SUN&MOON

正式タイトル 岡本真夜15周年記念 LIVE『SUN&MOON』1st




日時2010年5月8日(土)14:00開演
場所東京都港区
スイートベイジルSTB139
背景 1995年5月12日にまで全国4ヶ所でアルバム「TOMORROW」でデビューした岡本真夜さんの、デビュー15周年を記念して行われたファンクラブ限定ライブである。

 会場となったSTB139はレストランと見紛う様な会場で、ダンエモンは3ヶ月チョット前に大黒摩季さんのライブをこの会場で経験しており、跳び跳ねたり、踊り狂ったりする会場ではない事を知っていたので、15周年記念に相応しい荘厳さと、今まで参加した真夜ライブではなかった雰囲気を楽しみにしつつも、会場で注文すべき飲食物の価格に頭を痛めていた(苦笑)。  殊に前回は懐具合から断念したシンガポール・スリングというカクテルを飲みたかったので……。

 また、何の因果か、記念すべきデビュー15周年を目前にした4月に、中国は上海で開催されている万国博覧会において、テーマソングとして歌われた曲が、「そのままの君でいて」を盗作した疑惑による一騒動もあり、真夜さんの意向と、万博サイドの対応により大事に至る雰囲気ではなかったが、真夜さんが妙な形でクローズアップされたのが些か複雑でもあった。

 ともあれ、くじ運良く(←整理番号5番!)前から2席目に座し、開演前からビールを2杯飲む大馬鹿野郎振りを露呈しつつ、真夜さんの登場を心待ちにしていた。
 着席した一は3ヶ月前に、大黒摩季さんが2階から現れてファンの間を通って舞台に上がった直前の位置にあり、真夜さんと握手出来ないかを狙っての位置だった(笑)が、肝心の真夜さんは舞台奥から現れて、握手は叶わなかった(泣笑)。
1.想い出にできなくて
簡易感想 ツアーでは最新アルバムの曲がレパートリーに並ぶが、初めて参加する記念ライブにトップを務める曲は全く予測がつかなかった。壇上にあるビアノを見て、弾き語りが行われるのは容易に予測されたが、この「想い出にできなくて」がトップバッターだったのには驚いた。
 ライブレポートを作る以前は歌われた曲をメモってなかったので、記憶に自信がある訳じゃないが、ダンエモンの記憶が確かならこの「想い出にできなくて」をライブで聴くのは初めての筈で、ビデオでしか知らない Helloツアーが眼前に現れたようだった。

 舞台奥から現れた真夜さんは水色のロングドレスジージャン風のチョッキを纏い、アップの髪型で、大きめのリング状のイヤリングを着けて登場し、登場するやいなや弾き語りに入った。
 ダンエモンの座った位置からは、弾き語り中は背中と右半身が辛うじて見えるという些かいい位置に座っては貰えなかったが、曲調の割に少し強めのリズムで鍵盤を叩く真夜さんの姿からは、15周年というこの良き日のスタートに対する意気込みが見られるようだった。

 そしてこの曲を聴く度にいつも思いを馳せるのが「あなたの番号 最後まで押せなくて 時だけが 過ぎてゆく」「"会わなければ 忘れられる"そう思ってた でも会わなければ 会わない分 募る想い」の歌詞である。
 女々しいと言われるかも知れないが、ダンエモン=道場主はいまだにかつて愛した人達の電話番号を記憶している。電話番号は実際には一度もかけなかったものや、もう使われていないものや、繋がったとしてもその家にいる可能性はないものばかりだったりするのだが、記憶からは消えず、相手も道場主の事を忘れているか、思い出したくもないだろうけれど、やっぱり意識せずとも脳裏から消えはしない。

 CDで聴いていてもそうだが、「"会わなければ 忘れられる"そう思ってた でも会わなければ 会わない分 募る想い」の歌詞で、「忘れられる"そう思ってた」から「でも会わなければ」に移る間の曲調には胸打たれるものがあるが、間近で見るとそれを通り越して圧倒さえされたライブの始まりだった。
2.泣けちゃうほどせつないけど
簡易感想 この曲はシングルに収録されているオリジナルとアルバム『Smile』に収録されているものでは前奏が些か異なるのだが、ダンエモン的には後者の方が好きで、今回のライブでも弾き語り故に前奏が強調されたようで、「桜の花びら 舞う」には些か季節遅れながら、GW明けに似つかわしくない暑い日(当日六本木の街を歩く外国人のお姉さんはかなり肌を露出させていた)に不釣り合いでありながら、冷たい黒ビールばかり飲んでいた体には何とも心地よい陽気がもたらされた。

