Luxury Tour
正式タイトル 大黒摩季 Luxury Tour 2009
日時 2008年4月17日(金)19:00開演 場所 大阪府大阪市住之江区 Zepp Osaka 背景 大人が仕事を終えた時間から眠りにつくまでに許されるささやかな自由時間である、22:00から24:00までの時間に、思いっきり癒されて欲しい気持ちを託して、選曲し、自らの曲をカバーしたアルバム『LUXURY22-24pm』。
同アルバム収録曲をメインに、アラブの新興最先端シティ・ドバイをイメージしたセットでどちらかと言えば派手さや華やかさより、穏やかさやくつろぎを覚えさせる様な曲が歌われたツアーである。
3月29日(日)の横浜BLITZに始まり、Zepp Osakaは6会場目で、全国のZeppでは3ヶ所目である。
一日前にZepp Tokyoでは同アルバム初回限定盤Disc2で摩季さんとデュエットした中西圭三氏達が特別参加したとのことだったが、さすがに翌日の大阪まで来ては貰えなかった(苦笑)。
同会場での摩季ライブは初参加。ダンエモンにとって大阪での参加は4ヶ所目である。
内容 1.Harlem Night 簡易感想 アルバム『LUXURY22-24pm』のトップバッターに収録されている曲が、ライブでも口火を切った。
ライブでこの曲を聴くのは初めてで、青いドレスを纏い、緑のストールを着けた摩季さんは椅子に腰かけ、バーのママに扮して、聴衆を癒しの世界に誘う如く、手招きをまじえながら今回のアルバムでのカバー版でこの曲は歌われた。
こういう雰囲気で唄われると印象に残る歌詞は「戻っておいでよ Babe」である。
生業と生活で忙殺される日常の中で、子供や学生の頃には当然のように持っていた時間・余暇・安らぎの時間に回帰させて貰ったようだった。
2.Twisty Love 簡易感想 先の「Harlem Night」がセルフカバー・アルバム『LUXURY22-24pm』でもトップバッターだったように、この「Twisty Love」もまたアルバム同様に2番手を務めた。
単純な好き・嫌いだけでは割り切れないことも少なくない大人の複雑な恋愛を連想させるこの曲は、恐らくは今回のライブのようなコンセプトなしには唄われることは少ないのではないかと思われる。
横向きの多い姿勢で、少しばかりのアクションをまじえながら歌う摩季さんは「幻を忘れ」られる世界に飛び込もうとしているようにも、「ルール破り」となる「本気」に走るのを止めているようにも見えた。
「幻」を夢で終わらせるも、現実のものとするのも自分次第。それは自由であり責任でもある、とダンエモンは考える。
厳しい現実の待つ日常だが、そこに摩季さんがいる「幻」なら躊躇うことなく「愛したい」ものである。
3.DA・KA・RA 簡易感想 一言でいうなら、「Go yes」の歌詞がなかったのが寂しかった(苦笑)。長年、摩季さんのデビュー曲をこの「DA・KA・RA」と思い込んでいる人々を見て来たので(苦笑)、この曲のことを本気で知っているかどうかのバロメーターに使って来た「Go yes」が聴けないのは寂しかった(苦笑)。
昨今のライブではこの「DA・KA・RA」をメドレー形式で聴くことが多いものだから、フルコーラスで聴けたのこと自体は嬉しかった。
普段はライブの盛り上がりに大きく貢献する「Dance×2 Dancin’ Together Kiss×2 Kissin’ Together Love×2 Lovin’ Together」の重厚感が、軽やかなステップで大人の夜に溶け込むように流れたことには個々人の好みはあると思うが、思いっきりアダルティーな一夜に佇むなら今回のセルフカバー版の方がいい、とダンエモンは思う。
