作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 十川ともじ
解説 岡本真夜さんの5htミニアルバム『Love Stoy』のトップバッターとして収録。
タイトルにある「恋」が歌詞中において何度も連呼され、悪い云い方をすればかなり未練や執着の強い曲で、それは「今でも思い出す」や「また いつか 会える気がして」、「ずっと忘れない」、「ずっと想ってる」、「追いかけてる 恋」、「せめて夢の中でいい 会えるのなら」といった歌詞にくどいぐらいに現れている。
しかし、この歌は決して未練たらたらとこぼすだけの唄ではない。
「いつまでも手を繋いでいられると 思ってた 悲しい恋の終わりも知らずに」や「もう二度と恋はしない そう思ったあの日」と云った歌詞から推測するに、交際中には想像だにしていなかった悲しい終わり方をしたのだろう。
そして「愛してる 私 今でも あなたに恋してるの」や「あなただけ I love you」といった歌詞から別れの直後に誓ったようにそれ以来誰とも恋をしていないのだろう。
だが、「出会えてよかった 今は思えるの」や「もう泣かないよ 強くなるから」や「思い出すあなたは いつも笑ってる」といった歌詞から、気持ちの整理自体は付いているのだろう。そして様々な感情の奔流に曝された日々を乗り越えて、「今日も空を見上げています」として、「あなた」に「今日も空を 見上げていますか?」と呼び掛け、「また いつか 会える気がして」として今も「あなた」との「恋」に意欲を示している一途さが心地いい。
執着の強さに反して、この歌の曲調は極めて穏やかである。「恋に敗れた際の特効薬は次の恋である。」とはよく云われることだが、この曲の主人公は激しさや勢いはなくても辛抱強く待ち続けるような芯の強さで「あなた」だけを想い、「追いかけてる」のだろう。
推測するに、「名前を呼んで 「どこも行くな」って 抱きしめて 涙 拭って」とあることから、最初に惚れたのは「あなた」の方でありながら、「あなた」の方から別れを切り出し、その時には主人公には不動の愛情が根付いていたのだろう。
「サヨナラ」を初め、別れを謳った真夜ソングはごまんとあり、その中でも過去の恋を悔んだり、懐かしんだり、惜しんだりする曲も、「元気でいますか」、「サヨナラなんて言えないから」、「想い出にできなくて」、「One Room」、「Destiny」と数多く、同じアルバム『Love Stoy』収録曲にもこの曲と並んで「always love you 〜恋しくて〜」が挙げられる。
謂わば、真夜ソングによくある一曲と云えるのだが、それ等の曲の多くが感情を大きく起伏させる曲調を持つ中、前述した様にこの曲は凄く穏やかで、だからこそ静かな強さを教えてくれている気がするのである。
真夜の間へ戻る 令和五(2023)年一月九日 最終更新