風に聞いた夕暮れ

         作詞 椎名恵 作曲 羽場仁志 編曲 戸塚修
解説 7thアルバム『VOLAGE』の8番目に収録されている。何回か前の失われた恋を懐かしみ、且つ惜しむ曲である。
 道場主は一人身が長いせいか、過去の恋を頻繁に振り返る。今となって一番感慨深いのはやはり初恋と、一番惜しいところまで行った(あくまで自己の中の比較に過ぎないが)恋である。この歌の歌詞には「私なら醒めた恋 繰り返してる」とあるが、余程印象深かったのだろう。
 椎名ソングには何気ない日常の幸せを噛み締める歌は少なくないが、「あの人がいて私がいたわ とても幸せだった」の歌詞は歌詞の位置からも曲の流れからもかなりの重みを感じさせる。
 主人公が過去の恋を振り返るのは恐らく季節の変わり目に懐かしい思い出に駆られたためだろう。「暮れてゆく空に 秋を見つける 想い出も残さず また季節は過ぎてく」「夏には必ず 訪ねたあの海」の歌詞からそう推測される。道場主は今、一部例外を除いて過去の恋に季節感がなかったことにほっとしている(苦笑)。この歌の主人公の様に季節の変化に悲しむこともないから(思い出にするだけのものがないという気もするが…)。
 別れて時間を経た人に思いを馳せる時、第一に思うのが「元気でいるかなあ?」である。「あの人のことを風に聞いてみた 恋人はいるの 幸せでいるの」には干渉のしようのないことを承知の上で気になる事象というものの存在を改めて感じさせられるものである。


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