日時 2012年12月11日(火)19:30開演 場所 東京都港区 スイートベイジルSTB139 背景 STB139では3回目(大黒摩季さんでの参加を含むと4回目)、クリスマスライブは2回目の参加となったが、東京でのクリスマスライブはこれが初めてというのが我ながらチョットびっくり。
前にもふれたが、この会場はレストランにもなっているので食事を楽しめながらライブに参加出来る。総じて高額なのが珠に瑕だが、例によってシンガポール・スリングを飲めるのが嬉しい。
私事だが、2012年の12月、ダンエモンが務めていた会社ではその月、かなり高額のボーナスを狙って営業に思いきり力を入れていて、年末を除けば純粋に丸一日休んだのはこの日だけだった。前日搭乗した夜行バスで当日上京し、同日の夜行バスで帰阪した訳だが、当初の予定では翌12日も休みを取っており、車中泊で疲労した身体を休める予定だった(さすがに四〇近くなると夜行バスもかなりきつい…)のだが、ライブ直前に上司から掛ってきた電話によりそのまま出社することになった。
出社は決して強制ではなかったのだが、就業姿勢がボーナス額にモロ影響する可能性が高かった(実際に影響した)ので、口頭では快諾したが、内心は「翌日の心配をせずにライブに参加することも出来ないのか!」との想いが渦巻いていた。
だが、そんな鬱々とした気持ちを引き摺ってライブに参加しても楽しさは半減する。半年振りの東京、その年2度目にして約1年振りの真夜ライブにしょーもない感傷などに邪魔させまい!と念じながらの参加だった。
ちなみにグッズは小さなカバンを購入。
1.宝物 簡易感想 羊毛っぽいハーフコートとスパンコールをちりばめたワンピースを纏い、アップした髪型で真夜さん登場。そして静かでありながら確かな存在感を持つこの曲でトップが切られた。
今回、印象に残ったのは「手帳に はさんでる写真 胸に抱きしめて 今日は眠るよ」の歌詞である。例えば「銀色の週末」にはこれと対照的に、会える日には写真が不要であることを歌っていて、この「宝物」は会えずにいても確かな宝を胸中に抱いている様が、ライブの度に、毎度でなくても確かな存在感を刻み続けている様と合致している気がして心地良かった。
2.Life 簡易感想
この曲は先の「宝物」以上に昨今のライブで存在感を放っていると言っても過言ではない。「アスファルトには花」の歌詞を初め、詞・曲は春のイメージなのだが、クリスマスライブにも充分マッチングしているのも嬉しい。
実際、平成20(2008)年12月に大阪で参加した seasonsライブでもこの歌は歌われている。極寒の季節(というと些かオーバーだが)にこそ草木が芽吹くような活力が欲しいとおもうときがあるが、そんな気持ちを抱きながら実現に向けて挑み続けることこそ、「それもLifeなんだろう」と言えるのだろう。
3. dancing of moon-light 簡易感想 う〜ん……聖夜を背景としたこのライブでこの曲を聴くとは………好きなんだけどね(苦笑)。
前々からこの曲は真夜ソングの中で異色の部類と捉えているが、その想いを反映されたかのように、舞台を照らすライトは紫を基調とした、艶やかながら妖しくもある雰囲気を醸し…………駄目だ、「今宵 dancing of moon-light 帰りたくない」という気分にさせられた(苦笑)。
「あと2mm 近づいたら どうにかなりそうな予感 あなたも気づいてるなら その手を あと少し 私に近づけて」………ううぅ、堪らん!………(※以下、ダンエモンの妄想が強烈過ぎるので記述を自粛)
ちなみに歌詞の一部にNGがあったが、それもライブならではの御愛嬌である。
4.if… 簡易感想 この曲は平成24(2012)年3月7日リリースされたアルバム『Tomorrow』の収録曲で、今回のライブはその9ヶ月後の開催だが、真夜さんによると「ライブ初披露」とのことだった。また「なるべくメロディーをシンプル」という作曲時の意図も披露された。
