恋人以上

作詞椎名恵
作曲椎名恵
編曲戸塚修

解説 椎名恵さんの7thアルバム『VOLAGE』の7曲目に収録。人間関係、殊に恋人同志を含めた男女の仲の難しさを教えてくれる曲である。

 「友達以上、恋人未満」という男女関係は良くあるが、この曲のタイトル及び歌詞は「恋人以上」と歌っている。かといって夫婦というわけじゃない(笑)。解説を続けると、外見は「とてもいい友達」でありながら、「どんなことでも話せる」「繕うことは何もない」という点において「恋人以上」なのである。
 確かに、親子・師弟・夫婦・恋人同志だからこそ言えない事はある。ダンエモンも一番腹を割れるのは非常任師範代を始めとする同性の親友達である。しかしながらこの曲の主人公と「あなた」は異性同志で、更に主人公は「あなたを本当は好きだなんて 私からは言えないの」とあるところに男女関係の一筋縄ではいかざる複雑さと皮肉がある。

 この曲をと対比させるなら椎名ソングでは、「ともだち」という曲が適任である。
 また大黒摩季さんの曲と対比するといいかもしれない。
 摩季ソングには本当は愛しているが、友達関係でそこそこ上手くいっていて、いざと言う時に後戻りできないリスクを恐れて友達と恋人の間の立場で彷徨よう女心が良く書かれているから。

 特に皮肉が現れているのは「電話を切った後で あたらしい ドレスを着る自分」という歌詞でいみじくも主人公自身がその姿を「可笑しいわ」と言っている。それに次ぐのが「そばに居て欲しいなら 居るけど 一人になりたいなら 帰るわね」だろうか?

 最後に注目したい歌詞は二つ、「私からは言えないの」「少し寂しいけどずっとこのままが 一番いい関係ね」である。
 つまり主人公は「あなた」から求められれば嬉々として応じるのである。だが「とてもいい友達」である「恋人以上」という関係を壊すリスクを冒してまで想いを遂げる気はない。
 単純に考えて、二人が一緒になるためには「あなた」「彼女」に破局というプロセスが必要なのだが、「彼女と何かあった」事に辛そうにしている「あなた」「私まで哀しくなる」ような女性である主人公には、例えプロセスであっても愛する人の不幸は望めないのだろう。
 横恋慕野郎のダンエモンには何とも耳の痛い歌である(苦笑)。


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平成三一(2019)年二月二三日 最終更新