大人解放クラブ

正式タイトル正式タイトル Maki Ohguro LIVEHOUSE TOUR 2010 �狢膺猷鯤�クラブBLACK CAT STAGE∞2��




日時2010年8月28日(土)18:00開演
場所大阪府貝塚市
コスモスシアター 大ホール
背景 2010年1月30日に始まった大人解放クラブのツアーがファンクラブ限定の「∞1」から「∞2」へ移行し、前月のなんばHatchに続いて、大阪は貝塚市に摩季ネェがやって来た。

 2010年に入って6回目のライブ参加で、大阪では6月に続いて3度目になるが、この時のダンエモンの脳裏には喜びもあったが、それ以上の衝撃の方がまだ強く抜け切っていなかった。


 それはこのライブの3日前である8月25日に突如発表された
「大黒摩季無期限活動停止宣言」
にあった。


 実の所、ダンエモンはこの日のライブ参加を見送るつもりでいた。2ヶ月前に半ば偽りの理由で会社を休んで大人解放クラブに参加しようとしていたがバレかけて、下手したら、減給・退職の危機さえあったこともあり、詳しくはここに書けないが、その他にも様々な事柄で鬱々としていたこともあって、「こんな気持ちでライブに参加しては摩季ネェに失礼じゃないか?」という考えに取りつかれていた。

 活動停止宣言の少し前、8月25日にファンクラブ公式HPである『Mドライブ』のリニューアルされることと、9月5日に放映開始となる『仮面ライダーOOO』の主題歌が摩季ネェの「Anything Goes!」であることを知っていたので、摩季ネェの更なる活躍を期待こそすれど、活動休止など予想もしていなかった。

 8月25日の早朝にそれを知ったダンエモンは即座にローソンにてチケットを申し込み、当日支給された給与から支払った(おかげで席はかなり後方だった…)。迷いは全くなかった。偏に、


「これを逃したら、次何時摩季ネェに会えるんだ………?」

の念しかなかった。

 また宣言当日はアルバム『すっぴん』の発売日で、それ以前の大人解放クラブでは何曲かの歌で歌詞を知らないまま参加していたが、今回は歌詞を知った上で参加出来た訳で、「もし6月の社内トラブルが無かったら…。」、「もし摩季ネェが完全健康体でエムドラリニューアル、ライダー主題歌を存分に楽しめる状態で参加出来たらどんなに嬉しかったか…。」等の想いが去来し続けた。

 ともあれ、決心した以上は摩季ネェの姿を、声を、想いを、六感に焼き付けるのみ、であった。
 摩季ネェ同様、自分にとっても初めての貝塚市(←通過したことぐらいはあると思うけど)。初めての地で一時的とはいえ、休止の時を迎える心境にとても素面でいられず、残暑が厳しい中、(朝から)ビール4杯を飲んでライブに臨んだダンエモンだった(←大馬鹿野郎である)。

内容
1.アイデンティティ
簡易感想 これまでのライブで激しいスタートを切る為に「熱くなれ」がトップバッターを担ったことは度々あったが、このアイデンティティがトップを切ったのは、ダンエモンが知る限り初めてである。

 詞・曲ともに激しさが魅力である一方で、2008年の Live Bomb!! Level6ツアーではバンドメンバーのアクションが、今回のツアーでは皆で『8時だよ全員集合』の早口言葉で志村けん氏の振り付けを真似たコミカルなパフォーマンスも捨て難い一曲なのだが、今夜ばかりはその激しさに、日々の鬱憤も、間もなく摩季ネェに会えなくなる寂しさもぶっ飛ばす如くにすべてを委ねたい気分で吠えたのだった。
 まさしく「吠えろ吠えろLEADER」の気分で、目の前の、「LEADER」とともに「吠え」られる時間が次はいつなのか?と思えば、叫びにすべてを乗せて、摩季ネェの元に飛ばしたい気分だった。

