seasons

正式タイトル　Mayo Okamoto LIVE 2008～2009　『seasons』

日時 2008年12月9日(火)18：30開演
場所大阪府
なんばHatch
背景　2008年12月～2009年1月まで全国4ヶ所でアルバム『seasons』収録曲をメインとしたレパートリーで行われた。
　ファンクラブ会報誌により、すべての会場が同じレバートリーで行われたことがはっきりしている。

　ダンエモンのなんばHatchでの参加はこれが三度目で、今回のツアーではこのなんばHatchが最初となる。
　同会場では入場時にワンドリンクを購入するのだが、当然今回もビールを買った(苦笑)。
　そしてファンクラブに入ってからでは初めての参加になるのだが、今まで同会場では最後方ばかりだったのが、今回いきなり一番前の席でチケットを入手した。ファンクラブ恐るべし、である(笑)。
　いずれにしても今までで一番近い距離で真夜さんの姿と声を端のすることが出来た記念すべきライブとなった。
　ただ、その中で真夜さんは自身の口からも語っていたし、近い距離からも気付いたのだが、明らかに病み上がりで、ライブの遂行や後々のスケジュールがやや心配されたが、ライブは滞りなく終了し、会報を見る限り、後日の各地でのライブも無事終了した模様で何よりだった。

　これまで、真夜ライブは呪われたかの様に後方の席が多かった(1999年9月神奈川県民会館、1999年10月浦安市民会館、2000年8月日本武道館、2007年3月なんばHatchは冗談抜きで最高列だった！)が、昨年、この会場で自らの誕生日にファンクラブ入会手続きを行った縁(えにし)と思えばチョット嬉しかった(笑)。

１．痛みを優しさに　苦しみを強さに
簡易感想　今回のアルバム『seasons』のトップに収録されている曲がライブでもトップを務めた。

　幻想的なブルーを基調とした照明の中、金の羽根が付いた黒い帽子・ベージュのコートといった出で立ちで現れた真夜さんはピアノの前奏を受けて静かに唄い出された。
　道場主が初めて生で観た真夜さんは、1999『魔法のリングにKissをして』ツアーにてサックスを吹奏しながら登場したものだったから、その時も帽子を被っていた真夜さんの姿の記憶ともダブって、缶ビール1本分の僅かな酔いの中、始まりにしては些か静かな選曲ながらも、「寒い冬が過ぎ　また花が咲くように　きっと笑えるから大丈夫　もう一度　信じて」の歌詞に、12月の季節と、多忙な師走を乗り越えてやってくる新しい年への希望を思い出させられたようで、得も言えぬ気分でライブは始まったものだ、と今更ながらに想う。

２．サヨナラ
簡易感想　アルバム『seasons』とライブの定番曲が如何なるオーダーで唄われるか興味深く思っていたが、「サヨナラ」が来たのには驚かされた。

　何度もライブで聴いているが、1999『魔法のリングにKissをして』ツアーでアンコールの1曲目に歌われていたときの印象が大きいから、始まりから2曲目に来たのには心底驚かされた。,br>

　ベージュのコートを脱ぎ捨てた下から現れたのは黒を貴重にして上半身部を赤と白の小輪花模様で、スカート部を同じく赤と白の大輪花模様で彩られたワンピースを纏った真夜さんだった(この真夜さんの御姿は会報誌『SUN&MOON』で存分に拝めます)。
　衣装に呼応したかどうかまでは分からないが、照明も赤紫を基調としたものに変わり、前曲の静かなイメージとは打って変わった曲調のみならず、歌詞内容までが好対照と言えた。

「夢を追えば追うほどに　遠ざかる背中　つらくて　一緒にいるのに　すごく寂しかった」や「こんなに泣くぐらいなら　別れなければ　よかった」等の歌詞はライブの始まりには相応しくないかもしれないが、それでも何かを断ち切るように突っ走る心の片隅に「後悔してはいないの　結ばれる運命なら　もう一度　どこかで　会えると思うから…。」とあるから、ほのかな始まりを感じさせる所等はライブの2番手を充分務めた感があった。
ともあれ、ダンエモンは意外な曲順が決して嫌いな訳ではない、意表を突いて名曲が繰り出される快感の不意打ち(？)は元より好きだし、ライブが終わって後に曲順の理由を考えるのも、「亦、楽しからずや」である。

