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今夜はANGEL

作詞 Jim Steinman 作曲 Jim Steinman 日本語詞 椎名恵 補作詞 三浦徳子 編曲 戸塚修


解説 椎名恵さんのデビュー曲で、ファーストシングルで、ファースト・アルバム『MISS YOU』では6曲目に収録。またベスト版やバラード集であるアルバムには必ずと云って良いほど顔を出していて、デビュー後軒並みにドラマ主題歌として名を馳せた「愛は眠らない」「悲しみは続かない」「LOVE IS ALL」と供にファンでない人にとっても強烈なイメージを残す椎名さんの代表曲の一つである。
 椎名さんのデビューと共に、フジTVドラマ『ヤヌスの鏡』(←ダンエモンは原作・ドラマともに観た事はない)の主題歌にして、ファイア・インクの「Tonight Is What Means To Be Young(今夜は青春)」のカバー曲としても名高い原曲は、映画『ストリート・オブ・ファイア』にて劇中でファイア・インクが歌っていた(らしい…観たことはない、洋画・洋楽に疎くて…)。

   ダンエモンは原曲を中学1年の体育祭の女子マスゲームにて初めて耳にした。その直後に椎名さんがデビューし、聞き覚えある洋楽が日本語で現れたことに強烈な印象を受けた。
 当時英語を学習し出したばかりで、邦楽にさえ英語のない歌を探すことが大変なことに激しく反発していたこともあったため、「なんて英語の多い曲だ…。」と憤慨していた(苦笑)が、それでも理解可能な日本語詞からは何もかもが失われたかのような背景を不死鳥の如く、大地に芽吹く草木の如く立ち上がろうとするような歌詞は思いきり愛好していた。
 道場主が中学2年の春、椎名さんのデビューから1年を経ずしてラジオでは「ヤングリクエスト」が、TVでは「歌のトップテン」が終了し、受験専念もあって道場主は長く歌番組を観ない年月を過ごすことになったが、20歳の夏失恋をきっかけに(苦笑)再び歌の世界に関心を向けたきっかけは椎名さんとこの曲を初めとする椎名ソングだった。
 英語詞への理解の無さや周囲の環境から椎名さんから遠ざかっていたことを強烈に後悔したものである。
 CDの購入で聞き取れなかった歌詞が分かるようになり、当時よりは英文読解力が増したことから改めて椎名ソングを深く愛好する様になって既に三〇年以上が経過したが、きっかけとなったこの曲の存在感は今尚色褪せることはない。
 想い出で深い曲の為、ついつい背景描写に力が入ってしまったが(苦笑)、本来の目的である歌詞の解説を行おう。
 冒頭より始まる具体的ではないにも関わらず強烈な背景描写はまるで核戦争か大災害の通過後のような荒廃感が満ちている。「燃え尽きた私のHeart」「闇の中」「この乾ききった街角」「夜の闇」といった歌詞の連発は思わず歌い手に「何があったのだ?」と問いかけたくなる。
 だがここからが椎名ソングの真骨頂である。
 並の歌手ならその暗さに押し潰されそうな暗い歌詞の連発に並行して、それらを物ともせず弾き返すほどの力強く、心強い歌詞が連発され、そのバランスが絶妙なのだ。「おびえずに はばたけば 大地までもつかめる」「たとえ光はとどかなくても 握りしめた愛のかけら胸に抱きしめ 時を超えるのさ」「心、熱く燃やせばきっとかなうだろう」「私は翼を広げどこへでも飛ぶよ 涙、隠す瞳に勇気がみなぎるまで」「夜の闇を飛び越えて 光を受け止める そして体で感じ合うのさ 今、閉ざされた時が終わると」といった歌詞にはファンになる前から勇気付けられ、今尚聴く度、歌う度に体に躍動感が湧き上がる。そして他の英語の歌詞が理解出来ずともこの歌の存在を喜べたものである。
 ちなみに話が少し下品に走るが、第二次性徴期であった中学生当時、ダンエモンは「そして体で感じ合うのさ」の歌詞にいやらしい想像をしていた(苦笑)。だが、今現在ではその想像通りだったとしてもそれを素晴らしいと思えるほどこの歌の魅力・本質を理解しているという自負がある。ただ、「冷たく見つめてる」を歌うときの椎名さんの眼は当時見ていて本当に怖かった(苦笑)、ま、それも彼女の歌手としてのなり切る力だと理解してはいるのだが。
 今更書くまでもないがこの曲の魅力は如何なる荒廃や絶望からも必ず立ち直れる、やり直せる、との確信を与えてくれる、命さえも与えてくれるような強さである。
 当時は理解出来なかったが、「風が叫び 雨が泣いて くずれていくだけのbroken heart」「No matter what it seems Tonight is what it means to be young」=どのように感じられても今夜は若くあれる、と受けとめ立ち上がれる素晴らしさを今更ながら感じ入っている。
 大黒摩季さんに対しても思うのだが、道場主が椎名ファンになったのも道場主と云う人間の必然と確信している。この歌と出会った頃、道場主は恋も知らず、仏教も信仰しておらず、塙団右衛門の存在も、シルバータイタンのモデルとなった一つ目タイタンの悪役としての魅力も、道場の名前の基と成った『菜根譚』も全く知らなかった。それでいて色褪せず、長い聴かずの時を経て道場主の中に甦った名曲、20の時の人生で最もショッキングだった失恋の為に完全に精神的に死んでいた私に再び恋をする、生きる勇気を与えてくれた恩義ある曲でもある。
 今、腹の底から大空に向かって大きく叫びたいビバ!椎名!、ハラショー!!恵!!「今夜はANGEL」マンセー!!!グロスアーティヒ!!!!椎名恵!!!!


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令和五(2023)年七月一九日 最終更新