20周年記念ライブ

正式タイトル 20th ANNIVERSARY Fan Club Event




日時2015年5月4日(月)開演
場所東京都渋谷区
Mr.RAINIER HALL 渋谷 PLESURE PLESURE
背景 毎年GW恒例のデビュー記念ライブである。しかも今回は20周年という大台を迎えてのもので、時の経つ早さと、重ねて来た重みが自然と感じられた。

 この日のライブは座席が決まっておらず、入場者順と言うことで、「1時間前ぐらいに着くようにすればいいか……。」と考えていたのだが、二通りの意味で認識が甘かった。
 実際、開場1時間半前に到着したのだが、入口から2列になって待機する列は長蛇の列となって階段にまで及び、エアコンの届かない場所で開場まで、そして開場してからもかなり待たされることとなったまあ渋谷プライムの6Fと云う場所で大勢がたむろする方が問題だろうけれど(苦笑)。

 また先頭個所では熱烈なファンの方々が真夜さんの20周年を祝う為に巨大な横断幕に寄せ書きを募っていた。普段群れることを嫌うダンエモンではあるが、さすがに掛る記念すべきイベントには参加したかったがその為には到着が遅くなったことが悔やまれた(例によって夜行バスで早朝に上京したので、即座に駆け付けていれば十分に参加出来た)。

 幸い、極端に後方になることも無く、充分真夜さんを堪能できる距離に陣取り、黒ビールを飲みながら増すこと数十分、場内アナウンスで諸注意が流されたのだが、これが何ともおかしなものだった。
 撮影や録音を禁じたり、歌手の公演を妨げないよう述べたりするのは当然なのだが、「閉演後にその場で打ち上げパーティーを行わないで」等の様に、常識で考えて「誰がそんなことするかい!」とツッコミたくなる、受け狙いアナウンスが続いた(後にこれは大坪稔明氏によるものであることが判明(笑))。

 ともあれ、記念すべき年の記念すべき第一歩が、規模大きからずとも濃密な中に始まったのだった。
1.そのままの君でいて
簡易感想 昨年12月クリスマスライブ同様、闇の中を大坪氏と、伊藤ハルトシ氏が所定の位置に付いた。
 座席を埋め尽くすファンはライブ慣れした方々ばかりなので人影でも充分「間もなく真夜さんが登場する。」という流れを悟り、静かにヒートアップする中、白い半袖黒花赤いロングスカートを身に纏って真夜さんが登場。

 久方ぶりの再会を喜ぶかのようにこの「そのままの君でいて」が選曲されたように勝手に想い、聴衆は躊躇いがちにスタンダップし、ライブがスタートした。

 真夜さん敵にはもっと声を大に一緒に歌って欲しかったようで、サビで観衆に向かって耳をすませていたのが印象的だった。
2.Life
簡易感想 想えば、ライブにおいても真夜さんの結婚・出産前の曲に対して、結婚・出産後の曲が効かせる幅も大きくなったものである(勿論、「TOMORROW」「ANNIVERSARRY」の様な曲は別格として)。

 この「Life」も必ずしも毎回毎回出て来ると云う訳ではないが、ここぞと云う所で欠かせない曲になっているのが嬉しい。ただ暗い私事を交えて申し訳ないが、ライブの5ヶ月前に父を亡くし4日前に職を失くした身としては、「きっとこの先も 自信をなくしたり 愛する人さえ失うこともある 負けない気持ちを 描いて行こう」の歌詞が、勇気付けてくれるものであり、かなり痛いものでもあった。
 この曲が持つメッセージはいついつまでもしっかり受け止めたいが、慰めや同情を求めてばかりいる様にはなりたくないものである。
 この曲の歌詞は「いつか」「奇跡」を起こすことを念じているのだから。

 そしてこの曲が歌われている最中に前述した寄せ書き横断幕が広げられた。さすがにこれには真夜さんも驚いた様だった。
3.桜舞い降りる頃涙色
簡易感想 まだこの曲を知って一年にもならないし、CDにも未収録だが、真夜ソングとして完全定着しつつある。

 今回も相川七瀬さんに楽曲提供された曲であること、相川さんと家族ぐるみの付き合いがあることが紹介された。そんな家庭的な対人関係とは対照的に何とも物悲しい曲である。
 まあそれがこの曲の格で、プライベートとは関係ないのだが(苦笑)。

