Maki Ohguro Live Bomb! Level.6

正式タイトル Maki Ohguro Live Bomb! Level.6 15th Anniversary Final Tour〜ありがとう!そして…POSITIVE SPIRAL〜




日時2008年4月12日(土)18:00開演
場所兵庫県神戸市中央区
神戸国際会館こくさいホール
背景 1992年のデビューから昨年の2007年5月で15周年を迎えた大黒摩季さんが15周年記念の締め括りとして刊行したツアーライブ。

 2006年の前倒しツアー、2007年の15周年記念、そして今回のファイナルツアーとで足掛け3年になる。
 2月9日、埼玉県戸田市に始まり、この神戸国際会館こくさいホールは16ヶ所目で、三日前には徳島市、前日には大阪でもライブが行われたので、かなりのハードスケジュールの最中でのことである。
 神戸国際会館こくさいホールでの摩季ライブはこれで2度目になる。

 今回のライブは1月にリリースされた『POSITIVE SPIRAL』をレパートリーのメインとしつつも、20曲を超える曲が歌われ、衣装も6種類に及んだという力の入り様で、舞台には横長のビジョンまで用意され、曲に応じた内容は各曲の盛り上がりに大きく貢献していたのは前日参加の大阪も同様。

 ダンエモンにとって初の連日参加となったが、前日にバックステージ当選という凄まじい幸運を味わってしまっていた故に後方の席になってしまったことにがっかりするところを仕方がないか、とも思ってしまった。贅沢を言えば連日参加の後半にこそ大幸運に見舞われたかった気もする。

内容
1.失意のオーロラ
簡易感想 前日の大阪厚生年金会館での参加からこの曲がトップバッターであることは先刻承知だったが、「中世の喪服を着た淑女をイメージ」した黒一色の衣装(ファンクラブ会報『M’DRIVEPRESS』23より)での登場は違和感を感じさせるものでありながら、同時にそれ以上の荘厳さを感じさせるものだった。

 この一曲の為だけに纏われた衣装が大きなアピールを担っていたのか、今回もこの「失意のオーロラ」を歌っている間、摩季さんは殆ど正面を向かず、左右を向いては何かに向かって目的地を一心に見据えている姿を示しているようにも見えた。それ故に「愛のうたを歌おう 一途になるまで」のと歌いながら訴えるような視線は普段以上に大きな意気込みが込められているように感じられた。

2.Cyber Love
簡易感想 2曲目にして恒例のロングコートが纏われた。
 先の喪服とは対照的な白のコートで背面にはポジスパロゴが輝いていた。
 衣装が黒から対照的な白へと変じたことは、思えばリアルな世界とネット上の世界の対称性をこの「Cyber Love」に託したものであったのだろうか?

 アルバム『RHYTHM BLACK』収録曲でも特に好きなこの曲を今回のツアーで何度も聴けたのは本当に嬉しかったし、同時にライブの参加以前からMドライブを通じてネット上での手配が盛んだったこともあり、ネット上の出会いに絡む人と人の交流に対する疑問を投げかけていると言われるこの曲の歌詞には普段以上に考えさせられるものがあった。

 前日にも感じたことだが、出会い系サイト等に絡むネット上の交流に対するアンチテーゼであるこの曲が選ばれるのは、相変わらず出会い系にサイトに関連したネット社会の悪しき面が社会的に改善されていない故としたら、この曲の選曲を素直に喜べないことを改めて感じたのであった。

3.あなただけ見つめてる
簡易感想 この曲からいわゆる大メドレー。ロングコートを脱ぎ、バイカースタイルでライブの度にお馴染みと言える曲が歌われた。

 前日同様にラストの「行けっっ!! 夢見る 夢無し女!!」の人差し指を突き出して参加者全員で同じポージングでもって叫んだ際に、改めてアニメ『スラムダンク』のエンディングにおいて(時間の都合もあるのだろうけれど)同部の「夢見る」の部分が除かれていることで本来の意義が半減していることが残念に思われた。今更ではあるのだが。