ちなみに緑のストールを脱いで唄われたこの「DA・KA・RA」は、先の2曲と同様、アルバム『LUXURY22-24pm』の順番通りに今回のライブにエントリーされた。
4.SAVING ALL MY LOVE FOR YOU 簡易感想 ここから洋楽が続くセルフカバー・アルバム『LUXURY22-24pm』の初回限定盤のみに付けられたDisc2のトップバッターが、洋楽中のトップを務めた。
ライブの時点では気付いていなかったが、ダンエモンがこの「SAVING ALL MY LOVE FOR YOU」をライブで聴くのは2回目だった(1回目は2008年のクリスマスディナーライブ)。
「摩季の間」に解説を挙げる都合から、自己調査の結果、この曲がホイットニー・ヒューストンさんの有名曲であることは知っていたが、改めてそのことを摩季さんの口から聴くと、例によって自分の洋楽無知が恥ずかしくなる(苦笑)。
許されざる恋の、許された僅かな時間に空を見上げ、叫ぶようにくりかえされた「I’m saving all my love for you」の唄い様の割には、摩季さんはこの歌をソファーに腰かけて優雅に唄っていた。
過去に「ROSE」や「All my loving」を始め、何度となく、摩季さんの唄う洋楽は聴いてきたし、これからも折に触れて聴くことになるのだろうけれど、今回の「SAVING ALL MY LOVE FOR YOU」には、ここから始まる、と宣言された様な物を感じた。
5.Always 簡易感想 アルバム『LUXURY22-24pm』の収録順通りにレパートリーが続いたので、ここでは当然、「ALMOST PARADISE」が出て来るかと思われたが、予想に反し、Disc2の6曲目であるこの曲が歌われた。
アルバムでは光永兄弟がデュエットしたが、ライブではメンバーの一人であるマツウラ氏が相方を務めた。
普段は摩季ネェの相方には嫉妬の炎を燃やすのだが(苦笑&冗談?)、さすがにこの曲の「Ooh! You’re like the sun Chasing all the rain away When you come around You bring brighter days」のノリを聴けばこの曲が一人で唄われては些か寂しいので、妙に納得が出来た。
さすがにダンエモンの英語能力では文章としては事前にある程度読んでおいた「forever」、「You and me」、「we both」、そしてタイトルであり、各小節ごとの締めに使われる「always」といった単語が断片的に聞き取れただけだったが、それでも愛し合う男女がいつも、これからも一緒に居続けることの喜びは伝わって来た。
まあ、摩季ネェの横に居るのが自分でないのは仕方ないにしても(苦笑)。
6.DANCING QUEEN 簡易感想 この曲は今回のツアーのメインとなったアルバム『LUXURY22-24pm』には収録されていない。
しかし、洋楽無知のダンエモンでも聞き覚えはあり、華やかな曲調は夜のドバイをイメージした舞台とは好対照だった。
まあ俺が聴いたことあるのだから、相当有名な曲(苦笑)なのだろう。些か残念だったのは普段の摩季ライブなら十人前後のダンサーとともに舞台を狭しと独特のダンシングを披露してくれるのだろうけれど、敢えて少ないアクションがより一層曲の華やかさを際立たせた、というのは穿った物の見方だろうか?
