Maki Ohguro Live Bomb! Level.6

正式タイトル Maki Ohguro Live Bomb! Level.6 15th Anniversary Final Tour〜ありがとう!そして…POSITIVE SPIRAL〜




日時2008年4月11日(金)18:30開演
場所大阪府大阪市中央区
ウェルシティ 大阪厚生年金会館 大ホール
背景 1992年のデビューから昨年の2007年5月で15周年を迎えた大黒摩季さんが15周年記念の締め括りとして刊行したツアーライブ。

 2006年の前倒しツアー、2007年の15周年記念、そして今回のファイナルツアーとで足掛け3年になる。
 2月9日、埼玉県戸田市に始まり、この大阪厚生年金会館は15ヶ所目で、二日前には徳島市、翌日には神戸でもライブが行われたので、かなりのハードスケジュールの最中でのことである。
 大阪厚生年金会館での摩季ライブはこれで3度目になるが、直前までダンエモンはある情報から厚生年金会館でのライブは今年で最後と思っていたが、どうやらまだ続くようである(苦笑)。

 詳細は後述するが、今回のライブは1月にリリースされた『POSITIVE SPIRAL』をレパートリーのメインとしつつも、20曲を超える曲が歌われ、衣装も6種類に及んだという力の入り様だった。
 また、舞台には横長のビジョンまで用意され、曲に応じた内容は各曲の盛り上がりに大きく貢献していた。
 そして今回のライブではダンエモンにとって想像を絶する幸運が2つあったのである。

内容
1.失意のオーロラ
簡易感想 この曲がトップバッターであることには正直驚いた。
 アルバム『POSITIVE SPIRAL』の収録曲の中で決して明るい方ではなく、選曲にも驚かされたが、「中世の喪服を着た淑女をイメージ」した衣装(ファンクラブ会報『M’DRIVEPRESS』23より)は当然のことながら黒一色で、摩季さんが登場した直後の完成も荘厳な響きの中、いつもと一味違ったものとなっていた。
 殊に「愛のうたを歌おう 一途になるまで」の部位は歌詞内容とも相俟って摩季さんと会場のファンが本番を迎えるライブに一体となって進んでいくような錯覚に陥った。
 前述したように、決して明るい曲ではないのだが、黒の衣装をこの一曲の為に着たことからも摩季さんの意気込みは初っ端からいつもと違っていた。
 尚、衣装によるアピールにも大きな意味があったのか、この「失意のオーロラ」を歌っている間、摩季さんは殆ど正面を向かず、左右を向いては何かに向かって目的地を一心に見据えている姿を示しているようにも見えた。

2.Cyber Love
簡易感想 2曲目にして恒例のロングコートが纏われた。
先の喪服とは対照的な白のコートで背面にはポジスパロゴが輝いていた。
だが、衣装よりも選曲の方が印象として強烈で、2003年のツアーで浜松にて聴いて以来、実に5年振りに「Cyber Love」をライブで聴けたのは本当に嬉しかった!
一説にネット上の出会いに絡む人と人の交流に対する疑問を投げかけていると言われるこの曲の歌詞はネット上では見えない自分を訴える様が好きなのだが、相変わらず後を絶たない出会い系サイト等に絡むネット上の交流に対するアンチテーゼとして選ばれたのだとしたらチョット悲しい。

3.あなただけ見つめてる
簡易感想 この曲からいわゆる大メドレー。ロングコートを脱ぎ、バイカースタイルでライブの度にお馴染みと言える曲が歌われたが、改めてラストの「行けっっ!! 夢見る 夢無し女!!」の人差し指を突き出して参加者全員が同じポージングで叫ぶ一体感を堪能した。

4.DA・KA・RA
簡易感想 この曲はダンエモンが初めて摩季ライブに参加した時の最初の曲でもある。故にライブでこの曲を聴く度に、「ああ、俺のライブはこの曲から始まったのだな……。」という感慨に捕らわれる。
 それゆえに最近のライブではフルコーラスで歌われることが少ないのが些か残念である。

5.チョット
簡易感想 前奏から「チョット待ってよ」の歌詞で一度止まり、焦らされた想いの盛り上がりから本編に入る展開は今回も健在。
 普段日本酒派であるダンエモン(実際にはビールを飲む事の方が多い)がこの曲を聴くときは赤ワインが飲みたくなる(笑)。

