Lie, Lie, Lie

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 Rockin' MaMa

解説 摩季ネェの34枚目のシングル曲で、平成22(2010)年の無期限活動休止宣言から復帰した際の最初の曲で、デビュー25周年記念第1弾シングルにして、ビーイング復帰後初のシングルでもある。
 アルバムでは14thアルバム『MUSIC MUCSLE』Disc1「FIGHTING MUSCLE」の4番目に収録されている。

 また、アニメ『名探偵コナン』の主題歌として、2017年8月5日よりオープニングに起用されたが、摩季ソングがアニメOPを担ったのは『中華一番!』の主題歌「空」以来約20年振りのことだった。

 歌詞の内容と云うか、構成だが、タイトル同様、「Lie」「Why」「Shine」「Burning」「Bye」という英単語の繰り返しや、「曖昧,My, Mine」の様な韻を踏んだリフレインが特徴的である。
 ストーリー的には世の真実や現実問題を実感しつつも、例え偽りでも騙しでも「君といる時の私が好き」として刹那的な喜びに身を委ねている内容となっている。

 それらの心情的背景は、「甘い嘘ならついていて 真実は切なく痛いもの DA・KA・RA Oh〜」「いっそ君のすべてを懸けて Logicalな私を 騙し抜いて」「そうよ このまま虚構の世界で 謎を解けば 追いかける理由がなくなるわ 何もかも思い通りなんて つまらない」、といった歌詞に現れており、あたかも、「嘘なら嘘でいいから、それなら真実になるまで嘘を吐き通せ!謎なら謎のままでいいから、追い続けさせろ!」と叫んでいる様にすら感じる。

 一方で見落としてはならないのは、主人公が決して一時的な快楽の為に現実を無視している訳ではないと云う点である。
 「終わりが来る その時まで」「スパイは眠ってるBorrosa」(※「Borrosa」→「ぼやけて」)、「厳格な愛より 浅はかな優しさに酔いしれたい」と云った歌詞から、主人公が身を委ねたがっているシチュエーションが、決して真実ではなく、一時的なものに過ぎないことを誰よりも主人公が認識している。それを承知の上でどこまでも真剣なのが得も云えぬ味わいがある。

 そしても、最も注目すべきは、その非現実を非現実と承知の上でとことん向き合うか、場合によってはそれを真実にせんとの意志に溢れている面である。
 そんな意志を示す歌詞が、「もう Easyなヒントは出さないで」「乾いた世界を濡らして モノクロームをVividに染めて Eres mi amor Oh〜」(※「Vivid」→「住む」、「Eres mi amor」→「あなたは私の愛」)、「繰り返し覆う闇を照らす 眩い一瞬よ 永遠になれ」等であろう。

 時の概念を無視する程一瞬の喜びを重んじる歌詞は「DA・KA・RA」「風に吹かれて」にも見られるが、この「Lie, Lie, Lie」ではタイトルにもある「Lie」「嘘」「真実」にせんとの意が見え隠れしているところが一歩踏み込んでいて心地いい。

 尚、この曲にはプロモーション映像が存在し、『MUSIC MUCSLE』Disc3に収録されている。
 その映像では幼子を抱えて(恐らくはシングルマザーと思われる)ホステスがバー(←店長役は摩季ネェ(笑))で嫌な客にセクハラまがいに迫られ、それでも息子のために頑張らんとして耐え様としているところをボーイの一人が店の意向に逆らってまで彼女を救わんとして逃避行に及ぶストーリーが展開されている。
 映像の中では摩季ネェと中心に、その左右に澤田美和子さんと原田由佳さんが並び、多くのダンサーと共に独特の手振りでダンスを繰り広げ、それらは25周年記念ライブでも多くの観客と共に実践された(笑)…………………………………のだが、この映像、6年後に『名探偵コナン』関係者には不評だったことが摩季ネェの口から暴露されていた(苦笑)。同作品をじっくり見たことないから軽々には語れないのだが、ホステスとボーイの逃避行や、接客業における困苦が同作の雰囲気に合わなかったと云うことだろうか?


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令和四(2022)年六月二一日 最終更新