原曲について少し説明しておくと、スウェーデンのコーラスグループ・ABBAの曲で、1976年のリリースだから30年以上も世界中で愛されているとは大したものである。
歌詞中に使われている英語は決して難しいものではない、とは思ったが、同時通訳が出来る程にはダンエモンは上手には聞き取れなかった。はっきり聴き取れた単語は「seventeen」だけだったことを白状しておこう(苦笑)。
7.虹ヲコエテ 簡易感想 『LUXURY22-24pm』に収録されたセルフカバーは、徳岡慶也氏と三浦拓也氏の二人組インストゥルメンタルユニットであるDEPAPEPEによってアレンジされたものであることが紹介されたが、洋楽以前に邦楽流行さえ無知であるダンエモンは、このレポートの為にDEPAPEPEについて調べるまで、丸で知識になく、ライブ会場では「ふーん……デパぺぺなんて唄い方があるんだ〜?」と本気で思っていた(恥)。
無知自慢は置いといて(…ん?自慢か?)、今回は事前にバックコーラスである「Riding on the rainbow Searching for your shadow My will takes me to the future Getting out the window Walking on the rainbow」の歌詞が知識としてあったので、摩季さん一同とともに一語の狂いもなく合唱できたのは実に気分が良かった。
音楽とは読んで字の如く、音を楽しむものだから歌詞を全く知らなくても、ノリや音感に感動するのは完全にありだと思っているが、「歌詞に惚れた」と断言し続けてきたダンエモンとしては歌詞を知った上で、その言葉に込められた情感を共感するのをモットーとしているから、歌詞及びその意味を知らずして聴き惚れるのはダンエモン的にはアーティストへの礼儀にかけると思っている。
個人のこだわりは他人様には知ったことではないのだが、それでも、この「虹ヲコエテ」の歌詞を何度も反芻し、アルバム『O』に共に収録された曲を知り、今回のアルバム『LUXURY22-24pm』に収録された曲をも知るから、「波ヲコエテ 何処へ行くの 私達の未来は 輝いてるよね きっとふたつ…」のラストが前者収録時には上がり調子で、今回のカバーでは下がり調子で終わっている、という、一見相反する唄い様両方を矛盾なく受け入れ、且つ楽しむことが出来るのは声を大にして訴えたい。
8.あぁ 簡易感想 実はダンエモンが今回の『LUXURY22-24pm』収録曲のセルフカバーの中で最も好きなのが「あぁ」である。
単純に曲としては「Stay with me baby」の方が好きなのだが、原曲のリリースから時を経てカバーされた、という視点で見るとこの「あぁ」に軍配が上がる。
初めて原曲を聴いた時に「人はどちらにつくかで見方が変わってしまう あれは 身を引いたのか それとも 逃げだしたのか」の歌詞に、横恋慕を始めとする過去の自らが取った言動に対して滅茶苦茶考えさせられたのは昨日のことのように覚えているが、それゆえに一層「やっぱり 夢を 叶えたい このまま終わりたくない」の歌詞を10年以上の経験とスキルを含ませて摩季さんが歌ってくれた瞬間には得も言えぬものがあった。
ちなみにダンエモンは、摩季さんがオフィシャルサイト『M’DRIVE』の掲示板・「FANLOG」にて、今回のセルフアルバム収録曲の中から一押しの曲を募った際に、この「あぁ」を選んでいたから、この曲を聴くことにある種の身構えがあったかもしれないが、それを差っ引いても時を経た重みを加え、静かな中に急がず止まずの前進を感じさせてくれた一時に感謝するとともに、脳裏にはひたすら「あぁ 君のように貫いてみたい どんなに遠回りしても迷わない君のように」がリフレインし続けた。
好きである、っていいことである。人も、歌も、そしてその想いも。
9.STOP MOTION 簡易感想 鍵盤を叩きながらこのデビュー曲を唄う摩季さんを何度となく見て来た。そして今回、摩季さんはベーシストのマツウラマサヨシ氏と背中合わせでこのセルフカバー独特の前奏を持って唄い出したのである。
ちなみにそのスタイルは摩季さんが幼少の砌に弟とよくやったことらしい。ピアノはおろか、ハーモニカやリコーダーさえまともに演奏できなかった楽器下手ゆえに妹とそういったことが出来なかったダンエモンには羨ましい限りである。
個人的に、セルフカバー・アルバム『LUXURY22-24pm』収録曲の中で一番アレンジが強いのがこの「STOP MOTION」だと思っている。それは取りも直さず、この曲が摩季さんの最も古い曲であり、この曲の見事なアレンジぶりこそが17年に及ぶ大黒摩季史の集約、というの言い過ぎだろうか?
