大人の解放クラブ

正式タイトル MAKI OHGURO~大人の解放クラブ““BLACK CAT”“ in STB139~ 1st




日時2010年1月30日(土)15:30開演
場所東京都港区
スイートベイジルSTB139
背景 日常の仕事や世間とのしがらみに疲れた大人の時間からの束の間の解放を求めて安らげる時間……そんなコンセプトの元、普段のライブとはまた違った雰囲気の中、180席限定にて行われた。
 
 六本木STBは通常のライブ会場と異なり、全席指定の上、レストランで飲食しながら壇上のライブが楽しめる形となっており、実に2007年の15周年記念パーティーを彷彿とさせるものがあった。
 
 「大人解放」と銘打ちつつも、僅か一ヶ月前に40歳となった摩季ネェは「やんちゃな40代」を心掛けるとした先約通りに些か暗めの照明の中にも曲に、衣装に、ノリに、ライトアップに明るさと躍動感を忘れてはいなかった。
 僅か1時間ほどの短くも濃密だった大人解放の時間を可能な限り下記にフラッシュバックしたい。
内容
1.曲目不明
簡易感想 良くない慣れっこになりつつあるが、のっけから曲目が分からない……。Soul系(?)の洋楽に乗って2階から摩季ネェが登場。

 摩季ネェの衣装はピンクのスパンコールのホルターネックに、黒いレザーのタイトスカート、そして黒のブーツで、本人曰く、「レベッカの気分」とのこと。自らの姓と「BLACK CAT」の名乗りを意識してか、明るく派手な色彩の中にもそれとコントラストを為すかのように強調された黒色は約半年前のスナック摩季での摩季ママとはまた異なったアダルティーさがあったものである。

 メンバーを紹介すると、ドラムスが御馴染の真矢氏、バスが山本直哉氏、ギターが山崎淳氏、そしてキーボードを務めたのがミトカツユキ氏だったのだが、彼が今回の摩季ネェの事実上のパートナーとして実にいい味を出してくれていた。
2.DA・KA・RA
簡易感想 コメントしようない程ライブの定番曲が2曲目で披露された。それでも先のスナック摩季では聴けなかったからいつもよりチョット嬉しかったりする(笑)。
 ただ、例によってメドレーに近く、歌詞全部を聴くことは出来なかった。11年前に初めて摩季ライブに参加した折に最初に聴いた曲だけに全歌詞を通した歌唱を改めて生で聴きたいものである。
 それが叶わぬまでもせめて「Go yes」の歌詞を聴きたいと思うのはダンエモンだけでしょうか?(笑)
3.曲名不明
簡易感想 Soul系らしき曲をミトカツユキ氏がキーを叩いて熱唱。本当に曲目が分からないことを詫びるしかない……orz
4.別れましょう私から消えましょうあなたから
簡易感想 これまたライブの定番曲だが、意外にも前にライブで聴いてから1年8カ月も経っていた。
 単純にライブの中の定番の一曲として堪能していたが、どこか懐かしい気がしたのも時間の経過によるものだったのだろう。
 こうして振り返って見ると、定番曲が目立つように見えてその実、摩季ネェは実に選曲を考えていることが思い知らされたものである。
5.曲目不明
簡易感想  何度もスンマセン……本当に知らない曲は聞き分けられません………。
6.あなただけ見つめてる
簡易感想 これまた定番曲であったが、今回印象に深く残ったのは「地味に生きてゆくの」の歌詞であった。
 摩季ネェが結婚してから今年の11月で7年になるが、結婚した当初は余り夫婦生活や、旦那様のことを語らなかった摩季ネェも昨今は折に触れて話題にするようになった。その時、摩季ネェは旦那様の実家(九州とのことでした)に行った時の話が出て、実母と義母の話や、互いに悪気はなくとも些細な価値観の相違が気まずい雰囲気を作りつつも、弟さんの些細な一言が場を和ませた話も出て、それがこの「あなただけ見つめてる」にある「苦手だった Spicy Your Mama」の歌詞をより際立たせ、1人の女性としての立場と、妻や嫁としての立場が持つ幸せの意味について、男であり、結婚もしていないのに考えさせられた。
 
