まだ、まだ・・・

         作詞 椎名恵 作曲 ベートーヴェン
  解説 クラシックをカバーした椎名恵さんのアルバム『toy box〜Classical〜』の6曲目に収録。元曲の「エリーゼの為に」は同アルバム収録曲の元曲の中で最も有名な曲であろう。
  同アルバムの歌詞カードによると、椎名さんは「ベ−トーヴェンの「エリーゼのために」のメロディはあまりにも有名ですが、ここでは違うひと味を作りだしてみました。"ポップなアレンジでの親しみやすさ。"をテーマにヴォーカルも一風変わったチャレンジをしています。」とコメントしている。
 確かにこのカバー曲の歌詞にはクラッシックが持つ重厚感はなく、タイトルにも使われている「ダメよ、まだまだ」という滑り出しからして佳境に入る直前の恋にあって、相手の男性より先んじて自らのベースでリードしようとの意欲が軽快な曲調を背景に綴られている。
 別の言い方をすれば随分挑発的な歌詞でもある。「帰れないわ」「週末の夜」「強いラム酒」といった歌詞が、丸でこれからが本番だといいたげな物を感じさせる。
 だが相手を誘うかの様な表現は序章に過ぎない。ダンエモンは主人公の一番の真意は「今夜の恋は 本気なのよ」というオーラスにあると見ている。そう、主人公は強引なまでに真剣なのだ。
 「ドレスの裾を揺らして踊れば いろんな視線が私を取り巻く」の歌詞は上っ面だけを見れば色気を振りまいて、異性の視線に酔うかの様なナルシズムを感じてしまうが、「本当は一途な思い」があって、「ピアスもネイルもブーツも」越えて、「恋は男の ものじゃないの」と決めつけてまでこの恋をものにしたいとの気持ちである。
 強引と言われようと、自分勝手であろうと、そこまで求める何かの為に強力な決意を持つ事は恋に限らず人生において大切な事と言えるだろう。行動はともかく、心根の問題としてこの決意は買いたくなる。
 余談だが、仏教では執着が人間の苦を与えるとして、修業により執着をなくす事を説く。だが、それを承知の上で苦を覚悟した上の執着の為に生きれるならそれも素晴らしい事とダンエモンは思う。ダンエモンなんか執着だらけだ(苦笑)。仏教の目指す解脱も尊いが、解脱の前に人間に生まれて、人間が執着を抱く生き物であることを無視して、執着しない振りをしても決して真の解脱を得る事は出来ないのではないだろうか?


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