LOVE MUSCLE

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 徳永暁人

解説 摩季ネェの14thアルバム『MUSIC MUCSLE』Disc1「FIGHTING MUSCLE」のトップに収録されている。この曲のタイトルとアルバムが酷似しているように、同アルバムを代表する曲で、リリース時点で49歳の摩季ネェが鍛え、絞った背中一面を晒すことでこの曲とアルバムに対する熱意を示している。
 ちなみに、ジャケットにて披露された背中及び、五十路前でありながら引き締められた体は方々から、「修正だろう?」と云われたらしく、それに頭にきた摩季ネェは直後の25周年記念ライブにて実際に背中を披露してこの曲を歌った(勿論、前は向きませんでした(苦笑))。

 歌詞内容は、平凡な日々を送っていた「僕」「君」と出会ったことで「MUSCLE」=筋肉を鍛え直すが如く、想い・決意・そして欲望を叫び続けるものとなっている。
 正直、歌詞の内容から主人公と想い人の関係や距離を推し測るのは難しい。
 冒頭、「運命なんか信じない 無謀な夢は追わない」とあるのを、直後に「平和なLIFE 突然YOU現れた」としているから、危ない橋を渡らないとして生きて来た主人公にとって行動指針を大きく変えるほどの衝撃を伴う人物との出会いだったのだろう。
 同時に、「奔放な君といるには 鍛え直さねばLOVE MUSCLE」「当たり前のことを 一生懸命に頑張って 咲きたての花を見て 無邪気に笑う 素朴さがSPECIALに見えて」「ツンデレCATの様に 追えば逃げる負わねばスネる」「やりたいこと目指して なりたい自分に向かって」等とあるところから、「君」は何処か掴み所のない人物と取れる。

 また、「僕」「君」に惚れているのは明らかだが、「君」の方の想いやベクトルは「僕」には向いていないと思われる。
 「君を抱きしめたい もっと そばにいたい PUREな笑顔を守りたい 今この想いが届かなくても」「ツンデレCATの様に 追えば逃げる負わねばスネる」「輝く瞳の奥 僕は見えてますか 忘れ物のように ふと思い出して」等の歌詞から主人公は「君」から大した頻度では見られていないが、それでも多少近い距離にあるのだろう。

 そしてそれらを踏まえて注目するのは、機が熟したり、と見れば一気にものにする為に行動に移さんとの意志に溢れていることである。
 そしてその為には必要とあらば時として相手に厳しく出ようとの強い意志を漲らせている点で、サビの「君を困らせたい 本気で 怒らせたい あの日の熱を確かめたい 甘えて頼って やたらに褒め合って 浅い仲良しSTEADYなんて 違うよ…」「君は幸せかい 満たさせているかい 皆の中で心は独り それを “孤独”というのさ 慣れてしまわないで 僕だけは離れたりしない」等の歌詞にそれが現れている。

 「MUSCLE」=筋肉は、傷付いて回復することで鍛えられ、太く、強くなる………上っ面の幸せに浸っているぐらいなら、時に責めてでも本当の愛で鍛え、甘えに依存しない本当の幸せを自分がもたらす………それに備えて雌伏しつつ愛を鍛えんとする意志の蠢動が心地良い一曲として、この解説を締めたい。


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令和四(2022)年七月四日 最終更新