君だけのStory

作詞  作曲 岡本真夜 編曲 十川ともじ

解説 岡本真夜さんのデビュー20周年記念アルバム『Mayo Okamoto 20th anniversary ALL TIME BEST〜みんなの頑張るを応援する』のトリとなる15曲目に収録。
 同アルバム収録曲はこの「君だけのStory」を除いてすべてリリース前に既存のCDに収録されていたり、2014年以前のライブで歌われていたりしていたので、純粋に2015年に初邂逅となったのはこの曲だけである。

 一言で言って、「グサリと来た曲」である。アルバムのサブタイトルにある「みんなの頑張るを応援する」の文言に相応しい曲なのだが、同時に甘えを許さず、本当に自分と向き合うことの大切さを伝えている、真の意味での「応援ソング」と言える。

 冒頭の「真っ白な地球儀 君の足で 花を咲かせよう 涙の跡には きっと 道ができているから」の歌詞は「TOMORROW」「Life」の歌詞を彷彿とさせ、真夜イズムの原点を感じさせる。

 そして、「何度だって やり直せる 今だと思った時 それがスタート」「誰も一人なんかじゃない ねぇ 泣いてもいいんだよ 弱さも受け止めて 次のステージへ」「君らしくいられる明日はあるから」「君にしかできないこと 必ずあるから」や「形は変わっても 大切なものは きっと ずっとね 君の中からは なくなったりしないよ」の歌詞には意志一つで何度も立ちあがれ、自分だけの大切なものが間違いなく存在するという勇気を与えてくれる。

 その一方で「描くだけじゃ 近づけない 夢んなて 自分から掴むものさ」「誰かのせいにしていた? 時代のせいにしていた? ほんとはわかってるんだ 変えるのは自分」と言った歌詞が、結局は自分から動かないと何も始まらない、解決しないことを訴えかけている。
 「この街は止まらない」を彷彿とさせる歌詞内容で、特に「誰かのせいにしていた? 時代のせいにしていた? ほんとはわかってるんだ 変えるのは自分」にはギクリとさせられた。恥ずかしながら、身に覚え有りまくりだから(苦笑)


 つまりは心強い意味でも、厳しい意味でも、根っこの問題は「自分」にあることをこの曲は凄く重視している。人生は正にこの曲のタイトルの如く「君だけのStory」ということが見事に歌い上げられている。
 確かに何かに依存する人生は「楽」ではあるが「つまらない」、「物足りない」と言える。何て言いつつも、ともすれば何かに依存したくなる自分がいるから、人間って弱いものである(苦笑)。

 実際、この曲に共感を覚えたり、目覚めさせられたりするということは、挫折とリトライを繰り返す人生を送っているからで、この解説を記している時点(平成27年8月22日現在)でダンエモンは6回目の就職活動中である
 年齢のせいか、キャリアのせいか、履歴書・職務経歴書の書き方が悪いのか、とにかく書類選考には100%落とされ、面接に漕ぎ付けられることすら稀である。そしてそんなとき、「誰かのせいにしてい」る、「時代のせいにしてい」る、「自分」に気付く。
 確かに、転職を繰り返している(つまりは付いた職で大成しなかった)ことも、再就職がままならないことも、財もなさず、所帯も持てていないこともその原因が「自分」にあることを「ほんとはわかってる」から、この「君だけのStory」には「痛い所を突かれた」とも思っているし、「いいタイミングで出逢えた」とも思っている。

 自分の不遇を何かのせいにすることは比較的簡単である。ただしそれは一時の独り善がりに浸って無理矢理自分を納得させている行為に過ぎない。
 どんな詐欺の天才でも自分自身を騙すことは出来ない。自分を騙せている「振り」をすることは出来るが、所詮「振り」でしかなく、本当の望みは自分から離れることはなし、何より抱えている問題は解決しない(苦笑)。
 そのことを経験と理屈の上ではダンエモンも知っていたから、敗北や失敗や挫折や喪失に対して「悔しくない振り」はせず、自分の感情とは常に正面から向き合ってきたが、「自分の問題点と正面から向き合ってきたか?」と問われれば、明らかに不足があると思う。
 この曲に何処まで学べ、どこまで学んだことを実践できるかはこれからの自分次第だが、それでも「Story」は誰かに作って貰うのではなく、自分の手で作るのだということは忘れないようにしようと思う。


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平成二七(2015)年九月三日 最終更新