6.別れましょう私から 消えましょうあなたから
簡易感想 メドレーの中でこの曲だけがどうも毎回印象が薄い。正直歌詞背景が好きじゃないからだろう。
しかし「愛してる私はね 傷付いてる本当はね だけど…」という気持ちを抱えつつ、本当に相手の事を思えばこそ、その想いを振り切るように「別れましょう私から」と歌う摩季さんを見る時、やはりこの曲が摩季ソングの中の外すことの出来ない一曲であることを再認識する。

7.恋はメリーゴーランド
簡易感想 実はライブでこの曲を聴くのは初めてである。タイトルにも歌詞にも出てくる「メリーゴーランド」「ジェットコースター」の回転を模したかの如く、両腕を何度も回転交差させて、ともに振りを最大限伴いながら歌う様は童心に帰ったかの如き純粋な躍動とライブがまだまだ盛り上がっていく期待とを同時に摩季さんから送られたような気がした。

8.Return To My Love
簡易感想 シングル曲でない曲の中ですっかりライブでの定番としての位置を固めたこの曲、「愛したその声で 過去を悔やまないで 惨めだから わざと冷たい さよなら 無駄にしないで」の歌詞がライブの盛り上がりの中で心にズシっと来るような、恋と人生に真剣に向き合う重厚感を与えてくれるのだが、今回は特別だった。
 この歌詞の直前で摩季さんが舞台から去り、「60年代のドールファッションを意識してみた」というフリンジ付きの衣装(ファンクラブ会報『M’DRIVEPRESS』23より)で再登場してから前述部分が歌われたのである。  時間をおいて焦らされた分もそうだが、白と黒のフリンジが歌詞の中にある愛情と愛情故にわざと冷たく振舞った様を示している、と見るのは穿った物の見方だろうか?

9.Fire
簡易感想 この曲も1つ前の「Return To My Love」と並んでライブでのステータスを確立した曲であることを改めて思った。
 実際この曲は聴く度に阪神大震災を思わない時は無いのだが、あのひどい地震からこの時点で既に13年が経過している。さすがに大震災当時のショックは薄れつつあるし、思い出して楽しいことではないが、あんなひどい震災だったからこそ、「Find your power」から始まる「Fire」の如き燃え上がりを常に心に持ちたいものであることを壇上で男勝りの振りで熱唱する摩季さんの姿に見る想いであった。

10.永遠の夢に向かって
簡易感想 思えばこの曲は不思議な存在である。ライブの定番にして中盤で歌われることの多い曲だが、2曲目に歌われたこともあれば、前年のフレンズライブではアンコールにエントリーされてもいた。
 摩季ソング全曲の歌詞の中で最も多用される単語がこの「夢」であり、いわば、摩季さんは常に「永遠の夢に向かって」いるようなものである。
 15周年記念を無事終えることで夢の1つは達成したと思われるが、当然、夢の達成は更なる夢の始まりでもある。そしてそれは我々ファンが年を経るごとに大きく摩季さんに期待し、そんな摩季さんについていきたいという想いと同質ではないだろうか?
 今回のライブではライブの度に聴く曲に対して妙に哲学的な気分になったが、そういうことを考えられるからこそ長く摩季ファンをやっていて良かったとも思う。

11.夏が来る
簡易感想 これまた大メドレーの一環として歌われたライブ定番曲だが、「優しパパと親友だけ」の歌詞を「優しいパパと やっぱ皆だけ!」とするアレンジが最近は余り為されないのが些か寂しい。
 また15周年ファイナルだから、時の流れを重んじて、5年前のツアーのようにこの曲と「夏が来る、そして…」をセットで歌って貰いたかったのはダンエモンだけだろうか?

12.ROCKs
簡易感想 これ!これ!これ!これが聴きたかった!!ホント、何年振りだろうか?この曲をライブで聴いたのは……。
 以前はライブの定番だったこの曲がここ近年すっかりご無沙汰していたものである。

 前奏が流れるや歓声混じりに「Hey!!」と呼応する声が叫ばれたが、そこに混じる喜びの響きに、ダンエモン同様、この曲をライブで聴く日を心待ちにしていた喜びが確実に響いて来た。
 数年の時を経て聴いた「無駄だと言われることも 寄り道したりすることも 別に自分が納得すれば それでいいんじゃないの やったもん勝ちじゃないの結局 Stand up girls!!」の歌詞は人間の持つ、「やりたいようにやりたい!」と言う気持ちが与えてくれる可能性と希望、それでいてそこに伴う義務と責任をしっかり見据えることの重要性を悠久の時を寝かせた葡萄酒の如くダンエモンの心と脳裏に注ぎ込んでくれたものである。

