恋の悪魔 〜She's no Angel〜

作詞 シライシ紗トリ 作曲 シライシ紗トリ 編曲 河野圭

解説 大黒摩季さんの10thマキシシングル「コレデイイノ?!」のC/W曲。ところでこの曲は摩季さんの曲なのか?それともカバーなのか?
 編曲担当の河野圭氏は宇多田ヒカルさんの楽曲アレンジで有名らしいことはネットでチョット調べただけですぐ分かったのだが、単に作詞・作曲に摩季さんが携わっていないことが実際に歌を聴いても「そうだよなぁ……。」と思ってしまう曲である(それに対する賛否は人それぞれなのだろうが)。

 タイトルの「恋の悪魔」からして物騒なものを感じさせるこの曲は「悪魔に魂を売って」だの、「乱れてもいい」だのといった一種の危険さを秘めた歌詞が散見されるわけだが、そこまでして求めるのは単純な「シアワセ」ではなく、「もっと触れてみて」「もっと抱きよせて」に表れている更なる接近=愛の深まりだろう。
 その点、不変を肯定しているようで実は変化を求めているA面の「コレデイイノ?!」と対照的な様で根は同一であるところが興味深い。

 とかくこの歌詞の主人公は「悪魔」ならぬ天邪鬼と言いたくなるほど腹を見せず、素直さが見えない。「誰かと同じは嫌だけど 誰かのモノは気になります」の歌詞などその筆頭だろう。
 他にも「ゲームなんかじゃない」「出会いは奇遇じゃない」「バーターなんかしない」「安定は偶然じゃない」と否定形を連発し、「悪魔に魂を売」ることへの肯定的側面を見せるのだから、本来なら唾棄すべき性根である。だが、最後の最後に「気づいてる? 本当の恋のマジック」が引っ掛かる。
 「マジック」は人の真理の盲点を突く事で成り立つ所業で、言葉悪く言えば騙しの側面もある。「悪魔に魂を売っ」たように見せかけて、上手く「悪魔」を出し抜き、最後に「素直な場所」に帰るのならそれはそれで痛快と思う。
 ただそう言い切るには今回の解説は的を得ている自信が丸でないのだが(苦笑)。


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平成一九(2007)年五月一五日 最終更新