4.DA・KA・RA
簡易感想 前日の参加と購入したパンフレットからレパートリーの多くは既知だった故に4曲目にこの「DA・KA・RA」が歌われることも分かっていたから、ライブの度にいつも感じる「ああ、俺のライブはこの曲から始まったのだな……。」という感慨が今回はなかった。ただただフルコーラスで歌われることが少なくなった最近の傾向に寂しさを覚えた次第であった。

5.チョット
簡易感想 前奏から「チョット待ってよ」の歌詞で一度止まり、焦らされた想いの盛り上がりから本編に入る展開は今回も健在(笑)。
 歌詞の内容から、「チョット待ってよ」の部分が歌われる際には摩季さんの右手が何かを留めるように、何かを投げつけるように前方に振るわれるのだが、この時ばかりは上段にいる摩季さんを見上げたくなる。
 残念ながら今回は31番目というかなり後方での鑑賞となったので、こっちが高所から摩季さんを見ることになってしまっていたが。

6.別れましょう私から 消えましょうあなたから
簡易感想 メドレーの中でこの曲だけがどうも毎回印象が薄い。正直歌詞背景が好きじゃないからだろう。
 だがライブで何度も聴いて、自らの脳内で反芻してみて、もし自分が主人公なら「愛してる私はね 傷付いてる本当はね だけど…」という気持ちを持っている間は「別れましょう私から」と言えるかどうか甚だ疑問であり、「冗談じゃない」筈である「同情の」○○○にも身を委ねそうな気がする(苦笑)。
 相手を想って、その為に取る行動が自らの欲望と一致しない時、相手の為になることと自分の欲望を天秤にかけてどちらに傾くかで人の取る行動は決まるのだろうけれど、願わくは天秤にかける必要が内容ありたいものである。

7.恋はメリーゴーランド
簡易感想 今回のツアーで初めてライブにおいてこの曲を聴いたこともあり、、両腕を何度も回転交差させて、ともに振りを最大限伴いながら歌う摩季さんの姿は昨日に続いて嬉しい物があった。
 もう年々も遊園地に行っていない(2009年1月現在で2005年大晦日から2006年元旦の長島スパーランドが最後)が、2年に1度ぐらいの割合で動物園・水族館に行ってはいるので、童心に帰る如き純粋な躍動を感じる時、この曲も同時に思い出したいものである。

8.Return To My Love
簡易感想 つくづくシアルバムにしか収録されていないこの曲がライブ定番としての位置を固めていることに感心する。それ以上に納得しているのだが(笑)。
「愛したその声で 過去を悔やまないで 惨めだから わざと冷たい さよなら 無駄にしないで」の歌詞の直前で摩季さんは一旦舞台から去り、「60年代のドールファッションを意識してみた」というフリンジ付きの衣装(ファンクラブ会報『M’DRIVEPRESS』23より)で再登場してから前述部分が歌われた。
 衣装の変更と共に空けられた間は、あたかも歌詞の通りに辛い気持ちを抑えつつも本当に相手の為を思って切り捨てた、心と行動の対称性を示しているようであり、その対称性は白と黒という対照的な色で彩られたフリンジによっても表わされている気がした。

9.Fire
簡易感想 この曲も1つ前の「Return To My Love」と並んでライブでのステータスを確立した曲といえる。
 まして今回の舞台は歌詞中にも表れる「神戸」である。この曲が阪神大震災の後に歌われ、被災された方々への慰問の念が込められているのは今更説明を待たないところだが、それでもあのひどい地震からこの時点で既に13年が経過していることを思われずにはいられない。
 時が過ぎたからこそ言えるのだろうけれど、時を戻せないからこそ、あんなひどい地震を経て市なったもの以上に得た物も大切にしたいしから「Find your power」の歌詞により一層の重みを感じるのである。