 改めて聴いてみると、隠せない本音の見え隠れする様が得も言えない。「優しい嘘に彷徨う」という歌詞は初めて聴いた時から印象が強かったが、今回は「わざと強がり 言ってみせても 心、のぞかれてまた切なくて」の歌詞も印象的だった。
 歌詞的に主人公と恋人の関係が、過去のものなのか、それとも道ならぬものなのかは現時点では断じ難いが、少なくとも恒久的なものではないことが舞い散る桜に擬えられているところがまた秀逸と云えよう。

 恐らく実現すると思うが、夏にリリースされるベスト盤には是非収録されて欲しいものである。
4.ハピ ハピ バースデー
簡易感想 これまたライブの静かな定番曲である。繰り返すまでも無くこの日のライブは20周年記念で、アーティスト・岡本真夜という存在が二十歳になったこと意味する。
 勿論、GWライブは毎年デビュー記念ライブなので、5月10日に近しいライブはすべてこの「ハピ ハピ バースデー」が歌われて然るべきとなるのだが(笑)。

 決して派手さや、激しいノリを伴う曲ではないのだが、いついつまでのライブの静かな定番であって欲しい、とこの記念すべきライブに改めて思うのであった。
5.Will…〜未来へのプレゼント
簡易感想 ここからは真夜さんが題して云うところの「楽曲提供シリーズ」が始まった。
 そのトップバッターは中山美穂さんに提供されたこの曲である。いつもながら最後のかすれ気味に歌われる「愛してる」が快感なのだが(笑)、思えば中山美穂さんも知名度の割には最近メディアで観ないものである。フランス在住だからだろうか?

 もっとも、ダンエモンが閲覧するメディアは幅狭く(←好みの番組はとことん見るが、それ以外は殆ど見向きしない)、アーティストの活動形態は様々で、よほどその時点で人気絶頂曲でも出していなければ万人の眼に映ることの方が稀なので、ダンエモン如きが観ていないからと言って中山さんが積極的な活動をしていないと事にはならないのだが。

 まあそんな感想が心過るのもいつの日か真夜さんと中山さんのコラボでこの曲を聞いてみたいからなのだが、贅沢な望みかな?
6.手紙
簡易感想 「楽曲提供シリーズ」の二番手は岩崎宏美さんに提供されたこの曲である。
 相変わらずダンエモンは敬愛するアーティスト以外は疎いのだが、年齢も離れ(岩崎さんはデビューして40年を超えている!)、出身地も異なる真夜さんと岩崎さんが何処で繋がったか、俄かには想像が及ばないのだが、ライブの前月病に苦しまれているとの報道があったので、一日も早い快癒が望まれる次第である。

 元より、この「手紙」も静かでゆっくり目に歌われる曲なのだが、このライブでは独特のスローテンポで歌われ、その歌い様が「永遠なんて ないけど 明日も あさってもずっと ふたり一緒にいれたなら こんな幸せないと思うの」の歌詞をより深く、より趣あるものにしていた。
7.君にありがとう
簡易感想 アルバム収録曲がライブに出て来る頻度はシングル曲に比べて高くなり難い。この「君にありがとう」が収録されている『seasons』の収録曲は他に一曲も今回のライブでは歌われなかった。というか、前述の「手紙」以外はシングル収録曲か、楽曲提供曲になる。
 そのせいかどうかは分からないが、真夜さんはこの曲を歌うに当たって、「数年振りにリハーサル」を行ったとおっしゃっていた。
 何百曲もの持ち歌を持つアーティストにとって、頻繁に歌う曲とそうでない曲が出て来るのは当然だが、以前椎名恵さんのライブで、稀にしか歌わない曲は練習しないと歌えないと云うことを椎名さんが仰っていたのを聞いたことがあったから自然に「なるほど。」と思わされた。

 ともあれ、愛情に負けず劣らず友情を重んじる真夜さんらしい選曲と云える。そんな中心に響いた歌詞はやはり、「強がっていても 心許せる人は君だけ たったひとつの温かい場所」であった。
 恥を晒すとダンエモンはライブの4日前に職を失っている。つまりは19周年記念ライブに続いて無職で参加したのだが、失業に際してはその少し前を含め様々な意味で「場所」を失うのが通例で、それでも何処かで自らの過失・落ち度・非を(実態は別として)認めることが出来ず、「強がって」しまうことも珍しくない。
 なかなかプライドも見栄も打算も無く向かい合える、「心許せる人」「温かい場所」とは掴み難いものだが、甘える為ではなく、互いを祝福し合える意味でいつの日かかかる人と場を掴みたいものである。