 15周年記念ライブというシチュエーションもあってか、各曲(特にファンになったばかりにCDを買い集めた頃の曲)を聴く度にその曲と出会った時のことを思い出す。
 この「泣けちゃうほど 切ないけど」との出会いは13年前に仙台で見た番組で唄われていた「そのままの君でいて」のシングルをレンタルしようとして、一緒に目に付いたシングルを借りたのがきっかけで、直後に「キューティーハニー」のエンディングも偶然見た記憶がある。
 曲調そのものは大人しく、「泣けちゃうほど 切ないけど」を繰り返し、別離の中に愛する人の帰りを待つ「静」の姿に見えつつも、「あなたが大スキ 私全部でスキ」と一喝(?)されると今にも溢れださんばかりの「動」を感じずにはいられない。
 勿論、それは弾き語りの場では幾重にも増幅されていたことは言うまでもない。
3.元気でいますか
簡易感想 2曲歌ったところで真夜さんから挨拶があり、前述の「そのままの君でいて」と上海万博のテーマソングを巡る騒動については「すべてを事務所に一任する。」との発表があった。
 外野が生意気かもしれないが「それでいい。」と思った。事務所にとっては笑い事じゃないだろうし、真夜さんにも持ち歌への思い入れからも思う所はあるだろうけれど、この程度の騒動で「そのままの君でいて」への想い入れが強くなりこそすれ、その魅力が汚されることはない。
 故にダンエモンもライブ参加前はこのレポートで一連の事件について述べることもあるかと思っていたが、当日の真夜さんの言葉を聞いて、もはやこの問題についてはこれ以上触れないことを宣言する。


 さて、引き続き弾き語りで歌われた「元気でいますか」だが、ダンエモンの記憶に間違いがなければライブでこの曲を聴くの初めてで、真夜さんの口からはこの曲が弾き語りの形で唄われるのは最初のライブ以来とのことであった。
 もっとも、ダンエモンのイメージでは「どうしたらいい? どうすればいい?」から「いつか逢える? いつかとどく? ねぇ 教えて」の歌詞への静かな盛り上がりはピアノ伴奏なしには考えられないイメージがあるから、ライブでの初体験でありながら、弾き語り以外で聴く「元気でいますか」の方が想像つかなかった。

 しかしながら初めてこの曲の解説を書こうとした時、たまたま解説を綴っていた曲の順番からも随分この曲を「暗い曲」と位置づけ、ライブで聴くのに相応しくない、と捉えていたので、ライブで違和感なく聞いている自分に驚きもした。
 恐らく、11年前に初めてライブに参加した時にこの曲を聞いていれば面食らっていたと思う。ライブに初めて参加したり、特定の曲を初めてライブで聴くときのインパクトに後々の経験は勝てないことが多いが、経験があって初めて堪能出来るものがあることを思い知らされた一時でもあった。
4.ANNIVERSARY
簡易感想 正直、この曲を冒頭に近い時間に聞いたのには驚いた。確かに2007 Soul Loveツアーでは中盤近くに歌われもしたが、初めて参加した1999魔法のリングにKissをしてツアーを始め、トリやアンコールで聴くことが多く、アルバムでもトリに収録されることが多いこの曲がこんな始めの方で聴いたのは初めてである。

 ダンエモンがこの曲と出会ったのはファンになり始めた頃に仙台にてTVで見た「そのままの君でいて」のシングルCDをレンタルしたのがきっかけで、C/W曲だったこの曲に出会った訳で、ファンになりたての頃の心持ちもあってダンエモンの中で印象の深い一曲である。故に何度聞いても色褪せないし、15周年記念ライブにこの曲が出てきたことに対する必然と感謝を同時に堪能したものである。