 華やかさも、賑やかさも人生の楽しみに違いないが、すべてに勝る幸福を得て、他の何もない「地味に生きてゆく」日々の大切さを考えさせられた。
 
 ちなみに「地味」な日常の中にある、平凡でありながら何物にも代え難い幸福を噛み締める事の大切さは、拙サイト『菜根道場』の名乗りの基となった『菜根譚』の教えにも通じるものがあるだけに、しみじみと考えさせられた次第である。
7.曲目不明
簡易感想 何度も同じ詫び言で申し訳ないです…。ミトカツユキ氏の演奏に摩季ネェがタンバリンを叩いて伴奏。
 ひとまず、こんなもんで勘弁して下さい(恥)。
8.チョット
簡易感想 定番曲は更に続く。場が場なので起立することなく、着席状態で聴くだけにいつものラップの部分を聴く際には自然と拳に力が入った。

 全然関係ないが、ライブ中、ダンエモンはビールを二杯飲んだが、後になって、定番の「チョット」を今回も聞くなら、ワインを飲みながら、「ワインGlass 握り締めて 赤い涙飲み干した」の歌詞を聴けば良かった、と軽い後悔をした次第であった(苦笑)。

 余談だが、真矢氏のドラムスの乱打の果てにスティックを投げ飛ばすパフォーマンスは今回この曲で行われた。
9.ALMOST PARADISE
簡易感想 アルバム『LUXURY22-24pm』初回限定版に収録された一曲で、アルバムでは中西啓三氏が務めたデュエットを、当ライブではミトカツユキ氏が務めた。

 実の所、アルバム『LUXURY22-24pm』収録曲の中でも有名どころでありながら、昨年のLuxury Tourでは唄われなかったこともあったので、チョット貴重な気分(笑)。

 元々洋楽に疎いダンエモンはこの曲の全歌詞を覚える程に英語力も記憶力も強くないが、それでもサビの「Whoa-oa ALMOST PARADISE We’re knocking on heaven’s door」=「もうすぐ天国だ。 私たちは天国の扉をノックしている。」の部位はTVでも見た中西氏との盛り上がりが彷彿とさせられ、大いなる目的地を目前にした胸の高鳴りが響いて来るようだった。

 ちなみにこの「ALMOST PARADISE」は摩季ネェの語る所では、「本当の恋を知った時」に巡り合った曲らしい。そう言われるとダンエモンは初恋時には歌謡曲を丸で聴いておらず、その後の失恋の立ち直りから後年ダンエモンとなる素地を築いていたので、「本当の恋を知った時」に華を添える曲が無いとは些か寂しいものである。
 ま、次の恋を大いに摩季ソングで飾るとしよう(笑&願望)。
10.名前もしらないキミに
簡易感想 この曲が歌われるに当たって、ライブで殆ど歌われることのない、或いは一度の登場で終わり易いアルバム収録曲やシングルのカップリング曲を採り上げたい旨を告げ、会場は万雷の拍手に包まれた。

 そして唄われた曲の一つがこの「名前もしらないキミに」だった。
 選曲自体はいい曲を選んでくれて嬉しかったのだが、この曲はアルバム『POSITIVE SPIRAL』の収録曲で、摩季ソング18年の歴史の中では比較的新しい方で、もう少し懐かしい曲に注目して欲しい気もしたが、実際、この曲は一昨年前の、アルバム『POSITIVE SPIRAL』収録曲がメインとなったMaki Ohguro Live Bomb! Level.6では唄われてなかったので、それをフォローしてくれたかのような心配りに感謝した(ま、この曲を聴いた時点でそこまで覚えていた訳ではないのだが―苦笑)。

 摩季ソングの中では数少ない男の立場で唄われた曲なので、男として堪能できるのが嬉しかったが、摩季ネェが歌詞にもある「誰もがストーカーに思われるような時代」背景の中、刹那的に訪れた恋のきっかけや、一目惚れに対して突撃しにくい現代という時代に触れて唄ってくれたのが、嬉しくもあり、切なくもあった。
 改めて聴くと、「運命なんて言葉はこの世から無くなればいい そうすれば馬鹿な夢も奇跡も願ったりしないのに Mailアドレス渡す それでいい でも… 打ち明けるその時は諦める覚悟もいるから」の歌詞は恋の喜びとトキメキと悲壮な覚悟を端的に表した名歌詞である。

 元々ダンエモンは「運命なんて言葉」が大嫌いで、「必死の努力を良くも悪くも「運命なんて言葉」で片付けられて堪るか!」と思って生きた一方で、本当に欲しいものを自力で得られそうにないと思い知らされた際に「馬鹿な夢も奇跡も願った」記憶があり、そして最終的には「諦める覚悟」を固めて「打ち明け」ては、「覚悟」通りになったことが何度となくあったので、否が応でもこの歌詞に共感せずにはいられなかった。