３．同窓会　～Dear My Friends～
簡易感想　帽子を脱いだ真夜さんのハンドサインで観衆は総立ちとなった。うーん、真夜さんとダンエモンの間に視界を遮るものが一切なく、二人の間にただ空気しか無いって凄く快感！！(笑＆陶酔)。

　帽子も脱ぎ、それこそ「同窓会」で再会する旧友を迎える如き雰囲気で、9年前には、真夜さんを「友」ではなく、「女」を見る眼で見ていたから、人妻になったから仕方ない面はあるが(←品の無い表現で申し訳ないですby道場主)、それでも一押し歌詞である「変わり続ける季節の中で　むくわれないときも　あるのだろう　たとえ涙が　こぼれ落ちても　覚悟ひとつでまた夢は叶うから」は何度聴いても快感である。
　ライブが始まったばかりで「覚悟」という単語に注目するのは些か大袈裟だが、それでもそんな気持ちの切り替えは常に出来る、喜怒哀楽を重視しつつもそれに振り回されない人間でありたい、と再認識させられたものである。

４．明日ハレルヤ！
簡易感想　ここからしばしアルバム『seasons』がメインとなった。

　アルバムではスキマスイッチの大橋卓弥氏がデュエットの相方を務めたのだが、ギター担当の知野芳彦氏が代役を務めた。
　そしてその知野氏は代役と思えない程、精力的に舞台上を動き回った。舞台最前部まで出てきた知野氏とダンエモンは確かに2、3秒のアイコンタクトが持たれた。知野氏も35歳(当時)のおっさんと眼が合っても余り嬉しくなかったと思うが(苦笑)、かように知野氏の奮闘振りは単純な「デュエットの相方」に収まるものではなかった。
　もし会場にスキマスイッチの大橋氏のファンがいたら、大橋氏不在を残念がったかもしれないが、スキマスイッチを全く知らないダンエモン(苦笑)はまた折に触れて真夜さんとのデュエットを魅せて欲しいと思ったものである。
　でも余り真夜さんとベタベタしないでね、知野さん。旦那の岡井氏とダンエモンがヤキモチを妬くので(苦笑)。

　真夜さんの説明によると、この「明日ハレルヤ」は「今何かに頑張っているすべての方の背中を押してあげることが出来ればいいなと思い作った曲」とのことで、そう思うと、「失敗恐れて（守ってばかり）　思い出すんだ（あの頃の自分）　不器用だけど（そろそろ）　さぁ　立ち上がろう」を聴いていても、天賦の才能や天地人(天の時・地の利・人の和)に恵まれ、トントン拍子の成功を収め続けられる人間はごく僅かで、そういった人達でさえいつ転落するか分からないのだから、「ならばやるしかない！」、という気持ちを不思議なぐらいに掻き立てててくれるものである。

　決して周囲に自慢できるものではないが、「根拠のない自信」を持ち直すとしようか。それさえダンエモンが持っていなかった、否、持とうとしなかったのは偏に失敗とそれに伴う周囲の嘲笑に対する恐れだろう。
　初めから自信を持っていなければ傷つくこともない、と定義づけて何かに逃げようとするもう一人の自分をいまだ追い出せていないのだから、ダンエモンはまだまだ弱い男である。

５．いつだって君がいる
簡易感想　ここでトーンの静かな曲がしばらく続いた。ゆえに曲を聴きながらじっくり考えさせられた一曲である。

　「どんなことも頑張れた　あの日を忘れない　桜舞う季節に　もう一度　夢を乗せて」には些か季節外れだったが、余程特殊な関係にあらねば親子・夫婦・親友といえども1年365日四六時中一緒に居る事は出来ない。
　当たり前過ぎる話だが、そこまで極端でなくても好きな人、大切な人、必要とする人ほどなかなか一緒に居られないものである。否、一緒に居られない時の寂寥感を大きく感じざるを得ない、と言った方が正しいだろうか？