10.永遠の夢に向かって
簡易感想 チョット個人的な喜びが入って嫌味だが、このライブの前日に大阪厚生年金会館にて、「摩季ネェと直に会う。」という「永遠の夢」が叶ったばかりだから(笑)、改めて「永遠の夢」が叶うことは新たなる「永遠の夢」の始まりであることを感じる。

 摩季さんにしても15周年記念を無事終えることで夢の1つは達成し、同時に20周年、30周年に向けて更なる夢の始まる訳で、そんな摩季さんを追い続ける喜びこそまた「永遠の夢」と言えるだろう。否、「永遠」であって欲しいのである。

11.夏が来る
簡易感想 これまた大メドレーの一環として歌われたライブ定番曲だが、「優しパパと親友だけ」の歌詞を「優しいパパと やっぱ皆だけ!」とするアレンジが最近は余り為されないのが些か寂しい。
 また15周年ファイナルだから、時の流れを重んじて、5年前のツアーのようにこの曲と「夏が来る、そして…」をセットで歌って貰いたかったのはダンエモンだけだろうか?


 ウーム……考えたことが前日と全く同じになってしまった(苦笑)。

12.ROCKs
簡易感想 前日に「何年振りだろうか?」と言いたくなるこの曲とのライブにおける再会を果たしているので、驚きの度合いは軽減していたが、それでも喜びは些かも減っていなかった。
 リリースする曲が増えればライブでの選曲に摩季さんも頭を痛めることだろうけれど、「ROCKs」の前奏が流れた際の、歓声混じりに呼応する「Hey!!」の声にファンのニーズを感じ取ってくれることが願われてならない。
 勿論「LOVIN’ YOU」の前奏が流れたら俺一人でも100人分のニーズを込めたシャウトを放つのだが(哀願)。

 数年の時を経た場合でも、連日でも、「無駄だと言われることも 寄り道したりすることも 別に自分が納得すれば それでいいんじゃないの やったもん勝ちじゃないの結局 Stand up girls!!」の歌詞を聴く喜びは不変である。
 人間の持つ、「やりたいようにやりたい!」と言う気持ちが与えてくれる可能性と希望、それでいてそこに伴う義務と責任をしっかり見据えることの重要性は聴けば聴く程心の中に重厚感を増し続ける。そしてそれは今後も変わることがないだろう。

13.虹ヲコエテ
簡易感想 これまたライブ定番曲だが、今回のツアーでは趣向を凝らし、一同が中央で車座になり、ハワイアンバンド形式で歌われた。前日の簡易感想でも書いたが、高木ブーさんに来て欲しかった、と思うドリフ好きは私だけ? (笑)

 過去のライブレポで何度も触れたが、やはり「ガンバッテ生きてるのは何故?それさえも わからなくなってしまいそうな世の中で 明日は待っている あなたのためにも 自分らしく 誇らしく いたいね」の歌詞とその直前の腹から絞り出すようなコーラスが病みつきとなっている(笑)。
 今回の南国の夕暮れの波打ち際に静かに佇むような雰囲気の中で普段自らの能力不足で殆ど聞き取れないバックコーラスの「Rainbow」「Future」といった歌詞が聞き取れたのは前日同様に嬉しかった。

14.最良の日
簡易感想 ここで最初の「失意のオーロラ」に続いてアルバム『POSITIVE SPIRAL』収録曲が歌われた訳だが、ズバリ弾き語りであったのが嬉しかった。 数ある摩季ソングの中には二律背反する感情・想いを同時に歌い上げる歌も少なくないが、この「最良の日」程考えさせられる曲は無いのではないか?と思っている。
 その曲を実際摩季さん本人が歌っているのを目と耳で見ている改めて「最悪の日」「最良の日」は背中合わせであることを感じ入り、絞り出すように「Oh Know〜 No , know oh〜」と歌う摩季さんの表情と声は「最悪」「最良」を行き来する心の揺れが見事に表わされており、単純に盛り上がるだけがライブを堪能することでないことを再認識させられる。