 インターネットやメールを始め、様々な通信手段が発達した御蔭で容易に生まれた付き合いや交流がある一方で、それと同じかそれ以上にあっさり終わった付き合い・交流もまた多い。そして「お手軽」故に軽んじられた真剣な想いもまた多いことだろう。
 道場主は一度でも愛した相手に対する礼儀として、それまで愛した相手と同じ惚れ方はしないことにしている。故に一目惚れは二度目に隙になった人を最初で最後としている。それでも、一目惚れならずとも真剣に愛する相手なら、「名前もしらないキミ」であっても突撃する戦士で在りたい、との想いを思い出させて貰った。
11.最後のラブレター
簡易感想 摩季ネェが敬愛するプロサーファー・故飯島夏樹氏の奥様の為に作られた曲で、CDとしてリリースされていない為、ダンエモンは昨夏のスナック摩季で唄われた記憶と、携帯配信と、昨年末の特番で摩季ネェと飯島夫人が対面して、目の前で唄った映像の記憶とでこの曲を堪能しているが、再度ライブにて聴けたのは嬉しくもあるが、曲の成立過程を考えると切なくもあり、少々複雑である。

 直接ライブとは関係ないのだが、ライブの始まる一時間ほど前、ダンエモンは時間潰しの為に、本屋にて俳優・長門裕之氏が、亡き細君・南田洋子さんとの思い出を綴った書籍を読んだばかりで、その中に、「行かないでくれ、洋子!神様、今一度時計の針を戻すことはできませんか?」との記述があり、摩季ネェが「時計の針を戻して」と唄った瞬間、長門氏の書の内容を思い出して、胸が塞がれた気分になった。

 幸い、道場主は過去に惚れた相手で死に別れた人間はいない(現在の動向がすぐには分からない人の方が多いのだが)。身内でも血縁の近い身内を無くした記憶は四半世紀前に遡る。つまりは血縁にしろ、そうでないにしろ愛する相手を亡くした記憶が希薄なので、「もう一度愛したい」との念は単に自分が好かれなかった相手への未練でしか感じられないが、叶わぬ願いだからこそ歌なり、小説なり、映画なりに託したい気持ちは分からないでもない。
 決しても戻せぬ「時計の針」だからこそ、逆にそれが刻んだ決して色褪せぬ想いを築ける人生を持ち続けたいものである。
 同時に、ライブレポートに表わし切れずとも、摩季ライブにも同じ時間は一秒としてないことをダンエモンは信じている。例え同じ曲を何度も聞く時間だとしても。

 最後にライブで御馴染の真矢氏のドラムス乱打が再度行われたのに驚かされたことを付け加えておこう。
12.夏が来る
簡易感想 今回は少し違和感があった。いえ、決して否定的な意味で言ってるんじゃないですけどね。

 この「夏が来る」もライブの定番曲で、ライブ風のアレンジとして、「こんな私を可愛い奴だと 抱き締めてくれるのは 優しいパパと 親友だけ」「親友だけ」「やっぱ皆だけ!」と変更されて盛り上がっていたのが、昨今=結婚してからは歌詞通りに歌われ、ラストの「私の夏は きっと来る!」「皆の夏は きっと来る!」となることが多く、今回もその流れを辿ったが、摩季ネェからの励ましなのだろうけれど、「私に夏が来たんだからみんなにも必ず来るよ」と付け加えられたのを聞いていると、結婚した人と、結婚出来ていない者の相違を突き付けられたようにも感じたが、これはダンエモンが狭量であるに過ぎないだけだろう。
 摩季ネェの応援を受けて夏を迎えた人達が同じエールを次に夏を迎える人達に贈れるように、そんなポジティブ・スパイラルを構築したいものである。
13.Good-Luck Woman
簡易感想 摩季ネェ曰く、「一回切りにするつもりだった女の歌」とのことで、確かに男である我が身としては女心を切ないまでに唄うタイプの曲(例:「ROCKs」)は共感し切れないのが些か残念ではあるが、摩季ネェの初ミリオンにしてセカンドシングル「DA・KA・RA」のC/W曲がライブにて生摩季ネェから聴けたのは素直に嬉しいものがあった。

 「若さ言い訳られる時代」に決別し、「孤独」に負けず、「素敵な恋つか」む為に、「゛きっと……、もっと……"信じて」進む姿を歌い上げる摩季ネェの姿は、歌詞の背景となっていた週末の夕方(細かいことを言えばこの日は土曜の夕方で、歌詞は日曜の夕方である)とも相俟って、週明けから現実の大人の時間に帰る解放クラブの仲間への最高のエールになったと言えよう。
 