2.夏が来る
簡易感想 叫ぶだけ叫んだら少し落ち着いたのか、ライブの定番曲をリラックスして聞ける状態に、ようやくなることが出来た。

 少し懐かしかったのは、摩季ネェから「独身者いる〜?」との声が掛ったこと。
 かつてはこの曲が歌われる度に同様の質問が為され、2003年に摩季ネェが結婚してからは為されなかった質問だった。
 「次ぎ合う時までには「夏」を迎えてね。」という摩季ネェからのメッセージ、と捉えるのは考え過ぎだろうか?(苦笑)

3.夏が来る、そして…
簡易感想 摩季ネェが「夏が来る」に続けてこの曲が歌ってくれたのは、実に2003年のRHYTHM BLACKツアー以来で、七年振りのことだった。

 ファンにとっては、「夏が来る、そして…」が「夏が来る」の続編になっているのは周知のことで、「あれから10年経ったけど」の歌詞を聴きながら、両曲がリリースされる間には本当に10年の時間が流れていたのを今更ながらに思い出した。
 そしてこの2曲を続けて歌われた日から七年の時を経て、独り者を続けている我が身を情けなく思ったのは言うまでもない。最後には、摩季ネェはこの歌を歌った直後に「夏が来」た=結婚したことを述べていた。

 時を経て変わらないものと、時を経て変わるものがあるから、思い出を振り返ることに意義があることを思い知らされた瞬間でもあった。

4.ネッ、〜女.情熱〜
簡易感想 実はこの曲、数多くある摩季ネェのシングル曲において、道場主が初めて発売日に買ったものである。
 決して皮肉を言いたい訳ではないのだが、間もなく長く摩季ネェを見られなくなると思うと、「強がっているよ そりゃめちゃくちゃ寂しいよ 未来も恋愛もみんな不安だらけだけど」の歌詞を冷静には聴けなかった……。
 まさに1999年の充電目前にして、初めて生で摩季ネェを見た時の想いが思い起こされてならなかった(ちょうど季節も同じ8月だった)。

 この歌詞の直後に「ひとり諦めるのもすべて懸けて飛び込むのも 同じ勇気がいるなら…」と続く訳だが、勿論人生年がら年中博打みたいなことはやっていられないが、こういった覚悟で決断しなければならない時が幾度か存在するのは間違いない。
 この日のライブで摩季ネェは「海外留学に行くのを見送る気持で待っていて。」と仰っていたが、そんな摩季ネェの覚悟を示したもの、と受け止めたい次第である。

5.別れましょう私 から消えましょうあなたから
簡易感想 ここで摩季ネェは上着を脱いで、上半身は白いスリップ状のコスチュームとなる。
 歌詞に「欲しがっていたドレスを手に入れた後の優越に似ているの 今はクローゼットの中」という部分があるが、上着を脱いだのはその比喩だろうか?しかしそれならそれで直後に控える「活動休止」をもって摩季ネェが「脱皮」し、「復帰」を迎える我々もまた成長した姿を持って、その時を迎えたいものである。

 いつだって「別れ」は辛い。ましてこの歌の「別れ」は「愛してる私は 傷ついてるホントはね」という心境の主人公の方から切り出している。だが、「マイナスだらけの未来」を避けるためではなく、「プラス「だらけの未来」」を掴む為に、摩季ネェが敢えてしばしの「別れ」を選んだことを前向きに受け止めたく思った。
 さすがにここまで来ると、ただ嘆いているよりは、摩季ネェと共有する時間に固執したい気持ちの方が強まったと言えようか。

6.永遠の夢に向かって
簡易感想 定番曲によるヒートアップは続いた。ライブの度にこの曲に接し、下手なコメントはワンパタに陥ってしまいかねないが、それでもこんなライブだから繰り返したい。

 「うわべの安全な幸せ かなぐり捨ててしまえ 死んでもいいと思えるような 何かに向かってツッ走りたい」

 ライブの度に心待ちにする歌詞だが、まさに今の摩季ネェの心境として受け止めたい。
 上っ面だけを捉えれば摩季ネェはこの歌詞と逆の行動を取ろうとしている。しかし、病身を無理押しして、万全ならざる身で歓声を浴び続けることこそ「うわべの安全な幸せ」で、完治した真の身体で全力投球するアーティスト然とした姿勢こそ、「何かに向かってツッ走」ることと訴えたかったのではなかろうか?