もっとも、ダンエモン自身はこのライブ参加が『Tomorrow』リリース後初めてのものになるので、1月のアコースティックライブ2012でリリースに先駆けて「365日のLove song」と「約束」が歌われていたことを例外として、同アルバム収録曲の「初披露」に変わりはなかった。
だがすべてを乗り越えて嬉しかったのはラストの「私 きっとどこにいても ずっと あなたを想ってる まっすぐ 目をそらさず あなたに伝えたい “愛してる”」を聴けるという期待と興奮である。
前に参加したアコースティックライブ2012では「Will…〜未来へのプレゼント」でノーマイクでの「愛してる」にかなりドキドキさせられたが、その喜びが再来した。
同時に、この日のライブの時点で東日本大震災から1年9ヶ月が経過していたが、「もし 今も同じ場所にいるのなら」の歌詞に、主人公と「あなた」はもしかしたら震災で生き別れ(または死に別れ)になっているのでは?と思わされたことで、震災の爪痕は今尚生々しく残っていることも思い知らされた。
関西在住のダンエモンがそうなのだから、東北を初めとする東日本在住の方々は尚更だろう。東北の地に、そして何より人々の心に復興がもたらされるのが一日も早いことを改めて祈る次第である。
5.君にありがとう 簡易感想 2年振りにこの曲に再会した。愛情と供に友情も大切にする真夜さんらしさに溢れた曲だが、この曲は真夜さんにとって「15年来の付き合い」がある「お姉さん」ともいえる方への感謝を込めて作られたとのことが紹介された。
そしてその「お姉さん」は当日来場されていた。真夜ソングには「サヨナラ」や「この星空の彼方」のように真夜さんの実体験や、実交流が元になって生まれた曲も多いのだが、確かにそうでもなければ迫真の曲や歌唱は生まれないのだろう。先の「if…」同様シンプルな調べの曲だが、だからこそ脚色なき素朴で素直な友情への感謝が伝わった気がした。
6.星空の散歩道 簡易感想 ダンエモンが敬愛するアーティストの方々は勿論それぞれに異なった個性を持ち、それを一言で言い表すのはとても無理である。だが、真夜さんの個性を語る好例としてこの「星空の散歩道」がある気がする。それを無理矢理一言で言い表すなら「日常が持つ他愛ない幸せ」と言えようか?誰にでも理解できることだが、歌にするのは相当難しい。食べ物で言えば「特上」ではなく、「並」の魅力を語れ、と言われたらかなり困難な筈である。
勿論「寄り添えばほら風になる」とあるように、ささやかさにも「あなたと」という条件は付くのだが、派手や豪華だけが幸せな交際でないことを改めて教えてもらった気がした。5年半振りにライブで聴いたこの歌に。
7.Destiny 簡易感想 ここまで3曲に渡って選曲もノリも坦々………じゃなかった………淡々としていたが、ここで一転した。
アルバム『seasons』収録曲がいくつも出てくる中で、同アルバム収録曲中唯一シングルでリリースされているこの曲の存在感は大きいが、今回のライブでは特に真夜さんの力が入りまくっていた。
勿論この「Destiny」の歌詞内容は失った恋、それも正面から向き合えない状態を残していることへの強い悔恨が溢れているから、静かに歌っても歌詞だけで感情の強さが充分伝わる曲である。だが、今回サビの「許されるなら もう一度 あなたのその腕の中 身を委ねたい」の歌い様と力の入り様は見ていて怖さを感じるほどだった。
前述したように真夜ソングには真夜さんの実体験がモデルになっているのが多いのだが、この時の真夜さんには「そこまで悔やむ様な何かが有ったんですか?」と思わずにはいられなかった。
やはりアーティストの魂の叫びを感じるにはCDでは無理、ライブでないと……と改めて思わされる迫真ぶりだった……。
8.銀色の週末 簡易感想 やはり冬はこの「銀色の週末」か「Everlasting」が歌われて欲しいものである。いや、勿論両方聴きたいんですけどね、「My heart is longing for you」っと♪(笑)。
前回参加したクリスマスライブではどちらも聴けなかったので、他の真夜ソング以上に再会の気分を味わった。また、ダンエモンの拙い文章力と音感では適切に伝えられなくて申し訳ないが、独特の余韻が込められた特別な歌い様もまた格別だった。