　だが、それゆえに「いつだって」と言い切れる要因は大切だと思う。また、「いつだって」と心に留められるから、「もう一度」を何度でも念じることが出来るのだろう。
　本当に望むことが得られず、何としても得たい気持ちが「もう一度」程度で終わった試しはない(笑)。

　真夜さんに限らずツアーはその時点での最新アルバム収録曲がメインとなる。シングルでもないこの「いつだって君がいる」がライブで聴かれる機会が後々多いとは思い難いが、だからこそこの曲の心はいつまでも忘れずに心に留め置きたい。

６．sigh of Love
簡易感想　今回のライブではスタンディングマイクが用意されていて、若干のアクションを交えながらもその場を動かず唄う真夜さんの姿にはこのライブ独特のものがあったのだが、彼女持ちの男に惚れて冷たい距離を詰められずにその場でもがいているようなリアルさが秀逸でもあり、物悲しくもあった。

　もともとこの曲に出てくるこの、「sigh of Love」の解説にも記載しているが、「あなた」の在り様は、「SECRET LOVE」にでてくるそれ並にムカつく奴なので(苦笑)、少々複雑な気持ちでの視聴していたのだが、もどかしさがこれほど上手く現れた例を余り知らないだけに少々重かった……。
　「愛はどこにあるの…？」という、「答えのない」筈のものに、自分なりの答えが見つかった時に、またライブにてこの曲を聴きたいものである。

７．Marionette
簡易感想　この曲もスタンディングマイクを前にしてその場を動かず唄われた訳で、その真夜さんの振り付けは宛ら、操り糸の及ぶ範囲と操り糸の操作通りにしか動けない「悲しい　Marionette」・「落ちてく　Marionette」を演じているかのようだった。否、演じていたに違いない(←この際、断言)。
　これまた先の「sigh of Love」同様、リアル故に秀逸なるも、それ故に物悲しい。

　だが聴きながら、真夜さんの姿を見ながら考えていたが、「月夜だけが知ってる　涙の意味とホントの気持ち　きっと私　孤独から　離れたいだけ」・「月夜だけが知ってる　涙の意味とホントの気持ち　ごめん私　孤独から　離れたいだけ」とあるように、操り人形であることから逃れるのも人間の権利なら、本当に望む操り糸を身に纏うのもまた人間の権利である。
　となると、操り糸を一時的に身につけたり、見から話したりすることもあって然るべきである。

　寂しさから逃れたいから新たな恋を始めるのが悪いとは言わないが、歌詞の冒頭に見られる、「だけ」や「ままに」の糸で引き摺られるだけの恋だけは御免蒙りたいものである。
　もっとも、眼前の恋がそういうものであるかどうかは当の本人が一番知っていることなのだろうが。

　余談だが、この曲の終わりが一つの区切りとなっていたのだが、この時ダンエモンの左方にいたバカップルが「婚約しました！」と叫んで真夜さんの祝福を受けていた。はんっ！馬鹿ップルが、とことん幸せになりやがれや……というのは独り者の嫉妬から来る愚痴です(土下座)。どうぞいついつまでもお幸せに。

８．I miss you
簡易感想　この「I miss you」以降の3曲は真夜さん曰く、「泣きの3曲」とのことで、成程、この「I miss you」も切なさ溢れる曲だが、直前の「sigh of Love」と「Marionette」を差し置いてそう言われていた訳だから、一瞬選曲に恐怖した(苦笑)。

　もっとも、この「I miss you」、泣きといっても、号泣するような激情を伴うものではなく、失ってから幾ばくかの時が経った恋に想いを馳せ、片目から一滴の涙を流すような雰囲気の曲だが、それだけに心に残る永遠に忘れ得ぬ思いが、どこか「想い出にできなくて」と彷彿とさせられた。