 何度も聴いて、ライブでさえ聴き慣れたこの「ANNIVERSARY」だが、今回は地理的要因もあって、特に思う所があった。
 というのも、ライブに参加したここ六本木だが、1999年に初めてライブに参加し、2004年に独り暮らしが立ち行かなくなって故郷大阪に戻ったダンエモンにとって、東京での真夜ライブ参加は実に2000RISEツアー以来10年振りのことで、2000RISEツアー「九段下」にある日本武道館でフィナーレを迎え、その一年後に「九段下」で務めていたこともあったので、人生の中でも3本の指に入る程バタバタした時代の記憶を思い出さずにはいられなかった。
 この日のライブで「seasons」が聴けなかったのは些か残念だったが、2年前の2008〜2009seasonsツアーでの計らいはこんな時にこそ活かして欲しかったものである。ま、通常のライブに比べて短めの記念ライブでそこまで求めるのも酷ではあろうが。
 余談だが、ライブの場で真夜さんの口からこの曲は真夜さんが19歳の頃に作ったものであることが紹介された。そう考えると、真夜さん自身の思い出深さも、持ち歌への愛着を越えて大きな物があることだろう。

 ともあれ、気分は15周年記念という文字通りの「ANNIVERSARY」に、「何年 経っても あなたに ときめいていたい」気持ちを込めて乾杯である(あ、そういや本当に飲んでた…いつものことだけど…)。

5.大スキ!
簡易感想 ここで弾き語りが終了し、一転して皆で大合唱。しかしその対象がこの「大スキ!」であることに吃驚(笑)。
 広末涼子さんに提供された楽曲であることはこの頁を読むような方には解説不要だが、私見を交えると広末さんに提供された楽曲ではダンエモンはもう一つの存在である「明日へ」の方が好きである。
 ともあれ2008〜2009seasonsツアー「がんばるリーマン!」に続いてサビを皆で唄うのは非常に楽しく、「とっても とっても とっても とっても大スキよ」という単調な繰り返しさえこみあげて来る物があった。

 楽曲解説にも書いたが、ダンエモンは個人的に「ダーリン」という台詞が馴染めないので、その部分を歌わずに済んだのはチョットほっとした(苦笑)。
 この曲、もしダンエモンが真夜さんのファンになっていなければ今でも「広末の曲」というイメージで記憶されていただろうけれど、ファンになってからも長く「作ったのは真夜さん、唄うのは広末」のイメージは続いていた。勿論それはこの曲が真夜さんに会わないのではなく、広末さんのイメージが強いのと、他の真夜ソングの中に印象深い曲が何曲もあるからに他ならない。
 いずれにしてもこのライブがこの「大スキ!」に真夜ソングとしての今までにないイメージをダンエモンの脳裏に焼き付けたのは間違いなかった。

6.Alone
簡易感想 真夜さん曰く、「ヒップホップの想い出」として思い入れのある曲がこの「Alone」とのことだが、静かな存在感がある曲に間違いはない。

 ダンエモンにとっては(記憶に間違いがなければ)2000RISEツアー以来10年振りにライブの場で聴く曲で、その時語られた、「TOMMOROW」で形成された「岡本真夜」に対する世間のイメージに初めて別のイメージを形成させることに成功した想い出が語られたのを記憶していたから、こういう場にこの「Alone」が欠かされることなく出て来たのは文句無しに嬉しかった。

 また今回のライブでは真夜さんとの距離が近かっただけに、「寄り添えば包んでくれる でも欲しいのは同情じゃない」の歌詞には体の距離と心の距離を考えさせられずにはいられなかった。文字通りの物理的な距離、時が刻む距離、心の距離、「同情」「愛」の距離は果たしてどれだけ大きいのだろうか?
7.宝物
簡易感想 真夜ソングの中ではダンエモンにとって影の濃い方ではないが、2007Wonderful Colorツアー以来4年振りに聴けたことや、記念すべき、文字通り「宝物」ともなる想い出の15周年記念ライブで聴けたことが嬉しくなる選曲だった。

 15周年とは一つの区切りに間違いないが、同時に30年、45年へのステップであり、スタートラインでもある(←大袈裟に想う人もいるだろうけれど、ダンエモンは本気でそれ以上の長期活動を期待している)。だからこそ曲調こそ穏やかでも「明日は きっとHAPPY DAY  今日より もっとHAPPY DAY」という何度も聞き慣れた歌詞に妙な強さを覚えたものである。
 そして歌詞ではないから書き表しにくいのだが、ラストのハミング(?)もいつもとかなり異なる終わり方で、これまた新たな始まりを強調しているようだった。

 思えばダンエモンが初めて参加したライブは1999魔法のリングにKissをしてツアーで、このツアーでのオープニングはヌタ吉君という名のサックスを吹く真夜さんが歌うこの「宝物」だった。
 目立つ曲ならずとも、新たな「宝物」となってくれたことを嬉しく思う限りである。


