッフの一人である女の子は同じ時に「大丈夫じゃない!」と言い切れる人らしく、真夜さんはそこに羨ましさを感じているらしい。
 人間なかなか真の感情を馬鹿正直に表情・言動に表せる時ばかりではいられない。だからこそ本当は「大丈夫」ではないのを見抜く−「本当は あなたに見つけてほしい」という気持ちに気付き得てこそ真に生涯の伴侶になれるのかもしれない、ということをこの一曲に教えられた。


 余談だが、アルバム『Close To You』を購入する前に、収録曲リストの中にあるこの「カサブタ」というタイトルを見た時、ダンエモンは思わず吹き出した。悪意があるのではない。「カサブタ」という単語がダンエモン=道場主にとって、過去に読んだ集英社少年ジャンプコミックス「新ジャングルの王者ターちゃん♡」第6巻139頁にあるネタとともに強烈な笑いの種となって脳裏に刻まれているからである(笑)。


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平成二三(2011)年七月四日 最終更新