　勿論両者は曲調が静かに始まりながらもラストに向けてテンションの上がり方が異なる。それでも「泣かないように　空を見上げ　負けないように　思い出を伏せて　いつも強くいることが　忘れることだと思っていた」を聴けば両曲に共通する、?せ我慢等屁の突っ張りにもならない、素直な気持の偽れなさは如何にも真夜さんらしくて今後も聴き惚れ続けたいものである。

　どんな詐欺の天才でも自分自身は偽れない、基本的に。しかしながらこの世知辛い世の中で立場や義務や目の前のトラブル回避の為に自分自身を偽ろうとする事が誰にでもある。しかし、もし完全に自分自身を騙し切れたとしたら、最も身近な自分の心を信じられなくなる訳で、それは愛しい人が側にいない孤独以上の孤独ではないだろうか？

　だから未練は未練であるにしても、今でも好きなら好きでそれを認め、時間をかけながらでもそれを美しき思い出として昇華し、心の中の確かな気持ちとは常に向かい続けるべきだろう。
　かかる時、「せめて思い出の中で　そっと微笑んで」という夢想も、「確かなもの　今　ここにある　あなたへの想い　ただひとつ…」という信念に裏打ちされ、虚しき過去への未練ではなく、過去の純愛に負けない為の未来の純愛への活力となろう。

９．愛しい人よ　～remember me～
簡易感想　意外なことにライブでこの曲を聴くのは初めてである。確かに「ずっと　泣きたかった　ずっと　泣けなかった」の歌詞からして、「泣き」に対する想い命題を盛った曲である。

　悲しい時、辛い時、そんな感情の中に居る自分自身と向き合うのは尚更悲しく、辛い。
　だが悲しむべき時にしっかり泣かないとそれを引き摺るのもまた事実である。屋内に「今宵の月」が届く筈なかったが、それを代用するかのようにステージ後方から天井に向けて放たれた照明を見て、「どうか思い出だけは　そっと　胸の中に」留めつつも、主人公の辛い気持は月光と共に朝が来たら去って欲しいと思わずにはいられなかった。

10．この星空の彼方
簡易感想　確かに「泣きの3曲」のラストには相応しいのだが、正直、ダンエモンはこの曲がリリースされた年の「1999『魔法のリングにKissをして』ツアー」はともかく、昨年の「2007『Soul Love』」に続いてこの曲をこれ程までに複数回に渡って聴くとは予想していなかった。
　それは取りも直さずこの曲が実際に病気によって愛しい人を失った女性の体験がきっかけとなっている故に……。

　実際上記と同じ気持ちは前回のライブレポにも書いているが、それほど意外だった。
　だが、言い換えれば、この選曲は先の2曲と比べても、耐え難い過去の悲哀も然るべき時間の経過と美しき想い出としての整理が為されれば人生の大切な一コマとして向き合い続けられることを証明している、と言えば穿った物の見方だろうか？

　幸い、と言っては甚だ不穏当だが、ダンエモンがかつて愛した女性達(2009年6月現在、最高齢者が38歳)はみな健在である(らしい…何せ、その多くは10年以上直に顔を合わせていない)。
歌詞とは別の意味で「思い出に」にせざるを得なかったし、思い出に違いないのだが、それでも当時心の中にあった純なる気持ちまでも忘れたくはないものである。

11．いつかきっと
簡易感想　「泣きの３曲」が終わって、ライブに相応しい盛り上がり重視の曲がこれより始まった！
　７枚目のマキシシングル曲としてリリースされ、ミニアルバム『Wonderful Colors』にて収録されて以来、３ツアー連続で唄われたこの曲はもはやライブの定番と言っても過言ではあるまい。

　リズムや歌詞が少々子供っぽいので、この「いつかきっと」は普段口ずさむことが少ない存在なのだが、あたかもその反動の如く、今回も「鳴らせ！jingle! jingle!　この胸に」の歌詞に、千切れよ、とばかりに右腕は振り続けられた。
　「jingle! jingle!」は、すっかりこの曲の歌詞でいうところの「奇跡　起こせそう」な「君の一言」になったものである(笑)。

