LEARN TO DANCE

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 AKIRA

解説 摩季ネェのアルバム『すっぴん』の2曲目に収録。タイトルを日本語に訳すと「踊ることを習う」または「踊る為に習う」といったところか。ノリは楽しいが、歌詞内容は時間の経過とともに冷めゆく愛を繋ぎ止めんとして、二人で織成す恋を「DANCE」に擬え、その為に行う数々の行為への挑戦を「LEARN」=習わん、としている。

 嫉妬の塊男・ダンエモンにとって、主人公の彼氏である「君」「デカダンス」 (=頽廃的)な様は歯痒くて仕方がない。
 付き合う前から「生まれた場所も生き方も」、互いに「始めから違う」のを承知していながら「価値観の違い」「言い訳」に使ったり、「試しもせずに拒否」して「「そういう子と付き合えばっ!!」」と言い放ったり、と主人公と供に丸で歩み寄りを見せない。
 殊に「「そういう子と付き合えばっ!!」」なんて歌詞を聴けば、「ほな、(主人公=摩季ネェを)俺にくれ!」と言いたくなる(苦笑)。

 恐らくは「トキメイテ 恋をして 愛に変わる」までは「君」も真剣で、熱かったのだろう。しかしながら、達成と供に熱意がそがれるのは世によくある話で、恋仲になり、本来なら経過に比例して愛情を醸成する筈が、「君」の場合は「反比例」しているのだろう。

 だが、この歌は間違っても愚痴の歌なのではない。
 主人公は「ステップを覚えるみたいに」「今 君を学んでいる途中さ」「間違いを覚える為のアクセント」といった歌詞に現状を打破しようとの意思が窺える。
 そして、何と言っても小気味いいのは、あくまで「二人」にこだわっている所である。恋は一人でするものではないことをよく理解しているから「アキラメナイデ」「二人しか踊れないDANCEが あるはずなんだ」「着て欲しいな」「いい曲は躍らせてくれるよ」「自由になれるよ」といった呼び掛けの歌詞が連発されるのだろう。

 さて、2010年に行われた大人解放クラブライブでは、冒頭と間奏の「DO IT!! Tu Tu Yea 〜 DO IT!! Tu Tu Yea 〜 IT’S LIKE I LEARN TO DANCE」の部分で、観客は摩季ネェから振付を教わったのだが、「DO IT!! Tu Tu Yea 〜」の部分は頭上で弧を描いてから、シュートサインを前方に振りかざし、「IT’S LIKE I LEARN TO」の部分では「∞(無限大)」の形に掌を動かし、最後の「DANCE」では右腕大きく放り投げるように様に流すもので、このアクションと擬えるものはアルバム『すっぴん』の初回限定版付属のDisc2に収録されている「セルフライナーノーツインタビュー」でも力説されており、歌詞に託した想いを「踊っている内に分かり合おうよ。」と表現していた。

 年を取るに連れて、知識や思考が深まるとそれが足枷になることは「夏が来る」でも歌われていたが、時には思考よりも行動を先んじることが大切な時もあることを教えられた気がした(いつもいつもという訳じゃないですけどね)。


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平成二三(2011)年五月一六日 最終更新