9.魔法のリングにKissをして 簡易感想 ダンエモンが記憶する限り、1999魔法のリングにKissをしてツアーを除けば、この曲は出て来る度に真夜さんの思い入れが紹介されている。そしてその意志を表明するかの様のスタートライブで歌われることが多い。以前にも自分自身を鼓舞する為に作った歌であることは聴いていたが、今回は「音楽を辞めたい時に自分を鼓舞する」という言葉が出て些か驚かされた。
今だから書けるが、前年メニエール病に苦しんだ際、真夜さんは「引退」の二文字が脳裏をよぎったと言っていた。恐らくはその時にもこの「魔法のリングにKissをして」が幾度となく真夜さんを鼓舞したのだろう。
「明日のために 私が私であるために」という想いは確かに生涯を懸けた継続には必要不可欠であることが今更ながらに思うのだった。「翼が 傷つい」たなら新たな翼を広げ直そう、と。
10.ピアノインスト 簡易感想 ここからは日々ピアノレッスンに取り組んでいる真夜さんが「ピアノインスト」と称して、真夜ソング以外の曲を弾き語りされた。勿論貴重な体験なのだが、歌詞に惚れる男としては知らない歌の堪能は刹那的に終わってしまうのが口惜しくもある(苦笑)。
という訳で、ここからしばらくはタイトルや歌詞に間違いが有っても勘弁して下さい
11.コール 12.ウィンド・ロード 簡易感想 「風のためのナウシカ」をイメージしたものだそうです。
13.パーフェクトカバー 14.雪に願いを 簡易感想 7年前に横浜で披露されたことがあるらしい。うーんこの年は大阪で一回参加しただけだったから聴いてないな……「降り積もる雪が溶けて涙に変わる前に」という歌詞が印象的だった。
15.明日ハレルヤ 簡易感想 会場であるスイートベイジルSTBはレストランも兼ねた場所だから、終始座っての参加なのだが、この曲が始まるやスタンドアップでの参加となった。
残念ながらCD上で真夜さんとデュエットしているスキマスイッチの大橋卓弥氏が来ていた訳ではないので、相方は例によって知野芳彦氏が務める(笑)。
少し前述したが、この日のライブは連休を取っての参加だったが、ライブ直前に翌日の出社を命じられ勧められ、気持ちの片隅にくさくさした物を引き摺っていたこともあったので、ここぞとばかりに「吹っ飛ばせ!」の歌詞に自分の気持ちを載せて堪能した。楽しみ方としてはいささか邪道だと思うが、「絶対 あきらめなければ 夢は叶う」との念がコアであることは忘れていなかったつもりである。
まあ、翌日の仕事を本当にブッチする程の度胸は無かったが(苦笑)。
16.サヨナラ 簡易感想 前にこの曲を聴いたのはアコースティックライブ2012で約1年前(正確には11か月前)、そしてその前は更に1年前(正確には1年1ヶ月前)の15th ANNIVERSARYクリスマスライブだったので、1年ごとに聴いている気がする(笑)。
先に「星空の散歩道」が歌われているので、シングル「サヨナラ」のA・B両面が歌われたことになるが、なかなか稀有な例である。
「35回の夜景も 黄昏の海も」の歌詞を聴いて、クリスマスという聖夜に「夜景」を楽しむカップルも多いことだろうなと思いながら、ライブの度に夜行バスによるとんぼ帰りで旅先の「夜景」をついぞ堪能することもないのが些か勿体無気分にさせられた。
17.One Smile , One Love 簡易感想 「if…」に続いてアルバム『Tomorrow』収録曲がラスト近くになって登場。一時の楽しみがもうすぐ終わろうとしているときだからこそ「One」の持つ重みが余計に感じられた気がした。
「One」は算数的にはたった1つでしかないが、「きっと一番 大切な」ことや、「いつもここにあるよ 僕が君のOne Love!」の歌詞の込められた唯一無二な意味での「One」は非常に重い。
そう思うと限られた時間であるライブの堪能も今まで以上に重視したいと思わされた。