 勿論贅沢を言えば「最悪の日」が皆無で「最良の日」ばかりなのがいいのだが、「最良の日」ばかりではそれが当たり前になり、「最良の日」も何もあったものじゃないだろう。余程の幸運まみれか余程の無神経な人生でない限り、「最良の日」ばかりは有り得ない。だからこそ「最悪の日」を昇華した「最良の日」を人が求めるのは今更言を待たない所だが、負け惜しみではなく真の意味で「最悪の日」を昇華した果ての「最良の日」を迎える人生を送りたいものである。

15.ふたり
簡易感想 2007年5月のCotton Clubでの15周年記念ライブと今回のツアーでこの曲を聴くにつけ、数ある摩季ソングの中でも決して目立つ存在でもないこの「ふたり」が摩季さんの中で半端じゃない存在感を持つ思い出の一曲であることを改めて思い知らされた気がした。

 先の「最良の日」同様、弾き語りで、背後のビジョンは波打ち際の映像を映し、歌詞と重ね合わせると、「思い通り 生きてほしい そんなあなた見つめたい Doorを開けて出て行く背中 そっと見送るわ」の歌詞が丸で夢の為に海外へ旅立つ想い人を見送っているようであった。
 勿論、「海外へ旅立つ想い人」というのは歌詞と映像からダンエモンが勝手に想像したことに過ぎないのだが、長い「ふたり」の時間を通じて、「変わった全てを受け止め」た果てに「誇りを持って生きたい」の気持ちを新たにしたからこそ強く自由な想いで想い人を見送れることだけは間違いないだろう。

16.POSITIVE SPIRAL
簡易感想 16曲目という、通常のライブなら終盤ともいえるところでこの曲の登場からアルバム『POSITIVE SPIRAL』収録曲が連発し、ライブは本格化した。
 冒頭の歌詞が終わるや、レインボー柄のワンピースと洋風ハットを纏った摩季さんが飛び出し、会場は更なる興奮に包まれた!!
 贅沢を言えばこの衣装で「虹ヲコエテ」を唄って欲しかった気がするが(笑)。

 「舞い上がれ 風よ吹け 空よ晴れ渡れ 悲しみよ 微笑みになれ」、「湧き上がれ 迸れ 光よ降り注げ その涙 プリズムになれ」、との号令のもとに興奮の坩堝と化した館内に満ちた快感は、この曲の歌詞を借りて例えるなら、「あの日あなたがくれた希望」を五感で再度与えられた気分だったことを昨日の感想と同じ内容ながら改めて訴えたいものである。

17.コレデイイノ!?
簡易感想 まさにこの曲を一昨年の同じ場所で聴いたことが彷彿とさせられた。
 背後のビジョン並びに全壊または今回のツアーでの経験もあってか、会場内のほぼ全員が手の振りを間違えることはなかった(笑)。

 背後のビジョンではアルバム『POSITIVE SPIRAL』の初回限定DVDと同じ映像が流され、改めて自分が映っていないことに悔しい想いをしたのだが、これってかなり贅沢な考えではないだろうか?

 約1年半前に聴いた折にはマキシシングル「コレデイイノ!?」がリリースされる前ゆえに歌詞が分からず、それでもノリで必死に踊る中に盛り上がりを感じていた訳だが、やはり歌詞をしっかり知った上で聴き、踊る方が最高で、前倒しツアーで堪能し切れなかった分をリベンジした気分だった(笑)。
「夢見てる いつでも 胸の奥 手を取って いつの日か 叶えよう」の歌詞は文字通り達成されたのである(笑)。

18.テノナルホウヘ
簡易感想 振り付き参加第2弾である(笑)。ビジョンでは二人の男女が振りを示し、それに合わせることで初めて見る人でもある程度踊れる配慮がなされている。

