子供の国へ

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし


解説 4枚目のシングル「別れましょう私から 消えましょうあなたから」のC/W曲。一言で云って、安らぎ溢れる曲である。というか多忙な日常に安らぎを求める曲と云うべきだろう。

 歌詞から推察するに、主人公は電車で通勤するOLで、土日でも急用が入る多忙な仕事に就く彼氏と付き合っている様である。歌詞の「眠らせて Tonight 抱きしめて So Tight 子猫のように叱ってもう一度 忘れさせて Tonight 大人の痛みを もう 迷わないように」にあるように、会社勤めを初めとする日常の義務的な動きと世間のしがらみの中で疲れた体と心を引き摺って帰宅し、夜の眠りと休みの日の恋人との語らいに癒しを求める人も多いかと思われるが、独り者はどうすればいいのだろう(個人的愚痴)。

 ともあれ前述したように歌詞は多忙な彼に日々の癒しを求めつつも、多忙ゆえに叶わず、まどろみに似た淋しさの中に漂う感情が歌われている。
 そこで主人公の淋しさの核となっている歌詞を考察してみたところ、「悩みを吐き出しても 決めるのは自分だから 出来れば君といるときは 穏やかでいたいそう思うの」ではないかと思う。
 主人公は日常の辛い事も、世間のしがらみも結局は自分自身の手で解決すべき問題であることをちゃんと心得ているのである。

 そして彼氏に求める癒しも精神的なもの、悪く云えば気休めにしか過ぎない、それを承知の上で彼と一緒にいたいと歌う気持ちが、云い換えれば、解決にならなくても一緒にいることに幸福も見出せる本音に上手く触れていて秀逸である。

 さて、タイトルにも使われている「子供の国」だが、世間のしがらみや日常の義務から介抱された世界だけを比喩しているのだろうか?
 下品な表現をすると主人公達は大人であり、二人でいる時はする事もすると思われる。大人の付き合いの中で、赤裸々な心を持つだけで「子供の国」にいるとするのは早計な気がする。勿論他の要因を見極められないダンエモンがファンとして未熟と云われればそれまでだが…。

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令和四(2022)年六月一日現在 最終更新