8.Life
簡易感想 この曲をライブで聴くのは三度目である。この曲がリリースされた頃、ダンエモンは極端な生活苦状態にあり、CDの発売にも気付き得ない状態だったことと、この曲がこのライブの時点ではアルバム未収録だった為、この曲の存在感が自分の中で軽くなり勝ちだったが、ライブで聴き、周囲の盛り上がりを見ればファンとしてまだまだだと改めて思わされた。

 そしてそう想っていた直後に自分のファンとしての至らなさを更に思い知った。15周年を祝してファンクラブより大きな花束が真夜さんに贈呈されたのである。勿論心の底より共に祝福したが、こんな動きがあることを俺は全然知らなかった(苦笑)。

 それでも15周年記念にこの曲を聴けたのは文句無しに嬉しかった。2009年末より2010年8月に至るまでダンエモンの日常は順調とは言い難く、このライブ参加時も(主に仕事に対して)何度も逃げたいと思っていたし、実際に逃げた仲間も多かった。そんな折に「痛みのない幸せなんて きっとないから」「愛する人たちを思えば ほら ちょっとぐらい 胸の傷 痛んでも」「迷いながら もがきながら 耐え抜くこと それもLifeなんだろう」と聞けば、ただ無意味に日々痛い目にあっている訳ではないことを思い知らされるし、痛みを理由に逃げては痛みが本当にただ痛いだけで終わってしまうことも思い起こされた。

 そしてこれは全くの偶然なのだが、ライブの2週間ほど前、出勤途中にデジタルオーティオプレーヤーでこの「Life」を聴いていた時、丁度「変わり続けてく この街の片隅で どんな風吹いても アスファルトには花が咲いてる」の歌詞に至っとき、本当に「アスファルトに咲く 花」を見た。その記憶が薄れない内にこの曲が聴けたことに感謝する次第である。
9.そのままの君でいて
簡易感想 ファンなら既に知っていることだが、この曲のシングルジャケットは赤いコートを着た真夜さんが小さなピアノを前にしている。そしてプロモーションビデオでは実際にピアノを演奏するシーンもある。故にこの曲は弾き語りで聴きたかったが、この時点で真夜さんは楽しいノリを重視していたので、これはこれで良かったのだろう。

 真夜ソングには再会を喜ぶ曲も多く、この「そのままの君でいて」もその一曲なのだが、ダンエモンにとって摩季ファン仲間、椎名ファン仲間に比べて真夜ファン仲間の知り合いは極端に少ないので、現時点では再会を楽しむシーンは見られないのだが、前述したように東京という地での真夜ライブが実に10年振り(それこそ「1年振りだね」どころではない!)の為、「ずっと心に そっとその胸に」抱き続けて来た想いが洗われたようでもあった。
10.TOMORROW
簡易感想 説明不要の代表的真夜ソングが今回も当然のように唄われた(笑)。そして今回はマイクが観客にも向けられ、サビの部分は参加者と一緒の大合唱となった。記念すべきことである。

 ファンでなくてもこの曲を知り、好む人は多く、道場主もファンになる前から、否、デビュー時点で既にこの曲を好きになっていた。
 真夜さんにとっても大切な一曲であると同時に、今をもって真夜さんの代名詞となっていることに対し、今回のライブで真夜さんはこの「TOMORROW」「自称バケモノ」と評していた(笑)。

 既にライブの度に何度も耳にして、唄う真夜さんの姿を何度も目に映して、様々な想いがあり過ぎてコメントに窮するこの曲だが(苦笑)、前述したように「Life」を聴いた際に「アスファルトに咲く 花」に想いを馳せていた分、「涙の数だけ強くなろうよ」という歌詞に共感する気持ちは一入だった。

11.Destiny
簡易感想 真夜さん曰く、「ここでしっとりとした曲を」ということでこの「Destiny」が唄われた。
 真夜さん自身は記念すべきライブでしっとり目の曲を唄うことに躊躇いもあったそうだが、そもそもファーストアルバム名にして、ファンクラブ名でもある『SUN&MOON』自体が、元気の意識した太陽=『SUN』と、しっとりを意識した『MOON』が由来になっていることが話された。初めて知って「成程」、と思っていたが、もしファンの大半が知っているなら改めて私はファンとしてまだまだだと思う。