 まあ前奏と同時に、『ドリ○の大爆笑』のオープニングに登場するスクー●メイ○のようなTシャツとミニスカルックに扮した二人組が登場し、摩季さんと共に踊るのだが、内一人は明らかに男性であった(苦笑)。
 個人的見解だが、ダンエモンはニューハーフならびにオカマさんがかなり苦手なのだが、それこそドリ○のメンバーが扮するような一発で男と分かる女装はまだ一つのユーモアとして受け止める事が出来る。

 ツアーも半ばを過ぎて複数回参加者に慣れた方が多いのか、果てまたビジョンで観る内にすっかりマスターするのか、曲が進むに連れて摩季さんとビジョンと観客の踊りに一体感が増していくのだが、殊に「地味なアタシとなら 一番星みたいに キラキラ輝けるよ だってキミはアタシのスター☆なんだから」「主役は二人いらない 演技力ないアタシならマネージャーにだってなれるよ だってキミはアタシの夢☆なんだから」の部分では反身で振り返りながら手拍子を打つノリは今後も何度でも味わいたいものである。

 ちなみにこの部分では摩季さんが二人の踊り子とジェンカのスタイルで連なり、「お尻振りまーす!」の掛け声と共に御三方がヒップを振りながらゆっくり歩き出す部分があったのだが………はい、もう隠しません…食い入るように見つめていました(土下座)。

19.熱くなれ
簡易感想 もはや定番過ぎて、どう解説していいかも分からなくなりましたね、この曲(笑)。

 今年はこの曲がNHKの主題歌となったアトランタオリンピックから丁度一回り立ったことになる。それは取りも直さず、ダンエモンが摩季ファンになり始めてから12年経ったことも示す訳だが、知らず知らずの内に心に染み、気がつけば口ずさみ、ライブでも当然の様に盛り上がってきた日々が全く色褪せないのだから、本当に素晴らし一曲です。

 今回思った歌詞は、「伝えたい 伝わらない 大事なことだけは」である。
 声に出す言葉・文章・表情・行動・贈り物、と意思を伝える手段は数多くあり、言葉にしても対話・電話があり、文章にしても手紙・メール・伝言板・掲示板、と媒体は様々なのだが、如何なる手段をもってしても伝わらないのことが存在するのは人間の奥深さであり、不透明さであり、本当のことは隠してしまう弱さでもあるのだろう。
 だが、例え弱い自分から様に脱却できずとも、「熱くなれ」との自分及び自分の大切な存在への呼びかけはなくしたくないものである。

20.いちばん近くにいてね
簡易感想 ファンクラブに入ってから、比較的前の方の席に座ることが多くなったこともあり、今回かなり後方だったことが余計に残念に思われた、「いちばん近くにいてね」などと歌われると(苦笑)。
 しかも前日、思い切り「いちばん近くにい」ることを実現しただけに(苦笑)。

 まあ文字通り「いちばん近くにい」ることも大事だし、心と心が「いちばん近くにい」ることはもっと大事で、殊にこの曲には「前の人 一緒にい過ぎて 愛が生活に負けたから」「優しさについ身を任せて ありまま見せ過ぎて嫌われた」の歌詞に「いちばん近くにい」過ぎた後悔もあるから何度も聞きながらも一筋縄では語りつくせない曲でもある。
 だが改めて思うのは。そんな人間関係の複雑さを度外視して摩季さんの「いちばん近くにい」たいという気持ちである。

21.アイデンティティ
簡易感想 予めレパートリーを知っていて尚、この曲の前奏を聴いて心踊らない時は無い!

 ライブの度に「走れ走れDREAMER」「燃えろ燃えろFIGHTER」「吠えろ吠えろLEADER」「昇れ昇れOUTSIDER」、等の歌詞が歌われる際にくす玉でもクラッカーでもなんでもいいから何かが弾ける演出を期待し、同時に様々な意味で、何時叶うとも知れぬ「DREAMER」であり、敗走してばかりの「FIGHTER」であり、都合のいい時だけ祭り上げられる傀儡の「LEADER」であり、多くの人々から愛されなかった「OUTSIDER」であったこれまでの自分の人生を振り返り、それゆえに走り、燃え、吠え、昇らなくてはならない気持ちを新たにさせられるのである。

