風に吹かれて
風に吹かれて
解説 アルバム『STOP MOTION』の5曲目に収録されている曲である。この『STOP MOTION』に収録されている曲の中では「STOP MOTION〜alubum version〜」、「ふたり」に並んで大好きな曲の一つである。
この歌の歌詞で注目したいのは2箇所、一つは「た・だ・そ・ば・に・い・た・い」である。摩季ソングに限らず相手の側にいたい想いを歌った歌は多いが、この歌ではその歌詞の前にある、「約束も 未来も いらない」、「始まりも 終わりも いらない」、という時間の長短を超越せんとする歌詞がその気持ちを強調している。
同じ表現が「DA・KA・RA」の「過去より 未来より 一瞬が欲しい」という歌詞にも見られる。本当に相手の側にいるのが幸せなんだなあ、と感じさせてくれる。
もう一つは「「好き」と感じたら 友達さえ戻れない」という歌詞である。
「Return To My Love」、「うそつき」や「Everybody Groove」等にも友達に惚れる事によって、かつての関係には戻れない、All or Nothingの選択を迫られるリスクが同様に歌われている。
ダンエモンの様に全く女性に相手にされない男なら告白するにも「失うものなんて何もない。」と腹を括れるが(苦笑)、下手に仲がいいと、「失うもの」の恐怖に決断が鈍ることは想像に難くない。
軽やかな曲調と風の流れる様に綴られる歌詞と曲は穏やかさの中に芯の強さを持つ摩季ソングの一つの魅力を為している。例え叶わぬ思いに終わっても、花弁や綿帽子のような小さな存在であったとしても、ひっそりとでも愛する人の側にいたい気持ちは「熱くなれ」や「この闇を突き抜ける」とは違った強さの表れであり、派手さはなくても動かし難い意志の強さとしての魅力が漂う。
タイトルにも使われている「風」という存在を通じて、「風」の如き強さと軽やかさは後の「風になれ」にも活かされていると言えるだろう。
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