 決して摩季ソングの中では存在感の大きい方ではないこの「Good-luck Woman」だが、いつかまたライブにて聴きたいものである。
アンコール1.Happy birthday To You
簡易感想 Tシャツを纏い、ボーイッシュなスタイルで再登場した摩季ネェだったが、いきなり歌う立場ではなく、歌われる立場に立った。
 というのも、一カ月遅れではあるのだが、昨年大晦日に○○歳の誕生日を迎えた摩季ネェのためにSTB139からハッピーバースデーにちなんで半被(はっぴ)が贈られた………って、駄洒落かよ、おいっ!(笑)

 ともあれ、意外な展開に、意外な場面でのお祝いに照れ気味な摩季ネェの笑顔もなかなか乙なものであった(笑)。
アンコール2.IT’S ALL RIGHT
簡易感想 2010年5月19日リリース予定の新曲がこの大人解放クラブにて披露された(ちなみにこのライブの時点ではリリース予定日は未定だった)。

 第一印象は「熱くなれ」「アイデンティティ」に近かった。大黒摩季版「Boys be ambitious」というところだろうか?
 上記二曲を彷彿とさせる力強い曲と歌詞だが、男と思われる「君」に投げ掛ける応援歌で、決して順風満帆と言えない人生を歩んでいる相手に対して、その信じる道と奮闘するスタイルを「ALL RIGHT」と言い切り、「社会が違っているだけ 君は間違っていないわ」と言い切る歌詞に、少年の頃の、心の何処かで自分の至らなさや非を認めず、「報われないのは自分ではなく社会が間違っている!」と思い上がって生きていた頃を思い出し、こっ恥ずかしくもある一方で、例え思い上がりでもある意味真っ直ぐな迷いのない心で突っ走っていた自分が懐かしくもあった。

 さすがに青臭い時代の思慮の足りない中での暴走を今に重ね合わせて走る事は出来ないが、倦んだ日常を離れた大人解放の時間だからこそ、分別ある大人の思慮(と言い切るには修行不足だが…)と体からは消えても心からは消えない若さの良きコラボレーションで「ALL RIGHT」と言い切れる日々を目指して、この曲のリリースが非常に楽しみになったものであった。
アンコール3.ら・ら・ら
簡易感想 例によって、例の如くこの曲が今回もトリを務めた。
 今回は摩季ネェが歌唱講師を務めている教え子四人も壇上に登場し、観客達も起立こそしなかったものの、いつも通りに腕を振りつつ定番:「摩季ネェの老後の楽しみ」は今回も挙行された。
 過去、様々なライブ・歌番組で司会者・ゲスト・共演者達が壇上の摩季ネェとともにこの「ら・ら・ら」で締め括った記憶は枚挙に暇がないが、での前座バンドの参加や、POSITIVE SPIRAL TourでのKAZUMIさんやメイク・ア・ウィッシュ・オブ・ジャパンの方々の参加を見ても、今回の教え子の皆さんの参加にも言えるが、本当に様々な方々が共に参加してこその「ら・ら・ら」であることを改めて実感した。

 いつの間にやらライブのトリが「ら・ら・ら」であることを当り前の様に受け入れ、「ら・ら・ら」が歌われない内は摩季ライブは終わりとは思わず、「ら・ら・ら」の終了にライブの終了を感じて惜別の情に囚われ続けて来たが、今回のライブコンセプトからも、倦んだ大人の日常からの束の間の解放を経て再度日常に向かう為にも、「ら・ら・ら」に歌われる「あなたに会いたい」の心に対して、別れを惜しむ意味ではなく、再会への約束として向かい合いたいと思わされた。
所感 ライブ会場も、洒落たバーに座して見る雰囲気も、日常のライブになかなかない解放の時間に新鮮ながらも、どこか15周年記念ライブスナック摩季に通ずる面も多く、何所か「懐かしい匂いがした」ライブでもあった。

 時間にして一時間チョットの僅かな解放の時間で、ライブ直後に急ぎ湘南に向かわなければいけないこともあって、ファン仲間との挨拶もそこそこに会場を後にしたこともあって、「花の六本木」の通称の如く短い「花」の時間に量的な物足りなさが無かった訳ではなかったが、摩季ネェがライブで唄われることの少ない曲を選曲(「名前もしらないキミに」「Good-Luck Woman」)してくれたことも嬉しかった。
 
 この文章を書いているのは2010年3月2日で、この時点でダンエモンは5月と6月に岡山と大阪で改めて大人解放クラブツアーに参加予定だが、もう少し長めの時間に懐かしの曲への注目を加え、歌詞を完全に知った状態で「IT’S ALL RIGHT」を聞くのが今から楽しみである。

 

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平成二二(2010)年三月二日 最終更新