 長いツアーの中で前日の大阪ライブから、2番に入ったところでSTEAVE ETOさん達メンバーの方々が中央で縦一列に並び、各々上半身を少しずつずらしながら回転させるアクションが取られた(「エグザイル」って呼ばれていたかな?)。
 これが最初ではないものの、前日行われたことが摩季さんにも内緒だったため、嬉しそうに、それでも何処か戸惑いを禁じ得ない摩季さんの表情は昨日以上に印象的だった。

22.START LINE
簡易感想 この曲でもってラストであることが摩季さんの口から伝えられた時、会場内随所から「えぇ〜!!」という落胆の声が上がった。
 勿論、後にはアンコールも控えているから本当にこれが最後と思っている訳ではない。だが摩季さんは敢えて大きな声で「えぇ〜!!」と叫んで欲しかった訳で、前日の大阪ライブに参加していた人も多かったのか、前日よりは摩季さんに満足してもらえる大きさで「えぇ〜!!」という落胆の声が上げられた(笑)。

 ともあれ、個人的にアルバム『POSITIVE SPIRAL』収録曲で一番好きなこの曲が(アンコールが残っているにしても)トリに来たのは嬉しいものがある。
 背後のビジョンではアメリカのテキサスを思わせるような荒野に走る車道を走るような映像(恐らくは車内から撮影したと思われる)が映し出されていた。
 それはさながら果てなき夢に向かっていつもいつもが「START LINE」であることを訴えているようにも感じられた。

 考えてみれば「諦め」という考えを抱けば、ゴールそのものは簡単にやってくる。自慢じゃないが、ダンエモン自身そうやって自ら作ってしまったゴールは少なくない。
 だが、弱者であっても無気力人間ではないダンエモンはすぐまた新たな「START LINE」を引かずにはいられなかった。
 そしてそれ以上にゴールがない無間地獄のような暗闇に向かう気持ちではなく、POSITIVE SPIRALの中で勝利・成就・獲得を重ねながらも、それを超える更なる未来への向かう気持ちで日々是「START LINE」に立ち続けたい、という当たり前でも素晴らしい気持ちをこの曲の教わった、と改めて思い知ったものである。
 ビジョンの中の荒野に終わりはなかったが、ゴールはあの大きなビジョンをもってしても納まり切らない大きな物が待っている、と信じたい。

アンコール1.言えなかった「ありがとう」
簡易感想 今回のツアーの目玉企画でもある。ボーイッシュスタイルで再登場した摩季さんがベルト・ブレスレット・クラッシュデニムの間から見せる柄を虎柄で統一してピアノに向かい、三度弾き語りが行われた。

 今回のライブではファンクラブを通じてファンの方々が普段感謝している大切な人に対して贈りたいメッセージを摩季さんが替わって歌ってくれるという涙物の企画だった。
 本来の歌詞では摩季さんが御尊母に日常の中ではなかなか伝えられない感謝を綴った歌詞になっている訳だが、その部分を参加者=ファンの方から、「ありがとう」を伝えたい対象者へと前置きし、「ありがとう」以外の歌詞は参加者が考えた内容で歌われた。

 ダンエモンも申し込みたかったが、締切段階でライブは単独参加になるであろうことが濃厚で、実際単独参加だった(苦笑)ので、ライブ参加の2ヶ月前に男児を出産した妹に対してメールサービスの方を申し込んだ。
 そして実際に歌われた方々の感謝の声は、対人関係まで紹介された訳ではないから推測でしかないが、多くは家族に対するものと見えた。