 なれば、ダンエモンに出来ることは、よりパワーアップした身体で「ツッ走」って来る摩季ネェを全身で受け止める日に備えて、これまでの摩季ネェの偉業を訴え続けることであろう。

7.ひとりぼっち
簡易感想 ここからはしばしバラードとなる。この「ひとりぼっち」をライブで聴くのは初めてではないが、アルバム『すっぴん』のリリース後に聴くのはこれが初めてである。
 やはり、歌は歌詞が分かった状態で聴きたいものである(笑)。

 歌詞を一通り知ってから、目の前で摩季ネェが歌っているのを聴くと、改めて寂しさの中に揺らぐことのない家庭の温かさが得も言えぬ一曲であることに気付かされる。
 殊に「愛の中にいるのに 幸せなはずなのに ひとりぼっち 公園の隅に取り残された子猫のようだわ」の歌詞は真の暖かさ、真の孤独について考えさせられるが、ささやかな事でもここらから想う人の為に何かが出来るなら、またそういう行動を取るべき対象がいるのなら、決して孤独ではないだろうし、「孤独な自由より 贅沢な不自由」を選ぶことに迷いはなかろう。

 摩季ネェの為に「あったかいスープを作」ることは無いにしても、「あったかい」心と想いをもって復帰の日を待つことは出来るだろう。

8.I can’t stop the rain
簡易感想 実に11年振りに弾き語りでこの曲を聴いた。
 初めて参加した摩季ライブである千葉マリンスタジアムでのLive Bomb! Level3にて弾き語りで聴いた訳だが、11年前の記憶でありながら、ブルーを基調とした衣装で白いピアノを弾いてこの曲を歌い、納涼気分を醸し出していた摩季ネェの姿は昨日のことのように覚えている。

 さっきから、このライブをもってしばし会えなくなる(とこの時点で思い込んでいた)摩季ネェを惜しむ記述ばかりになってしまっているが、ラストの「ひとりにしないで」の歌詞は一際切なかった。
 また、歌の途中で摩季ネェは弾き語りを中止し、立ち上がって歌唱に集中したのだが、摩季ネェはこの瞬間を「好きな時間」と言っていた。

 余談だが、ライブ当日に豪雨が降っていても、始まる直前に止ませてしまう程の強烈な晴れ女である摩季ネェ(実話)は雨と無縁に見える一方で、この「I can’t stop the rain」以外にも、「Tender Rain」、「Rainy Days」と言った雨に関する名曲(←ダンエモンは勝手に「“雨”三部作」と呼んでいる)をアルバムに収録している(順に『MOTHER EARTH』、『LA、LA、LA』、『永遠の夢に向かって』に収録)。
 あたかも、「摩季ネェ=雨」の図式が『現実』には成立しないためにシングルでは現れず、それでも「摩季ネェ=雨」の図式が『名曲』として間違いなく存在すること示しているようで、アルバムに、ライブに大きな足跡を残していることに隠しても隠せない摩季ネェの魅力があるのではないだろうか。

 願わくば、「“雨”三部作」のみならず、「“風”三部作」(「風に吹かれて」、「風になれ」、「Go with the wind」)も絶妙なタイミングにてライブで歌われ続けて欲しいものである。

9.IT’S ALL RIGHT
簡易感想 白から黒へ。黒尽くめの衣装に変身した摩季ネェが、この度の大人解放クラブツアーを代表し、欠かせないこの曲を中盤にて炸裂させた。
 正直、今回のツアーではトリを務めてきた曲だったので、ここで出てきたのは驚きではあったが、快感の不意打ちは何度喰らってもいいものである(笑)。