 余談だが、ライブ終了後、ファン仲間と夕飯を食べていた際に、この曲の話が出て、ダンエモンが常々思っている「『ドラえもん』のジャイアンがいう「心の友よ」という最大限の賛辞が、余りあり難くない。」との意見が少しウケたのが嬉しかった………う〜ん、ライブその時とは関係無かったな(苦笑)。
8.抽選会
簡易感想 ライブ特別イベントである。水島氏 小林氏が特別司会者を務め、抽選で、開場時に渡されたくじの番号が引かれた人に様々なグッズがプレゼントされた。
 結論を先に言えばかすりもしなかったので、飛ばしたいところだが(苦笑)、一人オモロいことを言っていた人がいたので紹介しておこう。

 抽選に当選し、壇上には25人の人が挙がったのだが、最も当選者の多かったグッズはハンドタオルだった。
 壇上に上がった方々は一人一人真夜さんに当選の例と挨拶と握手を交わしていったのだが、その中の一人の男性(推定年齢30代後半)が、「真夜さんを前にして、非常に緊張しています………汗が止まりません………」と切り出した。
 ダンエモンは自分が落選した妬みもあって(苦笑)、「はいはいそれがどうしたの?」と冷ややかに見ていたが、男性が、真夜さんの持つハンドタオルを指差し、「あっ!こんなところに都合よくタオルが!」と言った瞬間に噴き出した。

 タオルの用途は様々だが、隠してハンドタオルは「汗ふきグッズ」とされてしまったのだった(苦笑)。
9.スタッフ紹介
簡易感想 続いて行われたスタッフ紹介だが、単に名前を披露されただけでなく、個々人から真夜さんに関する情報暴露が行われた。

 初めはピアノ担当の大坪稔明氏で、大坪氏曰く、98年以来の付き合いで、真夜さんの「意外と隙がない」「緊張したときに掌に「人・人・人」と書いて飲み込む真似をする人を初めて見た」「結構酒豪」といったなかなかメディアに表れない言動(笑)が紹介された。
 確かに真夜さんは見た目には酒を飲むイメージが伴わないので、酒好きダンエモンとしてはこの大坪氏の台詞はなんか嬉しかった(笑)。

 続いては伊藤ハルトシ氏。真夜さん曰く、「生まれて初めて“ナンパ”した。」とのエピソードが今回も紹介された。勿論「“ナンパ”」は比喩だが、かつてエッセイ集でナンパされるのを「下を向いてひたすら無視して歩き去る程、大の苦手」としていた真夜さんがこの単語を使うこと自体、(楽器奏者として)かなりの惚れ込み様だったのだろう。
 そして偶然にも、伊藤氏が生まれて初めて買ったCDは「大スキ!」であったことが明かされた。よもや伊藤氏とてその曲の作者に十数年後に“ナンパ”されるとはその当時夢にも思っていなかったことだろう。
 人間の縁(えにし)は不思議且つ意味深なものである。

 ちなみに真夜さんは伊藤氏のことを終始、「ハル君」と呼んでいたが、ダンエモンはこの呼び方を聴くとどうも『仮面ライダーウィザード』の主人公・操真晴人(白石隼也)を呼ぶときの移動ドーナツ屋店長(KABA.ちゃん)を想像してしまう(苦笑)。

 殿軍はヘアーメイクの渡辺氏。真夜さんとは「Alone」のジャケット以来の付き合い。裏話を求められ、困り果てた末に、真夜さんが車検の年を間違えて車を持っていたと云う大ボケエピソードを紹介していた(笑)。
10.サヨナラ
簡易感想 特別イベントも終わり、ライブも佳境に入り、この曲が流れた。
 2014年以来に入ってからは毎回聴いているこの曲は、楽器の演奏や歌詞の協調にいつもと異なる演出が多かったが、今回はオーソドックスに歌われた。
 まあ元が力強い曲なので、アレンジありとオーソドックスを交互にしてくれるのがファンとしては嬉しいかな?
11.TOMORROW
簡易感想 真打ちの登場である。
 常々真夜ライブ参加の方々はもう少し元気が有ってもいいのでは?と思っているのだが、この曲は誰彼なしに立ちあがり、真夜さんとの熱唱タイムに入った。