13.虹ヲコエテ
簡易感想 これまたライブ定番曲だが、今回は趣向を凝らし、一同が中央で車座になり、ハワイアンバンド形式で歌われた。さすがに高木ブーさんがゲスト出来た訳ではなかったが(笑)。

 過去のライブレポで何度も触れたが、ダンエモンはこの曲の「ガンバッテ生きてるのは何故?それさえも わからなくなってしまいそうな世の中で 明日は待っている あなたのためにも 自分らしく 誇らしく いたいね」の歌詞とその直前の腹から絞り出すようなコーラスが好きなのだが、今回は南国の夕暮れの波打ち際に静かに佇むような雰囲気の中で普段自らの能力不足で殆ど聞き取れないバックコーラスの「Rainbow」「Future」といった歌詞が聞き取れたのが嬉しかった。

14.最良の日
簡易感想 ここで最初の「失意のオーロラ」に続いてアルバム『POSITIVE SPIRAL』収録曲が歌われた訳だが、ズバリ弾き語りであったのが嬉しかった。  数ある摩季ソングの中には二律背反する感情・想いを同時に歌い上げる歌も少なくないが、この「最良の日」程考えさせられる曲は無いのではないか?と思っている。
 その曲を実際摩季さん本人が歌っているのを目と耳で見ていると自らがこれまでの人生で味わってきたイジメ・解雇・失恋・借金生活・数々の敗北といった惨めな日々と、それを肥やしにしたからこそ得て来た耐久力・容姿や地位に惑わされない恋愛観・倹約生活・敗北を昇華した勝利を思えば、成程、「最悪の日」「最良の日」は背中合わせである。

 だが、絞り出すように「Oh Know〜 No , know oh〜」と歌う摩季さんの表情と声は「最悪」「最良」を行き来する心の揺れが見事に表わされており、単純に盛り上がるだけがライブを堪能することでないことを再認識させられた次第である。

15.ふたり
簡易感想 摩季さんの思い出の一曲として先の「最良の日」同様、弾き語りで、背後のビジョンは波打ち際の映像を映し、歌詞と重ね合わせると、「思い通り 生きてほしい そんなあなた見つめたい Doorを開けて出て行く背中 そっと見送るわ」の歌詞が丸で夢の為に海外へ旅立つ想い人を見送っているようであった。
 2007年5月のCotton Clubでのライブで歌われたのと同様、ファーストアルバム『STOP MOTION』の時代からも如何にこの曲が摩季さんにとって大切な1曲であるかを再認識させられた一時だった。

16.POSITIVE SPIRAL
簡易感想 16曲目という、通常のライブなら終盤ともいえるところでこの曲の登場からアルバム『POSITIVE SPIRAL』収録曲が連発し、ライブは本格化した。
 冒頭の歌詞が終わるや、レインボー柄のワンピースと洋風ハットを纏った摩季さんが飛び出し、会場は更なる興奮に包まれた!!

 「舞い上がれ 風よ吹け 空よ晴れ渡れ 悲しみよ 微笑みになれ」「湧き上がれ 迸れ 光よ降り注げ その涙 プリズムになれ」、との号令のもとに興奮の坩堝と化した館内に満ちた快感は、この曲の歌詞を借りて例えるなら、「あの日あなたがくれた希望」を五感で再度与えられた気分だった。

17.コレデイイノ!?
簡易感想 一昨年の神戸国際会館に続いてこの曲が披露され、かつての経験もあってか、会場内のほぼ全員が手の振りを間違えることはなかった(笑)。

 背後のビジョンではアルバム『POSITIVE SPIRAL』の初回限定DVDと同じ映像が流された。
この大阪厚生年金会館ではダンエモンの古くからの知人が数列後ろにて参加していたが、ビジョンの映像がDVDと同じものと知って、彼の姿が映し出されることを察知したので、彼の姿が出る直前に背後を振り返った所、彼は照れ臭そうに視線を外したので、ダンエモンは「ありゃ、アンタやがな(笑)」という思念を含ませながら彼を指差した(笑)。

約1年振りに聴いていて思うのは、やはり歌詞をしっかり知った上で聴くのとそうでないのとは違うということである(苦笑)
前倒しツアーで聴いた際にはマキシシングルの「コレデイイノ!?」もリリースされる前だったので、歌詞を知らない状態で、殆どノリのみで堪能した訳だが、事前に「夢見てる いつでも 胸の奥 手を取って いつの日か 叶えよう」という歌詞を知っていたからこそ、ライブという場で大勢で心と体と歌詞でこの歌詞と向き合えることにはより一層の喜びがあった。