仮に言い過ぎだとしてもダンエモンはそう想ってステージ奥でマツウラ氏と伴奏し、唄う摩季ネェに惚れ直していた。
ラストの「最後まで愛されていたいの」の歌詞を耳にして、改めて「最後まで」そうすることを誓い直す気分となったのは言うまでもない。
10.LOVIN’ YOU 簡易感想 摩季さんによる演奏は続いた。故ミニー・リパートンの有名な曲であることが摩季さんの口から説明され、初恋をイメージしたものとのことだった。
確かに「spring time」の如き淡さや青臭さを漂わせ、ほのぼのとした曲なのだが、根が下品なダンエモンは拙い英語力しか持ち合わせていないのに「Making love with you is all I wanna do」=「あなたと抱き合う(←要するにS●Xする)ことが私の望む全てです」という歌詞を瞬時に和訳して独り妙な気分に陥っていた(苦笑)。
セルフカバー・アルバム『LUXURY22-24pm』の初回限定Disc2収録曲の中で、この「LOVIN’ YOU」だけが過去に聴き覚えのあった曲だったので、無理に意味を追うことなく、文字通り音を楽しむことが出来た。やはりこういうサイトを起ち上げる以上、好きなアーティストの曲だけに詳しいのは望ましくないようである。今更ながらそう想う。
予測していたが、この「LOVIN’ YOU」を聴いている内にアルバム『LA・LA・LA』収録の同名曲を聴きたくて堪らなくなった。
実際、心秘かに、「この「LOVIN’ YOU」を唄ったのに続けてオリジナルの「LOVIN’ YOU」をうたってくれないかな?」と期待していたが、叶わなかった(泣笑)。
11.SUMMER TIME 簡易感想 このライブの約3週間後に英和辞典を片手に和訳に尽力し、ネット上から得た知識もある今ならこの「SUMMER TIME」が遠くに稼ぎに出ている父親を恋しがって泣く我が子に父親が富ともに帰ってくることを告げてあやし、父親のように成長して我が元を離れるまでは側にいて欲しい気持ちを唄った母性溢れる曲であることを今なら知っている。
しかし、恥ずかしながらライブの時点ではこの曲のどの辺りが名曲なのか分らなかった(←注:貶しているのではない。単にダンエモンの理解力が不足していた、という話)。
正直、摩季さんの口から出た「嫌な自分」という言葉も歌詞・曲のどの部分と関連するのか丸で分らない。
故に勝手ながらこの曲の感想を今は控えたい。知識や考察が増した日には適切な解説が出来るかも知れないが。
12.Stay with me baby 簡易感想 今回のライブで一番印象に残っているのがこの曲である。
かつて東京のCOTTON CLUBでの15周年記念ライブでヨシカワ・トウコさんとササキ・クミさんをコーラスに加えた時もえらく感動したが、今回の注目は何と言っても真矢氏である。
はっきり言って、このライブレポを見て下さる摩季ファンの方々の中に摩季ライブに参加したことのない人はいないと思う(というより熱狂的な摩季ファンでもなければこのサイトに気付きさえしないと思う―苦笑)。
そしてそういう方々にとってここ数年のライブにLUNA SEAの真矢氏が加わっているのは周知な訳で、迫力あるドラムスのスティック捌きに幾ばくかの時間が取られ、真矢氏の名前が絶叫されるのもいつものことで、ダンエモンも真矢氏が摩季ライブを盛り上げてくれていることにはいつも感謝している(同時に毎回ライブの終わりに摩季ネェとハグを交わしていることに嫉妬してもいる―苦笑)。
そんな見慣れた筈の真矢氏のドラムスなのに、今回の「Stay with me baby」のラスト部分に当たる「Stay with me baby 行かないで あなた無しじゃ生きて行けない 変わるから 大人になるから 言わなきゃ 忘れてしまうのに」で何かを断ち切るように歌う摩季さんの迫力に見事にシンクロした普段以上に迫力あふれるドラムスは間違いなくライブでしか聴けないものであり、原曲の誕生から幾星霜も経てカバーされた賜物であり、心だけでなく体まで打たれるようでもあった。