 驚きつつも、イントロが響けば右手はシュートサインを作り、それを高々と頭上に掲げ、「Come on!」の呼び掛けに身を震わせたのは言うまでもない(笑)。
 歌詞の中に「彼女の前ではカッコつけてたい年頃だよね」とあるが、さすがに今宵ばかりは摩季ネェとしばらく会えなくなる寂しさに「彼女」=摩季ネェの前で「カッコつけて」いられなかった。
 それでも「FAR AWAY」、「CAST AWAY」、「THAT’S THE WAY」、「JUST ONE WAY」の歌詞の度に拳に力が入り、別れが寂しくとも、「君が信じるものを信じればいい」、「社会が違っているだけ 君は間違ってないわ」、「小さな力でも集めれば明日は変わること」の歌詞に新たな勇気が与えられたのも紛れもない事実だった。

 そして、これまたライブの、否、「IT’S ALL RIGHT」の定番だが、「自分を殺して愛を置き去りにして 何の意味があるだろう」に力が籠り、世の不条理と戦い続ける為にも「自分」と「愛」を大事にすることの大切さを思い直させられたのも同様だった。
 願いは完治とパワーアップに「IT’S ALL RIGHT」と言える摩季ネェの復帰である。

 ちなみに、この曲が歌われた直後にメンバー紹介が行われたのだが、ギターを務めていたのは原田喧太(はらだけんた)氏で、俳優の原田芳雄氏の御子息であることに会場は驚いていたが、かなり若々しく見えて実は40歳であることにも驚かされた。
 御尊父の芳雄氏には大河ドラマ『独眼竜政宗』で最上義光(政宗の母方の伯父)を怪演していたイメージが強いので、それも驚かせてくれた要因だったが、折に触れ真矢氏同様、摩季ネェを盛り上げ続けて欲しいものである。

10.ゲンキダシテ
簡易感想 この曲もまた1999年のLive Bomb! Level3以来にライブの場で聴くことが何とも言えない喜びの一曲だった。
 殊に2ヶ月前のスナック摩季にてこの「ゲンキダシテ」のC/W曲である「You are not mine」を聞けたことに得も言えぬ喜びを感じ、「ゲンキダシテ」に対する想いも増大していた所だったから殊更嬉しかった!

 摩季ネェに対する惜別が重く圧し掛かっていたから、改めて別れを受け入れつつも前向きになる想いと、潜める立場にありつつも募る恋心を歌ったこの曲が選曲されたことが嬉しくもあり、切なくもあった。
 特に「運命なら嫌がっても また会える」、「いつまでも 隠した弱さも 全部 愛してる」といった歌詞は四日前に初めて明らかにされた摩季ネェと病に関連した一時の別れに対する比喩も感じずにはいられなかった。

 だが、この曲が決して失恋にうじうじしているような曲ではなく、「ゲンキダシテ 信じた道を走り抜けて 星より輝いて ユウキダシテ わたしも祈っているわ 自由にはばたいて」と呼び掛けるように、目指す視点は遥か高みにある。
 そしてこの歌詞に託された想いは、摩季ネェから受け取りたい想いであり、摩季ネェに贈りたい想いでもあった。
 この度の活動休止宣言は、「アーティスト・大黒摩季」の活動休止を告げるものではあるが、そこに「一個人・摩季ネェ」、「一女性・摩季ネェ」の活動休止は存在しない。だから摩季ネェは自らが歌った歌詞である「あなたらしく生きて どこまでも いつまでも」を地で行ってくれることだろう。

 惜別の想いは拭えないが、「ゲンキダ」すことは充分可能である。

11.Fire
簡易感想 少し恥を晒すが、日々仕事に追われ、帰宅と供に寝込むことの多いダンエモンのライブレポートは実際の開催から何ヶ月も経ってから綴られることが珍しくない。
 実際、この文章を綴っているのは平成二三(2011)年四月一八日なのだが、この時点で「Fire」について触れるのは非常に気が重い。