18.テノナルホウヘ
簡易感想 振り付き参加第2弾である(笑)。ビジョンでは二人の男女が振りを示し、それに合わせることで初めて見る人でもある程度踊れる配慮がなされている。

 まあ前奏と同時に、『ドリ○の大爆笑』のオープニングに登場するスクー●メイ○のようなTシャツとミニスカルックに扮した二人組が登場し、摩季さんと共に踊るのだが、内一人は明らかに男性であった(苦笑)。

 摩季さんに限らず、曲の質の良悪とは別の意味でライブで観るのに向く曲と、音と詞だけで想像を膨らませた方が楽しい曲とがあるが、この「テノナルホウヘ」は間違いなくライブで聴いて楽しい曲である。
 殊に「地味なアタシとなら 一番星みたいに キラキラ輝けるよ だってキミはアタシのスター☆なんだから」「主役は二人いらない 演技力ないアタシならマネージャーにだってなれるよ だってキミはアタシの夢☆なんだから」の部分では反身で振り返りながら手拍子を打つノリはなかなかに貴重である。

 ちなみにこの部分では摩季さんが二人の踊り子とジェンカのスタイルで連なり、「お尻振りまーす!」の掛け声と共に御三方がヒップを振りながらゆっくり歩き出す部分があったのだが、この時、ダンエモンは摩季さんのヒップを凝視したりなどはしていないしていませんよしていないんだってばぁ………………ごめんなさい、食い入るように見つめていました(土下座)

19.熱くなれ
簡易感想 再度定番曲が展開される。やはりライブにこの「熱くなれ」は欠かせない!

 今年はこの曲がNHKの主題歌となったアトランタオリンピックから丁度一回り立ったことになる。それは取りも直さず、ダンエモンが摩季ファンになり始めてから12年経ったことも示す訳だが、知らず知らずの内に心に染み、気がつけば口ずさみ、ライブでも当然の様に盛り上がってきた日々が全く色褪せないのだから、改めてこの曲の偉大さを知った気分だった。

 今回、ふと思った歌詞がある。
 それは「これこそはと信じられる何かを探していたけれど 正義が社会を救えないなら 愛しかないでしょう。」である。
聴く度に心震わされるのは毎度のことで、それは今回も同様だったのだが、「愛」だけではなく、「正義」「社会を救え」るようであって欲しいという願いが今回は妙なぐらいに強く感じた。ライブとは直接的な関係はないんですがね。

20.いちばん近くにいてね
簡易感想 いきなり余談だが、この日ダンエモンが獲得した席はF列65番だった。アルファベットの6番目で、「65」という数字を見て、とても摩季さんに触れられない一、と思い込んでいたが、実はこの「65」はF列の最右翼で、しかも大阪厚生年金会館の部隊は両翼で僅かに斜めにせり出した部分があり、番号的には余りいい席と思われなかったこの席は、何とぎりぎりで摩季さんと握手が買わせた席だったのである(「背景」で記した「想像を絶する幸運」の1つはこのことである)

 まさに寸での所で、「いちばん近くにい」られた訳だ(笑)。

 もうライブで何度も耳目にしてコメントの難しい曲だが、ファンになる前から知っていた曲の1曲として摩季さんの「近くにい」ることの出来る喜びを今後も噛み締めて行きたいものである。

 まあ、後刻、本当に「いちばん近くにい」ることが出来た訳だが(ニヤリ)。

21.アイデンティティ
簡易感想 この曲も何度聴いてもいい曲だが、ライブで聴くのは更にいい!!

 思えば2002年の日韓共催サッカーワールドカップのイメージソングとされ、6年の歳月が流れる訳だが、ライブの度に「走れ走れDREAMER」「燃えろ燃えろFIGHTER」「吠えろ吠えろLEADER」「昇れ昇れOUTSIDER」、等の歌詞が歌われる際にくす玉でもクラッカーでもなんでもいいから何かが弾ける演出を期待してしまう(笑)。

 ライブの最中にふと思った。

 この曲の好きな部分の一つである「青い地球にたった一つの人生を この手でつかむ それがアイデンティティ」、「深い宇宙に舞い降りた小さな愛を この手で守る それがアイデンティティ」の歌詞が歌われる度にダンエモンは歌詞に呼応して利き腕の拳を握り締めるのだが、俺は今この拳の中に何を持っているのだろうか?と。
 答えは見えているようで見えていない。
 だが、この曲聴きながら熱く心と体に誓って守る物がかけがえのない物であることだけは断言出来る。