前述した15周年記念ライブで、摩季さんはこの「Stay with me baby」で「あなた無しじゃ生きて行けない」の唄っているのに対し、10年後に発表した「Lonely Child」で「あなた無しでも生きて行ける わたしが哀しい」と唄っていることを対比して、時の流れで大人化して強くも悲しい心根になる人間の変化を語っていたが、今回、「あなた無しじゃ生きて行けない」と叩きつけ、切り捨てるように歌う様は真矢氏のドラムスも相まって、さながら愛する人を失うことに妙な耐性をつけて純粋さを失った自分を斬り捨てて、どこまでも一心同体であろうとした自分を取り戻すべくもがいているようでもあり、その絶叫振りはライブ中に見たどの瞬間の摩季ネェよりも美しかった。
13.夏が来る 簡易感想 直前の「Stay with me baby」の印象と余韻が強過ぎたためか、ライブの定番にして原曲からのアレンジも然程強くない(とダンエモンが感じる)今回の「夏が来る」の印象は強くなかった。
摩季さんの口からは「クラップ」という言葉が出たが、どういう技法または音楽用語なのか全く分からない。もしかしてclapp(拍手・手拍子)のことだろうか?
余談だが、この曲の「こんな私を可愛い奴だと 抱き締めてくれるのは 優しいパパと 親友だけ」の歌詞はライブにおいて最後の「親友だけ」を「やっぱ皆だけ」とアレンジされることが多かったのだが、最近ではラストの「私の夏はきっと来る」が「みんなの夏はきっと来る」とアレンジされるようになっている。
次か、その次に夏が来ない人?という問いかけに対して挙手せずに済むようにしたいものである(苦笑)。
14.あなただけ見つめてる 簡易感想 大人であって大人でない時間が訪れた。
今回の「あなただけ見つめてる」のセルフカバーにおいては全ての歌詞を歌い終わった後にバックコーラスで「ラバラバラバッパ」と口ずさむ部分がある。
そしてこのライブでは摩季さんの指導の下、「ラバラバラバッパ」を3回繰り返した後に人差し指で眼前に弧を描き、「ヒュ〜!!」と声を挙げ、みんなで変顔をしたのである。
人間、大人になればなるほど自我が育つが、皮肉なことに大人になればなるほど自我の発露が許されなくなる。簡単に言い換えれば、「馬鹿になれなくなる」のである。
そりゃそうだろう。
流行りのコメディアンのマネや、懐かしいギャクをチョット話す程度ならTPOさえ弁えれば一服のユーモアであるが、万人の理解を得られない個人的な楽しみは趣味として周囲に公表できない事さえある。
特に自分の好きなことを想像している時の道場主のニヤケ顔はすこぶる評判が悪………とこれ以上は道場主が怖いので触れないが、馬鹿になることが許される時間はなかなかに少ない。まさに今回のアルバムのタイトル通りである『LUXURY22-24pm』の通り、馬鹿=自由になれる『22-24pm』
の2時間とは『LUXURY』=「贅沢品」なのだろう。
そう考えると皆で変顔をする場としてこの曲が選ばれたのも納得できるものがある。
変顔が出来る=馬鹿になれる時間=真に自由な時間、とは心の底から愛し合える人との二人きりの時間だけかも知れない。まさに「あなただけ見つめてる」時間に他ならない。
逆を言えばイケメン君が彼女の前で馬鹿顔をして振られたとしたら、本当の意味で恋人同士ではないということだろう。つまりは見た目の容姿だけで愛し合っている訳であって、人と人で愛し合っているとは言えまい。
そんなことを思ってか思わずか、この時ダンエモンはとことん本気になりたくて、顔面の筋肉が引き攣り、顎が外れるのではないかと思える程の全力で変顔をした。