真夜ソング自体は聴きたいときはCDでいつでも聴ける。だがライブの中でしか味わえない、その刹那だけのものが常にあり、それは毎度異なる。その刹那にしか見る事の出来ない「One」を今まで以上に堪能しようと思わされた訳である。
18.TOMORROW 簡易感想 デビュー曲にして代表曲がアンコール前のトリを務めた。この曲が出て来るのは当然なのでいつ出て来るかが楽しみなのだが、アンコールや、アンコール前の終盤で登場することが多かった。逆を言えばアンコール前のトリは珍しい。
そして様々な想いが有るからこそ余計なコメントは控えたい。多くの方々への勇気になっていることへの確信が有ればそれで良かったから。
アンコール1.ANNIVERSARRY 簡易感想 やはりクリスマスにはこの曲が欠かせない。仏教徒が言うのも変かも知れないが(苦笑)。
勿論、過去に参加した12月のライブでは毎回歌われ、相変わらずアンコールでの登場が多く、それが似合うのも嬉しい。
クリスマスに関する歌詞についてはいちいち触れないが、元は「そのままの君でいて」のC/W曲でありながら、A面を遥かに凌駕する存在感をよくぞここまで保持しているものである。
両曲とも再会を喜び、再々会を誓う歌詞を持っていて、同様の歌詞を含む真夜ソングが多数ありながら、「ANNIVERSARRY」が特に強い存在感を持つのは静かな調べの中に具体的な場所の描写と四季を満載しているからではないか、と見ているが、「何年 経っても」の歌詞の如く本当に「何年 経っても」多くの真夜ファンに愛されているのが今更ながらに素晴らしい。
アンコール2.With you 簡易感想 平成18(2006)年に参加したWonderful Colorライブ以来だから、実に6年半振りにライブでこの曲を聴いたので、メチャクチャ嬉しかった!!
アルバム『Hello』でもトリを務めているこの曲がライブでもトリを務めた(とこの時は思っていた)訳だが、ラストだからこそ「ずっと会いたかった」や「このまま 時を止めて…」の歌詞は五感すべてに重くのしかかる様だった。
そして耳をイカルス星人にしてい聴き入ったのはラストのかすり声で絞り出すように歌われた「With you」である。「if…」や「Will…〜未来へのプレゼント」の「愛してる」と並んでぞくぞくする刹那である………。この一言の為だけでも参加出来て良かったと思えたほどである。
再アンコール.Alone 簡易感想 先の「With you」で最後と思っていたら、再度のアンコールが実施され、この曲が本当の最後となった。知野氏とともに先のアコースティックライブに続いてノーマイクで歌われたのである。そしてノーマイク故に真夜さん達は舞台でも最前部にまで突出して来たため、思いもかけず激近の位置で堪能出来たから堪らなかった……。
「Alone」=孤独(正確には「独り」で、「孤独」は「solitude」だが)を歌う曲だから、「寄り添えば包んでくれる」=物理的な距離の近さでは埋められないものも同時に表現されていた気がした。
所感 全体を通じて感じた事の中に、真夜ファンの皆様の前で口にすれば、「何を今更……」と言われそうなことを数多く感じた。 実際、上記のレポートでも何度か「今更」という言葉が出て来る。だが、「今更」を感じることが出来るのも、元の魅力が色褪せず、奥が深く、何度も楽しめて、且つ様々なカラーを持ち得てこそ、とダンエモンは考える。
それはある種の愚直さとも言えるが、視聴者を楽しませるという商売柄、時として自らの好みを曲げても視聴者の顔色を気にしなければならない時もあるアーティストはが愚直に徹するのは簡単に見えて凄く困難だと思う。言葉悪く言えば迎合しなければならない訳だが、逆に迎合が過ぎると本来の持ち味が死んでしまうことが有るから本当に難しいだろう。
それでも真夜さんが自分らしさを17年に渡って貫き、且つ積み重ねて来たからこそこれまで堪能して来た事を「今更」堪能出来たと思うと、「今更」を今後も更に味わいたいと思わされたものである。
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平成二六(2014)年四月一九日 最終更新