 後で知った事だが、2番に入ったところでSTEAVE ETOさん達メンバーの方々が中央で縦一列に並び、各々上半身を少しずつずらしながら回転させるアクションが取られた(「エグザイル」って呼ばれていたかな?)。
 これは今回のツアーではこれまで行われず、この大阪にて摩季さんにも内緒でSTEAVEさん達がサプライズで行ったらしい。
 一瞬何が起きたか分からず、それでも嬉しそうに歌う摩季さんが印象的だった。

22.START LINE
簡易感想 この曲でもってラストであることが摩季さんの口から伝えられた時、会場内随所から「えぇ〜!!」という落胆の声が上がった。
 勿論、後にはアンコールも控えているから本当にこれが最後と思っている訳ではない。だが摩季さんにはもっと大きな声で「えぇ〜!!」と叫んで欲しかったそうだ(笑)。

 ともあれ、個人的にアルバム『POSITIVE SPIRAL』収録曲で一番好きなこの曲が(アンコールが残っているにしても)トリに来たのは嬉しいものがある。
 背後のビジョンではアメリカのテキサスを思わせるような荒野に走る車道を走るような映像(恐らくは車内から撮影したと思われる)が映し出されていた。
 それはさながら果てなき夢に向かっていつもいつもが「START LINE」であることを訴えているようにも感じられた。

 自慢じゃないがダンエモンは臆病者である。これまでの人生で散々惨めな想いを重ねて来て、またそれらの繰り返しやそれらを上回る惨めさを日々恐れているから楽しい一時を味わっている時にその反動でやって来そうな苦渋の時をわけもなく恐れてしまう。だが、「不安を描いてしまう前に」越えるべき「BORDER LINE」「自分の手で 煌く未来を閉ざさない」ことを眼前の摩季さんに呼び掛けられるとそれと向き合う勇気に実感が伴った気がした。

 ゴールがない無間地獄のような暗闇に向かう気持ちではなく、POSITIVE SPIRALの中で勝利・成就・獲得を重ねながらも、それを超える更なる未来への向かう気持ちで日々是「START LINE」に立ち続けたいものである。
 ビジョンの中の荒野に終わりはなかったが、ゴールはあの大きなビジョンをもってしても納まり切らない大きな物が待っている、と信じたい。

アンコール1.言えなかった「ありがとう」
簡易感想 今回のツアーの目玉企画でもある。ボーイッシュスタイルで再登場した摩季さんがベルト・ブレスレット・クラッシュデニムの間から見せる柄を虎柄で統一してピアノに向かい、三度弾き語りが行われた。

 今回のライブではファンクラブを通じてファンの方々が普段感謝している大切な人に対して贈りたいメッセージを摩季さんが替わって歌ってくれるという涙物の企画だった。
 本来の歌詞では摩季さんが御尊母に日常の中ではなかなか伝えられない感謝を綴った歌詞になっている訳だが、その部分を参加者=ファンの方から、「ありがとう」を伝えたい対象者へと前置きし、「ありがとう」以外の歌詞は参加者が考えた内容で歌われた。

 ダンエモンも申し込みたかったが、締切段階でライブは単独参加になるであろうことが濃厚で、実際単独参加だった(苦笑)ので、ライブ参加の2ヶ月前に男児を出産した妹に対してメールサービスの方を申し込んだ。
 そして実際に歌われた方々の感謝の声は、対人関係まで紹介された訳ではないから推測でしかないが、多くは家族に対するものと見えた。

 新聞やネットを見れば犯罪と事故と悪口の絶えない人の世だが、この「言えなかった「ありがとう」」を聴き入りつつ、日々の生活の中にも何かに対する感謝を忘れたくないものだと思わされた。

   人間、何かに感謝する気持ちを持ち、感謝する対象ある人生を大切に想えば馬鹿な事故や事件は起こせない筈なのだが。

アンコール2.ASAHI〜SHINE&GROOVE〜
簡易感想 今回のツアーでアンコールの2曲目はアルバム『POSITIVE SPIRAL』収録曲でもある「GO☆」が歌われていた。しかし、この大阪ライブでは摩季さんが応援を続けている女子ホッケーチームが2階席にて参加していたので、アテネオリンピックで女子ホッケーチームの応援歌として歌われたこの「ASAHI〜SHINE&GROOVE〜」が2年7か月ぶりに大阪厚生年金会館大ホール内に響き渡った(その時は当時の監督・安田氏が参加されていた)。