 それは平成二三(2011)年三月一一日に発生した東日本大震災に起因している。


 何度も触れてきたが、この「Fire」は阪神大震災を受けて、「そう言えば神戸の街を忘れちゃいないかなぁ」の歌詞が含まれている。勿論阪神大震災経験者として、常にこの曲と震災はセットになり、想いを馳せることになるが、まさかこの時点から僅か7ヶ月足らずの内に阪神大震災を上回る最悪の地震を迎えるとは思ってもいなかった……。

 タイトルである「Fire」が意味する炎の熱気を受ける如く黒コートを脱ぎ捨てた摩季ネェの凛々しさにまた会う日を楽しみにしつつ頑張る気持を抱かされた。勿論地震と再会はしたくなかったのだが…。

12.あなただけ見つめてる
簡易感想 ライブ定番曲はさらに続くが、さすがに選曲・背景ともにここまで特殊だと、ライブの度に聴き慣れている定番曲の印象は薄くならざるを得ない(苦笑)。
 しかしこの幾度も味わった筈の時間が次いつになるのか見えないとなると、これまた寂寥感に襲われるのは否めないのであった(←さっきからこんなんばっかや……)。

13.熱くなれ
簡易感想 ダンエモンの喜と憂がない交ぜになった想いは想いとしてライブはヒートアップしていった。
 8月の暑さと、タイトルと曲調にもある「熱」さを表すように、摩季ネェは更に一枚脱いでグレーのシャツ姿となった。

 この「熱くなれ」は、今回の大人解放クラブツアーでは歌ったり歌われなかったりしている。また、スナック摩季や15周年記念ライブやライブハウスツアー(「大黒摩季とフレンド」によるもの)ではライブの趣旨や会場とのマッチングの関係で(は無いかと思われるのだが)歌われないこともある。
 しかし、この日、改めてこの曲がライブを、摩季ネェを代表する一曲で、冒頭の「Everybody everybody goes find your way」、サビの「Shining my life 時間を超えてこの想いあなたに届け」、締めの「もっと もっと熱くなれ」、サビ直前の「正義が社会救えないなら 愛しかないでしょ」の一つ一つが胸に響き、倦み疲れた日常だけではなく、生涯の中に見え隠れする様々な悲しみや辛苦、そして恐怖からも解放された気がした。

 摩季ネェと供に「熱くな」るのは喜びである。しかし摩季ネェが与えてくれた「熱」さが心から消えることは終生あるまい。

14.チョット
簡易感想 ここら辺りになるとライブも終盤に近付いている寂しさを感じる。だがそれに負けない高鳴りをライブ定番曲達は与えてくれる。
 様々な想いをもっていつもより多い酒量で参加したライブ(←と言ってもへべれけ状態で参加した訳じゃないが)故に「ワイングラス握りしめて 赤い涙飲み干した」の歌詞がいつもより妙な響きをもって迫って来た。

 ライブに開演と閉演がある様に、人と人の出会いにも別れがある。会者定離はこの世の定めなれど、「卑怯の逃げ方」を用いる別れや、自然消滅は勘弁願いたい、とダンエモンは常々思っている。しばし後に訪れる摩季ネェとの別れは決して、「二度と愛せない」ようになるものではない。
 普段摩季ネェから与えられる強さはこんな時に発揮するものだろう。

15.Life 〜episode �� 挫折〜
簡易感想 このライブの直前にアルバム『すっぴん』を購入し、大人解放クラブで歌詞を知らないままに聴いた数々の曲の歌詞が分からず、少々歯痒い思いをしていたので、今回は歌詞を知った状態で参加出来るのが喜びの一つだったが、意外にこのライブでは『すっぴん』収録曲は殆ど歌われなかった。
 それゆえに『すっぴん』収録曲を聴けたのは嬉しかったのだが、中でもこの「Life 〜episode �� 挫折〜」は同アルバム収録曲中、摩季ネェにとって「一番好きな曲」とのことだった(個人的には「IT’S ALL RIGHT」と並んで一番好きな「WILD FLOWER」を聴きけなかったのが残念だったが…)。