12．Power of LOVE！
簡易感想　ここまでの曲が「泣きの３曲」を含め、失った恋を想い出として整理せんとする、気持ち自体には素直でありつつも、心の平穏を求めたような側面があったが、その反動であるかのようにこの「Power of LOVE！」が歌われた。

　先の「この星空の彼方」程ではないが、この選曲も驚かされた方である。アルバム『Soul Love』であるゆえにシングル曲でないこの曲が歌われる機会というのは正直想定していなかった。
　重ね重ね真夜さんの選曲はいい意味で意表をついてくれる(笑)。

　前述したように、失った恋を思い直す曲が多かったから、この曲の「give me, give me, baby！　もっと愛して　I miss you」や「give me, give me, baby！　もっと気にして　I need you」は小気味良くすらあった。

　世の中、何事も力＝「Power」で片付けられていい訳ではないが、それでも心に「Power」を持つ事を忘れたくないものである。

13．Life
簡易感想　この曲がリリースされた頃、ダンエモンは冗談抜きで食うや食わずやの生活を送っていた。
　だからマキシシングル曲の中で、アルバムに収録されていないこの「Life」と「愛という名の花」はダンエモンの中で影の薄い曲だったのだが、両曲が歌われた「2005『再会～君に綴る～』ツアー」以来約３年半ぶりにこの曲が聴けたのは本当に嬉しかった。

　このライブの曲順を振り返って思うのだが、「Life」＝「人生」は楽ありゃ苦もあり、禍福はあざなえる縄の如し、である。
　それゆえに楽しい時や順調な時には碌に感謝しないのに、苦しい時や逆境に死ぬ程渇望する「信じる力」の重要性を思わずにはいられない。

　努力は必ず報われるとは限らない。確実に報われない努力ならやる気もなくすだろう。だが、本当に望む物が何であるかということにおいて自分自身を偽ることは出来ないし、出来たくもない。だから今後も真夜さんと共に声高に叫びたい、「信じる力ほど　強いものはなくて　頑張っている人に　天使は舞い降りる」
　と。
　ダンエモンはクリスチャンじゃないので、「天使」よりも菩薩様の降臨を願いたいですがね(笑)。

14．がんばるリーマン！
簡易感想　ここで初めての試みがなされた。
　サビの部分である、「走る！走る！今日も走る！」と「目指せ！目指せ！アフター５！」の部分にて観客一同のコーラス参加が為されたのである。

　「Help me」や「Help meⅡ」等で踊りに参加したり、「魔法のリングにKissをして」で最後の部分が観客にマイクを向けられたりしたことはあったが、練習を交えてのコーラス参加は初めてではないだろうか？

　「明日ハレルヤ！」で真夜さんの相方を務めた知野氏が、直前のメンバー紹介で紹介されたばかりのベーシスト・斉藤昌人氏とともに前に出て、手招きするようなアクションで観衆のテンションアップを図った。
　勿論、ダンエモンは一番前で参加出来たライブのこんな機会に大人しくしているような輩ではない、決して(笑)。
　自らの背後に居る観衆の声など舞台上に届かせまい、とばかりに「走る！走る！今日も走る！」・「目指せ！目指せ！アフター５！」を絶叫したが、真夜さんの眼にはどう映ったかな？

15．TOMORROW
簡易感想　もはや説明の必要のない代表曲であり、定番曲でもある。
　トリや初めの盛り上がりだしで唄われることの多いこの曲がこのタイミングで出て来たのは興味深かった。
　勿論、真夜ライブでこの曲聴かなかった回は無い。もはや唄われるのは当たり前で、大切なのは、「いつ唄われるか？」である、と断言するのは不穏当だろうか？

　ともあれ、今回、フィーリングとして残っている歌詞は「季節を忘れるくらい　いろんな事があるけど　二人でただ歩いてる　この感じがいとしい」である。
　四季を重んずる『seasons』の曲が多数流れる中、僅かしかない距離が催す興奮に包まれたライブだったからだろうか？

