子供の国へ(セルフカバー)

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 Beingスタッフ

解説 大黒摩季さんの初のセルフカバー・アルバム『LUXURY 22-24pm』の9曲目に収録。 初出は4thシングル「別れましょう私から 消えましょうあなたから」のC/Wで、同アルバム収録曲の中では唯一のC/W曲。実際、ライブでもアルバム収録でもC/W曲が聴かれるのは極めて稀なので非常に貴重なものを感じるのはダンエモンだけではあるまい。


 「眠らせて Tonight 抱きしめて So Tight それだけでいい夢を見れるから」「眠らせて Tonight 抱きしめて So Tight 子猫のように叱ってもう一度」の歌詞に代表されるように、原曲がそれこそ「子供の国へ」帰り、甘える中に日々への癒しを求める曲調であるのに対し、このカバーでは歌詞とは裏腹に主因高の方が癒してくれそうな曲調である。


 つまりはそれだけ、摩季さんの唄い様に深みと落ち着きがあり、その雰囲気に心を委ねて聞き入ると、「忘れさせて Tonight 大人の痛みを もう 迷わないように」「忘れさせて Tonight 大人の痛みを ねぇ 子供の国へ…」の歌詞が、主人公が想い人である「君」に求めているものであり、同時に主人公が「君」に求められたいものであることが分かる。


 大人である以上、主婦・妊婦・病人・怪我人・老齢と言った例を別にするなら須く働かなくてはならない。いつまでも子供で居られないことを思い知らされる例は一つや二つではない。実際、セルフカバーによる老成もあるのだろうけれど、原曲に比して遙かに大人の声音で唄われている。だが、老成しつつも心の中に幼さや日常業務からの逃避とは異なる、純粋さを保つ砦としての「子供の国」というものが色濃く感じられる様が秀逸である。
 子供で居られずとも、童心を忘れずにはいられることを原曲以上にこのセルフカバーは知らしめてくれるものである。
 

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平成二一(2009)年四月一六日 最終更新