もしその時の表情を見てみたい、という人はダンエモンまでメールを下さい(←そんな人いないって)。
15.チョット 簡易感想 青いドレスでバーのママの如く立ち居振る舞う摩季さんにはこの曲の「ワインGlass 握り締めて赤い涙飲みほした」が妖しいまでに似合っていた。
ところが、実の所、今回のセルフカバー・アルバム『LUXURY22-24pm』にこの「チョット」は収録されていないのである。
これは極めて貴重だ。「チョット」は原曲通りに唄われたのではない。
僅かな時間に許された記憶力では想像の域を出ないのだが、唄われた「チョット」はバラードアルバム『weep maki ohgro The Best Ballads Collection』収録の「チョット〜Drunker's Trip"ver.〜」のようでもあり、今回のアルバムの他の収録曲通りのカバーが為されたようでもある。
誰か自信持って断言できる方がいたら御一報下さい(土下座)
いずれにしてもドバイの夜のバーに扮した舞台と大人の時間によく似合うこの曲は追憶に溢れているようだった。
「側にいれば嫌いになれたかもしれない」や「チョット待ってよ Good-bye 途方に暮れる真夏を見つめて 恋に灼けた体を 今 抱き寄せるしか出来ない」という歌詞は舞台に似合いまくりで、曲を聴きながら過去の恋に想いを馳せる時のダンエモンは夢想した。
自他ともに認める酒好きのダンエモンだが、実の所、自棄酒を飲んだことは殆どなく(不味いし、悪酔いするから)、一人酒の際も大抵は本を読んでいるか、純粋に酒や料理の味を楽しむことが多い。しかしながら一度だけ失恋に自棄酒を呷ったことがある。
10年以上前で、まだ「チョット」はおろか、摩季さんの存在さえ知らなかった頃だが、振られたことより振られ方に納得がいかず、日雇いバイトの日当を焼き鳥と自棄酒で飲み干したのである。
些かカッコ悪い大人の夜の時間かも知れないが、敢えて孤独の内に身を置き、帰らぬ繰り言に夢想するのも、それが後々に生きるなら意味のあることかも知れない。
アンコール1.熱くなれ 簡易感想 アンコールに入って摩季さんはアダルティーからボーイッシュにイメージチェンジした。衣装はツアーTシャツとジーンズに変わった。
そして穏やかで夢と理想に夢想するかのような時間が一転して躍動に包まれた。決してそれまでのライブの有り様を否定する訳ではないが、摩季ライブらしい摩季ライブとなった。
ダンエモンは上着とカッターを脱ぎ、ライブTシャツで全身を躍動させた。
バラードも、弾き語りも、良いのだが、やはり摩季ライブにはこういう一コマが欲しい♪
そして今回面白かったのはラップの部分である。
御馴染みの、「いつもと同じ道を歩いて公園またいで帰るだけなのに 何だか妙に空しくなるのは あなたに会えない それだけだろうか 未来が見えないと不安になるけど くっきり見えると怖くなる I KNOW… YOU KNOW!!」だが、今回は摩季さんが「いつもと同じ道を歩いて」と唄って観衆にマイクを向ければ、我々は「公園またいで帰るだけなのに」と返し、摩季さんが「何だか妙に空しくなるのは」と続け、再度マイクを向けられた我々が「あなたに会えない それだけだろうか」と続け、更に摩季さんが「未来が見えないと不安になるけど」と唄い、同様にマイクが向けられて我々も「くっきり見えると怖くなる」と唄い、最後に摩季さんが「I KNOW… YOU KNOW!!」と締めて、摩季さんと私達が一体となってラップを仕上げた。
ライブの度に何度も聴いたこの「熱くなれ」だが、ラップを共に唄ったのは初めてで、実に新鮮だった。
ダンエモンが摩季ライブに初めて参加したのはもう10年近く前のことになる。そしてこの「熱くなれ」で10年前が再来した。全身の血と汗が逆流し、毛穴という毛穴から汗が噴出す感覚は2度と味わえない、と思っていただけに嬉しかった。