 ともあれ、印象的だったのはダンエモンも想いの強さとして注目する歌詞である「許されるのなら もう一度 あなたのその腕の中 身を委ねたい」の歌詞が唄われる際に「許されるのなら」の部分がかなりのスローテンポで唄われ、想いの強さを強調する技法としてなかなかのものがあった。
 求めて叶わないもの程気持ちが増幅される様を唄ったとものとして「想い出にできなくて」「“会わなければ 忘れられる” そう思ってた でも会わなければ 会わない分 募る想い」と二大双璧を為すことを感じいらさせられた。
 確かに目出度い曲ではないのだが、15年という時間、そして恐らくはそれ以上に長いアーティストライフを過ごすであろう真夜さんの想いの強さを唄うものとして記念ライブにこの曲がエントリーされたことは大正解だったと言えよう。
12.君にありがとう
簡易感想 アルバム『seasons』収録曲であるこの曲は数ある真夜ソングの中でダンエモンの中でそれほどの存在感を持っていなかったのだが、記念ライブで真夜さんがファンに感謝し、ファンが真夜さんに勇気を与えられた15年間を思うのに相応しい曲として聴いていた。
 そんな予想通りに真夜さんより「15周年への感謝」が込めて唄われた。

 前述したように、東京で真夜さんのライブに参加したのは10年振りだったが、その10年前、そして初めてライブに参加した11年前は東京に住んでいたので15周年記念と共に当時に帰還した気分でもあったから、「Ah君にありがとう Ah笑えてよかった 二人 たとえ 離れていても Ahいつまでも 生涯の友よ」の歌詞に代表される再会の想いは格別だった。
 真夜ライブ自体は1年半ぶりとは言え、大阪帰還後も2006年以来ほぼ毎年ライブに参加していたから「10年振り」を口にするのは些か大袈裟なのだが、それでも場所的なものもあってそれに匹敵するだけの想いの強さを感じずにはいられなかった。

 ただ、少々愚痴を言えば真夜さんも大黒摩季さんも結婚してからはファンが「友達」として歌いかけられるシーンが目立つので、11年前の1999魔法のリングにKissをしてツアーでは自らを真夜さんの彼氏候補と(勿論勝手に)辞任して真夜さんを見ていた時と比べると少々降格した気分であった(苦笑)。

 また歌い終わった後にはこの曲が昨年、イオンのCMに使われたことが紹介され、ダンエモンは「セレブレイトスーツ」のBGMでもあったことは(知識として)知っていたが、その縁でフリーライブが行われていたことを不覚にも知らなかった…(恥)。
 だが今年も行われるとのことなので、是非とも参加戦との決意を新たにした。
13.魔法のリングにKissをして
簡易感想 一先ずここでライブは終わった(勿論アンコールはちゃんとあった)のだが、その最後の曲として、真夜さんが「歌い人として大切にしたい曲」と紹介されて、この「魔法のリングにKissをして」が唄われた。

 ダンエモンはアーティストではないが、広告やダイレクトメールを制作する仕事に携わったことがあった(短期間ではあったが)ので、自らの制作物に対して「駄作だ!」と嫌になるものものあれば、世間の評価に関係なく愛着持つものもあるから、真夜さんの一言は妙に胸に響いた。

 真夜ライブに1999魔法のリングにKissをしてツアーから参加し始めたこと、4年振りにライブでこの曲を聴くこと、もあって実に感慨深いものがあったが、先の「TOMORROW」に続いて大合唱が行われたのも嬉しかった。
 同時に1999魔法のリングにKissをしてツアーにても行われた、歌詞カードには書かれていないラストの歌詞である「La la la la la la la la la la la la la la la la la la la la la la Let's sing the song」が何度も繰り返され、最後の最後で「Let's sing the song」の直前の「la」が思いっきり延ばされ、ラストを静かに盛り上げていたアレンジに15年―個人の記憶的には11年―の時が持つ重みを感じずにはいられなかった。
アンコール1.I believe
簡易感想 15周年記念ベスト版アルバム『All Album Selection Best My Favorites』に収録された曲だが、リリースが予定より遅れたためにこのライブで初めて聴くこととなった。
 初めて聴く曲故に事前に好みの部分を夢想・期待し、胸を高鳴らせて聴くことは出来なかったのだが、それでもタイトルでもあり、各所で枕詞的に繰り返される歌詞でもある「I believe」の歌詞と共に「たとえ今が見えなくても」「どんなに小さな自分だとしても」の歌詞は深く胸に残った。

