これからだよ
解説 ファーストアルバム『SUN&MOON』の9曲目に収録されている曲だが、ダンエモンが収録曲のエントリーを考える役だったらトリにもってきただろうと思われる曲である。正直、『SUN&MOON』でいちばん好きな曲をあげよ、と言われたらこの曲か「TOMORROW」で迷うことになる。
とにかくこの曲は希望に溢れている。年を食っても、赤貧に喘いでも、体を壊しても、失業しても、失恋しても、試合に敗れても、「これからだよ」と思えることは「もうダメだ」と思うことを考えれば何百倍も貴重である。勿論最後に勝利することを、成功することを抱きつづけ、最後の最後までがんばれることにその要諦はある。
「これからだよ まだ出来るよ 答えは胸の中 手をのばせば 今がはじまり 永遠に……」や「これからだよSOやれるよ 答えは 遠いけど あきらめずに 願い続けて その日まで……」や「これからだよ まだ出来るよ せつない あふれそうな思いが 自分だけのほほえみになる その日まで…」といったタイトルを冠した歌詞に特にそれはよく表れている。
上記の決意漲る様もいいのだが、ショートストーリー的な部分も見逃せない。それは「自分が ちいさく思えて 真似した笑顔 雨がたたいた」と歌われた歌詞が時間を置いて「町のリズムを感じたとき 雨が止んでいた」と続いていることである。「雨」という一つの気象現象の流れに自分の心の内の前向きな変化を重ね、晴れ渡る未来を描かんとする様は見事である。
最後に注目しておきたいのは「これからだよ」との思考の根底にある、「消えないものは 無いけれど 憧れだけは 無限なはずね」という歌詞である。「無限」が根底にあるから「これからだよ」という言葉を連発できる、それが人間の持ち得るエネルギーの根源にしてこの曲の最大の魅力と論じて締めとしたい。
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