かつて、スポーツ新聞は摩季ライブの度に
「○万人、熱くなった!」と見出しに書かれることが多かったが、まさしくその瞬間だった。
摩季さんが、今後も、何度でも我々を熱くさせてくれることを確信したのが何より嬉しかった。
アンコール2.ら・ら・ら 簡易感想 定番過ぎるほどの定番曲である(笑)。正直コメントに毎回困るのがこの「ら・ら・ら」である(苦笑)。
この「ら・ら・ら」は今回のセルフカバー・アルバム『LUXURY22-24pm』には収録されていない。それでもアンコールで歌われるのだから、ジャンルやライブテーマを超えた摩季ソング・オブ・摩季ソングである(←何を今更)。
今回も例によって、「ら・ら・ら〜 今日も明日もあなたに逢いたい」の大合唱が行われた。
ツアーの度に最低一箇所は参加するようなファンにはすっかりお馴染みだが、当然、今回が初めての人もいる。最近摩季さんはそういう人達の存在を確認するのが傾向となっている。
初参加の人達は決して少なくはない。それでも「ら・ら・ら〜 今日も明日もあなたに逢いたい」の大合唱はチョット練習しただけで今回も会場一体となって成功した。
そう考えると改めてこの「ら・ら・ら」の存在感の大きさがうかがい知れるというものである。
アンコール3.子供の国へ 簡易感想 てっきり、「ら・ら・ら」で終わったと思っていたが、そのままこの曲が唄われた。
今回の『LUXURY22-24pm』収録曲でもあるので、ライブに唄われても不思議はなかったのだが、正直忘れていた(苦笑)。
同曲は「別れましょう私から 消えましょうあなたから」のC/W曲で、『LUXURY22-24pm』での収録がアルバム初収録だったわけだが、考えてみれば今回のライブの趣旨からもこの曲程、僅かな時間に自由が許された大人に相応しい曲も早々あるものではない。
「あなただけ見つめてる」の「簡易感想」にて、22時から24時の『LUXURY』=贅沢品とも称される自由時間は「馬鹿になれる時間」と称したが、言い換えれば「子供に戻れる時間」とも言えよう(←子供を馬鹿にしている訳ではありません、念の為)。
「子供になれる」、ということと、「子供である」、ということは異なる。
考えてみれば今回のライブは「大人の時間」にあって、「子供の国」に居させて貰ったのだから、随分と不思議な体験をしたものである。それでありながら一片の矛盾を感じさせないのだから凄いものである。
ライブが終わり、一夜が明ければまた日常が始まる。いつまでも「子供の国」に留まる訳にはいかないが、「もぅ 迷わないように」生きることは可能だろう。
所感 派手さは少なくとも、安らぎ・含蓄・癒し・穏やかさ、と内包されているものは実に多いライブだった。
普段のライブでは聴くことの出来ない曲や、見ることの少ない摩季さんの立ち居振る舞い、少年少女諸君には申し訳ないぐらいに大人だけに許された時間と、子供心を取り戻して癒される時間、等はすべてこのライブ特有のもので、今回のツアーではこのZep Osakaのみの参加だけで終わるのは実に残念ではあった。
今後、摩季さんがセルフ・カバーを出すことがあるかどうかは分からない。出て欲しいし、かといって原曲も大切にして欲しい。まあ原曲あってのカバーだし、そこはそこ、元の素晴らしさに時間を経た重みを加えてくれた摩季さんの素晴らしさを再確認できたライブだから、いつの日か為されるかも知れないカバーは大いに楽しみに出来るし、ライブもまた楽しみである。
新旧併せ持つ魅力にまた逢いたい旨を記してこの所感を締めたい。
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摩季の間へ戻る平成二一(2009)年五月一九日 最終更新