 「believe」とは「信じる」という動詞だが、この世知辛い世の中で、何かを信じる事の大切さを感じつつも、信じたくても信じられないのは非常に多い。
 何せダンエモン自身、仏教を信仰しつつも未だに御仏の声を聞いたこともなく、世の陰惨なニュースに対して「この世に神も仏もないものか…。」などと思うことすらある。何より自分に自信を持っていない。御仏を完全には、まして自分は全く信じられない状態で人や何かを信じるのは非常の難しいものがある。
 言い換えれば、だからこそ何かを信じたいのもまた人間の性だろう。そして前言を撤回する訳ではないのだが、最も身近である自分が自分を信じてあげられずに何も始まらないのもまた事実だろう。
 でかくて、偉くて、優れた自分なら信じることに躊躇いもなかろうけれど、叶わないからこそ、それでも身近である自分を信じることが欠かせないとも言える。そしてその想いこそは真夜さんがデビュー時から心掛けて来たものであったことが語られたのであった。

アンコール2.また会おうね また会えるよね
簡易感想 ライブのトリに相応しい曲としていつか聴きたいと思っていた曲がこういう場で聴けたのは本当に嬉しかった!!
 単純にアルバム『Smile』収録曲の中で一、二を争うほど好きな曲である、ということもあるが、再会を誓う曲として、終焉を惜しみつつも次回を楽しみにするライブのトリに相応しいと長年思っていたし、「そのままの君でいて」を彷彿とさせつつ、別れている時も思い出が心の糧となっていることに触れているオリジナリティも好きである故に。
 そして、唄うのに先立って、真夜さんの口からこの曲が「そのままの君でいて」のアンサーソングであることが告げられた。改めて、「そのままの君でいて」といい、「明日へ」といい、「同窓会」といい、真夜さんの(恐らくは学生時代と思われる)過去の仲間と再会を大切にする想いには頭が下がる。

 曲も終盤に差し掛かり、真夜さんから「もっと聴きたい?」と問いかけられた。返答がJa(Yes)かNein(No)かなど書くまでもなかろう(笑)。そしてその想いに応えるかのように真夜さんからはサビの歌詞が「会いに来てくれて 今日はありがとう」「心から感謝しています」に置き換えられた。
 節目の年の変わらぬ願いと誓いにこちらこそ感謝感激雨霰(←死語)であった。勿論同時に今後の真夜さんの益々の発展と活躍を期待して、次なるライブに向けて「また会おうね また会えるよね」を心に繰り返したのは言うまでもなかった。

所感 事前に色々ありながらも、その事に丸で影響されることなく、逆に消化吸収する懐の広さを表すかのように、しっとり系もノリノリ系も穏やかな雰囲気の中にも、15周年の歩みの強さと重さが内包される中に記念ライブは終了した。
 久々に東京で参加したこともさることながら、記念すべきライブに初めて参加出来たのは重ね重ね嬉しかった。

 真夜さんの今後に大いに期待するのは勿論だが、それと共にファンとしてまだまだな自分に気付かされた点も多かった。
 知識(曲の背景・行われている行事)的に足りていないのもそうだが、これまで当然の様に把握していた真夜さんの想いに対しても、真夜さんが抱くそれのはるか足元にも及ばない自分がいたことを思い知らされた。
 だが、その理由は自分に対する自信のなさにあり、だからこそ自らと自らの想いを大切に信じ、ネガティブなものとしない事の重要性を実感するいい機会ともなった。

 最後に、舞台奥より真夜さんと共に観客の写真が撮影された。大勢と一緒の写真とは言え、初めて真夜さんと同じ写真の中に映ることが出来た。
 これにより、椎名恵さん、大黒摩季さんに続いて、岡本真夜さんとも同じ写真に映れ、敬愛する女性アーティスト全員と写真を共にする、という野望の一つが達成した(笑)。次はツーショット写真だな(摩季さん、椎名さんとのツーショット写真は既に成功している)。
 ちなみに撮影された写真はファンクラブ会報『SUN&MOON』Vol.55の裏表紙に掲載されていて、ダンエモンは真夜さんの背後にあるアンプ2つの内、右側のアンプのすぐ上の位置に映っている(←誰がわざわざ見たがるというのだ?by道場主)。

 

ライブレポート一覧へ戻る
真夜の間へ戻る

平成二二(2010)年八月二二日 最終更新