 上京からデビューまでの摩季ネェの自叙伝であるこの曲にちりばめられた摩季ネェの想いを表した歌詞が背後のスクリーンに次々と投影され、摩季ネェの背負ってきたものの重さを否が応にも高めていた。
 摩季ネェは今でこそベテラン歌手として多くの根強いファンを擁し、アーティストとして、シンガーソングライターとして独特の光を放ち続けているが、そんな摩季ネェでもデビュー前は「どこもNo Reaction No Way」に苦しみ、「私がいなくても 世の中は何も変わらない」という孤独と疎外感に苦しみ、それでも「だからこそ周りに諦められたとしても 自分で自分を諦めちゃいけない 負けるな マケルナ 私」と言い聞かせて、今の地位と栄光を掴んだことに比べると、ダンエモンは何程の事をして今苦しんでいるというのだろうか?と自問自答せずにはいられなかった。

 この曲の前身にして、シリーズ第一章である「Life 〜episode �誼太検繊�をライブにおいては2回聴いたことがあり、その度に摩季ネェが背負ってきた人生の重みを感じずにはいられなかったが、今回はそれ以上だった。
 実際、ダンエモンの人生はいじめられっ子だった日々、不合格、不採用、失恋、解雇、あわや自己破産、数々の趣味・スポーツにおける敗北、と「挫折」だらけである。
 それでも、(大人の力を借りてだが)いじめを撃退、(第一目標ではなかったが)一流高校・一流大学の合格、(短期間で終わったが)恋愛成就、(親に助けてもらったが)自己破産回避、(習い事における検定合格程度だが)幾ばくかの成功を収めてもきた。
 「挫折」無くして成功もまた無いのは世の常だが、打ちひしがれるだけの「挫折」は堪ったものじゃない。「挫折」してもやれる、「挫折」してもそれが終わりじゃない、とのメッセージは摩季ネェの人生にも、自分の人生も見て取れるし、見てとるべきとも思わされた。
 摩季ネェとの再会は信じて疑わないが、だからこそしばしの別れを前にして、この曲から「プライドは傷ついても 命を未来を奪われたわけじゃない 出来ることすべてをやれば きっと何か変わる」と「乗せられて自惚れた Fakeのダイアモンド 誰かに踏まれて欠けてしまうくらいなら この手で打ち砕いて ダイアモンドダストになれ 私の明日は私が決める」のメッセージを重く受け止めたい。

アンコール1.DA・KA・RA
簡易感想 白シャツに着替えて摩季ネェが再登場。こうしてこういう場で「DA・KA・RA」を聴くと、「STOP MOTION」という立派なデビュー曲が長い歴史の中で色褪せているのが残念だが、それだけ「DA・KA・RA」が世に為した影響は偉大なのだろう。
 何度か記したが、ダンエモンが摩季ライブで初めて聴いた曲がこの曲であり、程なく訪れる別れを前にして、初めてのライブ参加からこの日までの11年間の歴史が奔流となって圧倒してきた気分に陥った。

 勿論、11年とは言ってもその間には摩季ネェの充電期間もあれば、ライブどころじゃないどん底生活を送ったこともあった。だが、それらを含めて、この曲を聴きながら、この曲に始まった月日を「重い」と思えるのは喜ばしいことである。

 間もなく訪れる別れを前にして「さよならの Kiss にまかせて Just Fly」という歌詞を噛み締めてみた。
 勿論摩季ネェと「Kiss」は出来ないが(苦笑)、別離ではなく、「Just Fly」=未来に飛び立つ摩季ネェとして見送らねばならないとの想いは一層強まったのは言うまでもない。

アンコール2.ら・ら・ら
簡易感想 「ついにこの時がやって来た…。」という気分である。
。  常々、この「ら・ら・ら」が歌われる時間をライブにて迎える度に『笑点』の終了時間に日曜=休業日の終わりを迎えたのと似たような寂寥感を覚えるのだが、今回はいつもの比ではない。