 当然のことだが、真夜さんがデビュー20年を迎えたと云うことは、この曲も世に出て20年経過したと云うことで、20年前と現在とでその魅力・共感・支持され様・盛り上がりが色褪せるどころか、味わいを重ねていくところに今更ながらの感動を覚えた。
 勿論今後のライブでも欠かさず歌われるだろうし、参加者も供に歌うことになる訳だが、20年を迎えたこの曲に対し、そろそろ力を貰うだけでなく、こちらから力を添えるよう在りたいものである。
12.FOREVER
簡易感想 「TOMORROW」の次がこの曲とは選曲が“粋”である。
 まあファーストシングルとセカンドシングルの順で歌われるのはこれが初めてではないのだが、今回のライブが20周年記念という節目の年のライブだから余計に「歴史の歩み」を感じる。
 そして同時に「TOMORROW」が偉大すぎる故に、決して「TOMORROW」に負けない名曲であるこの「FOREVER」の存在が一般には薄れてしまっているのが勿体ないと改めて思うのである。

 20周年記念を迎えた様に、時の流れは決して止まらず、万物は不変ならざるもので、永遠不滅を期し難い世の中だが、だからこその「二人寄り添えば 時は立ち止まり そして永遠になる」の歌詞がいつも以上に響いたのであった。
13.君とのストーリー
簡易感想 今回はアンコールが無かった(その理由は後述)ので、この曲がラストとなった。
 未発表の新曲で、例によっていつCD化されるかは未定である(苦笑)。まあその分楽しみが多いと云えるのだが(笑)。

 以前に何回か書いたが、ダンエモンは「聴き付ける力」は強くても「聴き取る力」の弱い人間なので、タイトルも歌詞も正しく聞き取れた自信はないのだが、辛い時間を野ともに乗り越えんとの歌詞が力強く心地よかった。
 中でも「涙の後に決まって虹ができているから」と云う歌詞(と思う……)はどこか「TOMORROW」「Life」とも相通ずる所が有り、真夜さんらしい真夜ソングと言えた。
所感  ライブ終了後、参加者全員との握手会が行われた(そのためアンコールが無かった)。
 真夜さんと握手するのはこれが三回目。ハヂメテの時程の興奮はなくとも、それでもやはり慣れないものである(笑)。2年振りに真夜さんの手を握ったが、やはりその柔らかさには驚かされる。日々ピアノを練習していればもう少し固い手になりそうな気がするのだが、逆にだからこそケアには人一倍気を使われているのだろうか?

 まあ全員との握手ゆえにその柔らかさを堪能出来た時間は極めて短かったのだが(泣笑)、初めて握手した15周年記念のイオンモールフリーライブでは「デビュー20周年、25周年も必ず駆け付けます!」と言いながら握手を交わしたので、一先ず約束通りに20周年に参加出来、同様の握手を買わせた喜びの中、「25周年、30周年も必ず駆け付けます!」と言おうと思ったのだが、何故か間違えて「30周年、35周年も必ず駆け付けます!」と言ってしまった。
 うん、勿論25周年も駆け付けるつもりではいるが、この様な間違いをしでかすのだから3回目となってもいまだ平常心では握手出来ないものだ(苦笑)。
 まあそれだけ、平常心を失う程嬉しい時間だってことなんですがね。

 プログラム構成の都合とは思うが、かかる記念ライブに「ANNIVERSARRY」「DREAM」や殆どのアルバム収録曲が聴けなかったのは残念だった。せめて各アルバムから1曲づつは選曲して歌って欲しかったと思うのはダンエモンだけではないと思う。

 ライブ終了後、アンケートを書き、夏リリースのベスト盤アルバム(新曲を含む)を予約し、ファン仲間とその後の行動を打ち合わせながら、記念ライブの為に集ったファンを見るとは無しに見ていた。
 人間の顔には(容姿の美醜は無関係で)大勢の中で目立つ顔、覚え易い顔が有り、今回も「ああ、あの人また来てるね、名前は知らないけど…。」という人達を数人見かけ、彼等の熱心さに負けてはならじ、と夢想していたところに興味深い女性ファンを見かけた。
 本人様の了承を得てその服装を撮影させてもらったのだが、このシャツ(勿論自作した物)には参った(笑)。
※勿論、サイト掲載も本人様の了承を得ています。

 様々なファンの熱意に出会えるのもまたライブの楽しさ、返す返すも寄せ書きに参加出来なかったのが不覚だった。

 その後ファン仲間と食事をして大阪への帰途に就いたが、20周年記念はこれで終わりではなく、夏には大阪に(しかも日曜に)来て下さるとのことなので、安心した気持でこれに参加できるよう準備を整えなくてはな、と思わさせられるのであった。

 

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平成二七(2015)年六月三日 最終更新