 プライバシーを侵害しないように慎重に筆を進めたいが、この日神戸国際会館で聞いた「ありがとうメッセージ」の中にこんなシーンがあった。
 ある男性が3人の子供に対する感謝を述べたもので、その感謝に応える為に「父ちゃん、絶対幸せになる」と宣言していた。そしてその即興の歌詞が摩季さんの口から流れた直後、ダンエモンの左前方から号泣とも感泣ともつかない男性の声が聞こえた。
 通常、親が子供に幸せになれ、と励ますケースが大半であることを考えると、恐らく依頼者である男性は3人の子供を抱えながら再婚を目指しているのだろう。再婚相手や3人の子供の母親の状況によってはそれは簡単に祝福できない複雑なものなのかもしれないが、それでも子供達への情愛や自らの行動に対する断固たる決意なしにああいう歌詞は依頼出来なかったのではあるまいか?
 想像の域は出ないし、第三者(しかも結婚もしたことなければ、子持ちになったこともない)が踏み込む話でもないのだが、摩季さんに歌われたことが何らかの力になって欲しいと願われてならなかった。
アンコール2.GO☆
簡易感想 今回のツアーでアンコールの2曲目はアルバム『POSITIVE SPIRAL』収録曲でもあるこの「GO☆」が歌われて来た。しかし、前日の大阪ライブでは摩季さんが応援を続けている女子ホッケーチームが2階席にて参加していたので、アテネオリンピックで女子ホッケーチームの応援歌として歌われたこの「ASAHI〜SHINE&GROOVE〜」が歌われたので、レパートリー通りに歌われる「GO☆」を聴くのはこれが最初だったりする。

 生の摩季さんの声でこの曲の歌詞を聴いて考えさせられる単語は「RESPECT」の一言に尽きる。
 男女が一緒になる要因は色々ある(ex:容姿の好み・性格の相性等々)のだろうけれど、「尊敬の念」も間違いなくその一つで、事に長く一緒にあろうとすれば一方的な経緯だけだとそれが負担になるし、互いに自らにない物を敬意として受け止め合えればより強い絆となることは想像に難くない。

 そして互いに「RESPECT」を抱きあえる時にこそ互いが「本当に必要な存在」となり得るのだろう。然る後に恋愛感情は理想形態を為し、自然に「明日へ!! GO!!」との活力を生むのだろう。
 そう思えば、この曲はアンコールよりもライブの中盤で聴きたかった気もするが、アンコールに位置されたいとはどこにあったのだろうか?

アンコール3.ら・ら・ら
簡易感想 今にしても思えば2曲が多いアンコールが3曲聴けたとは喜ばしい話である。
 例によって(笑)この曲がトリを務めるのも恒例なら、大黒摩季老後の楽しみとしての「ら・ら・ら〜 やっぱり 今日も明日もあなたに逢いたい」の大合唱も、「お疲れちゃん」の大ジャンプで締め括られたのもまた恒例である (笑)。

 毎度の大合唱の際に思ったのだが、少しでも摩季さんに近い距離である前方でのライブ参加が嬉しい中で、2階席や3階席で歌われる様を客観的に見る事を考えた時、大合唱の時だけは後方での参加もまた良しかと思った。
 単純に前方の大合唱に負けまい、という戦意が掻き立てられるだけの話なのだが(笑)。
所感 初の連日参加が嬉しい一方で、どうしても前日の方が前方での参加であったり、バックステージ当選という他に例を見ない喜びと比較してしまうライブだった(苦笑)。

 レパートリーも前日の内に知ってしまっている中でやはり「ROCKs」、「ふたり」、「Cyber Love」が聴けたのは改めて「嬉しい」の一言だった。  その一方でアルバム『POSITIVE SPIRAL』収録曲でレパートリーにない曲が聴けないものか、との期待もそれなりに抱いたが、あくまでパンフレット通りだったのが少し残念。

 ただ、2日連続参加がライブ参加の余韻を色濃くしたのは疑いなく、バックステージ当選をメインとしたダンエモンの喜びはその後二日間に渡って持続し、不覚にも、就業中にも摩季ネェとの時間を思い出しては会社の仲間達をヒかせまくっていたことを白状しておこう(苦笑)。


 

ライブレポート一覧へ戻る
摩季の間へ戻る

平成二一(2009)年一月六日 最終更新