君へ帰ろう

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 建部聡志
解説 岡本真夜さんのミニアルバムW o n de rf ul C o l o r sの第4曲目に収録。
 真夜さんらしいアットホーム感が得も言えぬ一曲である。

 この曲の歌詞が持つ特色は二つ。一つは歌詞に出てくる「君」が恋人にも家族にも取れる多様性である。主人公、「君」ともに性別・対人関係は固定されていないこのようなケースは明らかに結婚を経て真夜ソングに見られる事が出てきた一例でもある。
 それは真夜ソングで主人公が呼びかける相手が、彼氏、夫に加えて息子が出て来た事にある。もっとも、「12時回っても たわいのない話を 語り合おう」という歌詞から、幼子に語りかけたものと捕えるには少々無理があるが(苦笑)。
 ともあれ「誕生日でも 記念日でもない今日に 乾杯しよう」の歌詞にも表れているように、何気ない日常の一時の為に「黄昏」「夕日」を背にして帰宅する―恐らくは労働からの帰宅なのだろう―普通は家に帰るとところを「君へ帰ろう」とするところに派手さや熱さを含む歌詞がなくても温かさを胸に染み込ませてくれる様が秀逸である。

 もう一点の注目点は「いつでも いつでも」「ふたりで ふたりで」「このまま このまま」と所々で連呼を用いた歌詞である。
 表現的にも感情的にも決してくどくはないのだが、根底には幸せの日常よ永遠なれ、との気持ちが溢れまくっている。ダンエモン的には「何度も 何度も 君の名を呼ぶだろうこれからもずっと」が一押しである。

 派手さを持たないこの「君へ帰ろう」という曲は数ある真夜ソングの中にあって極端に目立つ事はないだろう。
 だが、だからこそ強烈な歌詞や熱さや色っぽさに依存せずとも心に根強く、温かさに溢れる心を見事に歌い表す一曲として注目し続けたいものである。

 

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