風が吹いて季節が変わる

         作詞 椎名恵 作曲 池毅 編曲 戸塚修
解説 椎名恵さんのフィフス・アルバム『Dolce〜ドルチェ〜』の9曲目に収録。気軽さと軽やかなテンポに綴られたこの曲は主人公の求める変化の要因である。
 タイトルは「風が吹いて季節が変わる」とあるが、「風」とは季節風の事だろうか?風の到来と供に気候に変化が起きて四季が移り行くのは永久的な輪廻である。少なくとも我々が生まれて生きる20世紀、21世紀に関しては断言しても良かろう。つまりはそんな当たり前に来る物が当たり前にやって来て、当たり前に去るものが当たり前に去っていくかのように「忘れたい事は忘れればいい」「つらい事」「風に飛ば」してしまおう、と言い切る内容になっている。
 個人的に注目したいのは「そうね1年になるわ 前のあの恋が 終ってから」である。少々長く苦しんでいる気がするが、「1年」あれば当然春夏秋冬が一通り過ぎてはやってくる。恐らくはその変化の中に主人公は心に新鮮さを与えて自らを勇気付けてきたのだろう。そう考えると「昨日までとは違う 何もかもが色づく」「誰かの肩先が触れて woo 初めて気がついた うつむいてみると 見えないものね」といった歌詞が重みを帯びてくる。
 数ある椎名ソングの中にあってさほど目立つ曲ではないのだが、こうして解説のために歌詞を見直して見ると「そう、つらい事は 季節が変わって いつかは想い出になる」と歌詞から癒せない痛みが(完全という意味ではともかく)皆無である事に気づいた。椎名ファンとして読みの甘さは痛恨だが嬉しい誤算でもある。
 

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