 野暮なことを書くとこのレポートを書いている時点で北京オリンピックは終わってしまっているのだが、ライブ当時はまさに臨戦状態で、摩季さんらしい粋な計らいだった。
 ダンエモンはこのライブの翌日、神戸でも参加しており、日の丸に募られた応援寄せ書きに一番乗りしたのだが、北京に向かうさくらジャパンへの応援をあれほど重んじたのであれば、「ASAHI〜SHINE&GROOVE〜」は毎回歌われても良かった気がしたがどんなものだろうか?

   歌の最後で摩季さんがさくらジャパンの面々にエネルギーを送ることを呼びかけ、ダンエモンも胸の前から両腕を突き出してウェーブを送るように応援の意とエネルギーを送るアクションを取ったのだが…………丸っ切り怪しいおっさんにしか見えなかったかな?(苦笑)

アンコール3.ら・ら・ら
簡易感想 足掛け3年に渡ったこのツアーもトリはやはりこの曲である(笑)。勿論恒例の大黒摩季老後の楽しみとしての「ら・ら・ら〜 やっぱり 今日も明日もあなたに逢いたい」の大合唱及び録音は健在である(笑)。

 今回は特別ゲストとして摩季さんと同郷の民謡歌手KAZUMIさん(漢字表記は「和澄」)という方が参加され、彼女の口から民謡リズムによる「ら・ら・ら〜 やっぱり 今日も明日もあなたに逢いたい」が歌われたが、散々聴き慣れた歌詞もこうして聴くとかなり新鮮に聴こえた。

 ライブでは毎度のことながら、この「ら・ら・ら」を聴く度に至福の一時があっという間に過ぎ去った事を実感させられる訳だが、だからこそお約束的存在のこの曲に対してサプライズや新鮮な試みを今後も期待したいものである。

 ラストは「お疲れちゃん」の大ジャンプでこの日のライブは締め括られた。

所感 所感というより今回ここに書かれるのは人生最大級の喜びである。
 このサイトを見てくれるような方には周知のことなのだが、ダンエモンはこの日のバックステージに当選した

 そう、摩季さんに直接会うことが出来たのである!!!!! (勿論冒頭の「想像を絶する幸運」とはこのことである)

 毎回5人しか当選しないので余り感情を露わにすると嫌味になってしまうし、詳細や映像の掲載はやはり問題があるとスタッフの方に知らされたので概要だけ触れるが、ライブ後に楽屋に招待され(ちなみに当選者であることを証明する為、チケットの半券が必要になるのだが、ダンエモンは直前までこの半券が見つからず滅茶苦茶うろたえた)。
 待つこと十数分で夢に見た大黒摩季さんとの直接対面(感涙)。
 当選者一同喜びに打ち震えながらライブの感想をメインに摩季さんと話し合う。ちなみに「アイデンティティ」で摩季さんが驚きの表情を見せていた理由はこの時知った(笑)。
 最後に各自ポラロイドカメラで摩季さんとのツーショット写真が撮影され、写真と好きなグッズにサインを書いて頂いた。
 宛名をダンエモンにするか、本名にするか散々迷ったが、ネット上で公表できないことから本名で書いてもらい、一番好きな曲名である「LOVING’ YOU」を添えて貰い、グッズは菜根道場扇子に書いて貰った(下段画像参照)。
 他にも書きたい事は一杯あるが、極めて個人的な喜びの描写になるのではこれぐらいにしたい(笑)。

 今回のライブでは最新アルバム『POSITIVE SPIRAL』収録曲とライブの定番をメインとしつつもアルバム収録曲の中でも「ROCK YOU,ROCK ME」「栄光の金バッジ」「名前のしらないキミに」といったライブ向けの曲が歌われなかったのが意外な一方で、かつての定番「ROCKs」や、決して定番の地位は持っていなかった曲であったが「ふたり」「Cyber Love」が聴けたのは文句なしに嬉しかった。
 そしてここまで語れば書かずにいられないのが、「LOVING’ YOU」が歌われなかったのが残念だったということである。

 今回のツアーはダンエモンはこの大阪に始まり、ツアーの中では過去最多の3回の参加を果たしたが、今後もやはり地元は最初か最後に参加したいものである。


 

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平成二〇(2008)年一〇月二〇日 最終更新