 不覚にも涙が零れた……。

 笑顔で……笑顔で……見送らなくてはならない、と言い聞かせていたのに………。

 別段、死別でもなければ、引退する訳でもなく、再会する日は必ず来ると言うのに……。


 それでも…。

 それでも…。

 涙は零れた…。

 そりゃ、号泣したり、泣き崩れたりした訳無いが、いつもの「ら・ら・ら〜 今日も明日もあなたに逢いたい」の大合唱に、時間にして1、2分程度の滂沱に過ぎなかったが、記念ライブ等で周囲の人が感極まって流した涙に比べると何ともみっともない話である。
 勿論悲しみは否定しない。だが摩季ネェは摩季ネェなりに強い決意をもって、完全な体調を取り戻す為に「無期限活動停止」を決めたのだから、笑顔で見送るのが礼儀だと思っていたのから、涙は不覚だったように思えてならなかった。
 決して最上の見送りを出来たとは思わないが、その時はその時で未来の大合唱に想いを馳せ、想いの丈を込め、「ら・ら・ら」を歌い続けた。想いの強さだけでも摩季ネェに伝わった、と信じたい所である。

アンコール3.Happiness
簡易感想 てっきり、先の「ら・ら・ら」でラストと思っていたから、もう一曲聞けたのは嬉しかった。しかもアルバム『HAPPINESS』の収録曲がメインとなった6年前のツアーで聴いて以来だったから、そのことも嬉しかったが、別れの直前にこの曲を選んでくれたことに、摩季ネェのファンへの気遣いも窺えたし、同時に涙を流した自分を改めて不覚にも思った。

 最初から最後まで無期限活動停止を目前に控えていることが様々な想いをもたらしてくれたライブだったが、それでも「あなたにピースをあげられる私でいたいんだ 約束するよ 極上の\w^o^w/ Happiness♡」の歌詞と、込められた想いが、ダンエモンの中にあったネガをかなり解消してくれたように思われた。


 改めて確信した。

 無期限活動停止中とはアーティストとして、シンガーソングライターとしての話で、人間・大黒摩季=摩季ネェは「走り続ける」ということを。


 無期限活動停止は文字通りいつまでかは分からない。だが、アーティストとして、シンガーソングライターとしての摩季ネェがまた「走り」出す日が来ることは些かも疑っていない。
 しばしの滂沱に暮れたダンエモンだったが、少しは笑顔を取り戻して摩季ネェを見遅れた様に思う。その意味で、最後がこの曲で会ったことに感謝したい。

所感 アンコール三曲が終了し、摩季ネェを始め、バンドのメンバーも完全に引き上げた後の舞台に近付いた。
 前述したが、思う所あって、この貝塚でのライブは当初参加を見送るつもりでいた。しかし無期限活動停止を知って、大慌てでチケットを入手した為か、獲得した席は最後方に近かった。
 だからこそ摩季ネェが去った後の舞台に、あたかも摩季ネェの残り香を求めるかのように舞台に近付いた。

 だからと言って何をした訳でもない。舞台に上った訳でもなく(←上ったら馬鹿だろう)、ただ壇上に手を置いて、ついさっきまでそこにいた摩季ネェを想った。
 しばし想いを馳せた後、ライブに参加した日にしては珍しくまっすぐに帰宅した。同じ大阪でも貝塚市とダンエモンが住む某市では些か移動に時間がかかる故に(それでも私鉄1本分だけケチって歩いたが)。
 だが、それだけではなく、様々な想いが交錯しまくった故に、いつものようにライブの余韻を肴に酒を飲もうという気にはならなかった。
 次に摩季ライブに参加する日がいつになるか分からないゆえに寂寥感が拭えずにいるが、それだけ大きな想いがたかだか数年の歳月で色褪せるとは思えない。この日の様々なメッセージと想い、そして1週間後に始まる『仮面ライダーOOO』の主題歌という置き土産を糧に、いつでも復帰する摩季ネェを迎えるに恥じない自分の成長を期すことが今、ファンに求められること、と念じての帰途だった。


 

ライブレポート一覧へ戻る
摩季の間へ戻る

平成二三(2011)年四月二六日 最終更新