16．FOREVER
簡易感想　私事だが、ダンエモンはこのライブの１ヶ月前に北海道旭川市のカラオケボックスでこの「FOREVER」を唄った。
　会社の旅行で北海道に行き、当道場特撮房シルバータイタンが来房者と会って来た折に、その人物とカラオケに行き、最初は特撮ソングばかり歌っていたのだが、途中でダンエモンに変身して、真夜さんの曲を歌おうとした折に、この「FOREVER」が真夜さんが登場する映像がはみれるようになっていたのでこの曲を選んだのである。

　ビデオでの真夜さんの映像は恐らく当時のプロモーションビデオだろう。
　欧州のとある街と見られるレトロな雰囲気の中で時に地元の子供達と軽く接する真夜さんの映像が記憶に新しかったから、映像で観た真夜さんと、今までで最も近い距離で生で観る真夜さんのが記憶と視覚の中で交互にダンエモンの脳裏に飛び込んできた。

　そんな事前の体験があってか、この曲の好きな歌詞に「二人寄り添えば　時は立ち止まり　そして永遠になる」があるが、今回それを聴いた時に、過去があって現在があり、そして未来へと繋がって「永遠」＝「FOREVER」がある、という極当たり前のことを思い起こし、「永遠」＝「FOREVER」の為に何が必要で、どうあるべきかを今一歩深く考えてみたくなった。
　ま、容易く思い浮かぶようでは「永遠」＝「FOREVER」の有難味は存在し得ないが(苦笑)。

17．Everlasting
簡易感想　これまた意外な選曲であるが、前回のツアーで同じ「My heart is longing for you」(私の心はあなたに焦がれている)の歌詞を持つ「銀色の週末」が歌われていたので、この曲が聴けたことを驚きつつも意外なほどすんなり受け入れられた。

　ここまで来るとライブの残り時間が然程多くない事を嫌でも思い知らされる。先の「FOREVER」に続いて「永遠」を思わせる「Everlasting」が続いた訳だから、嬉しくもあり、心苦しくもある。
　「今日もまた　あっという間だね　あなたとの週末　終わってしまうの」が「週末」(この日は火曜日だったが―苦笑)を「ライブ」に置き換えるとマンマになってしまう(泣笑)。

　穏やかさとリズミカルと激しさが絶妙のハーモニーで選曲されたが、楽しいあっという間の時間だからこそ、そこに共にいる時間の重視が一貫しているから、より一層今回のライブが真夜ライブの真骨頂的な物に思われた。

18．君にありがとう
簡易感想　アンコールを除けばこの曲がラストである。真夜さんが周囲のスタッフ・ライブを共に運営する仲間・ファン達への感謝を込めて作った曲であることが語られ、ライブの終わりにしきりに「ありがとう」という御礼の言葉を繰り返す真夜さんそのまんま、とも言える選曲である。

　「同窓会　～Dear My Friends～」の解説でも書いたが、この曲も「友」を対象とした曲だったので、真夜さんの唱える友情が心にしみる一方で、真夜さんを恋愛対象の「女」として見る事の出来ない寂しさが再度つきまとった(苦笑)。
　プライベートの真夜さんは「岡井真夜」として、一児の母として「女」を見る目で見るのは些か不道徳だが、ラブソングを歌う真夜さんは(曲内容にもよるが)、かつてと同じ真夜さんであって欲しいものである。
　そう言えば、この楽曲房、かつては「真夜さん」を「真夜」と表記していよな(苦笑)。
　「心の友」にして「生涯の友」との時間はこの後、程無くして終わったのだが、限られた時間だからこそ改めて「いつまでも」の気持ちを大切にしたいものである。

アンコール1．Destiny
簡易感想　アンコールにて再登場した真夜さんだったが、今回は衣装の変更は無し。しかしそれは些細な問題で、今回のアルバム『seasons』収録曲にして、その直前にマキシシングルとしてもリリースされていた、いわば同アルバムの中核とも言える曲故に唄われるであろうことは容易に想像されたが、アンコール１曲目に配置されるとは憎い演出である。

　「許されるなら　もう一度　あなたのその腕の中　身を委ねたい」の歌詞が弾き語られるのを聴いていて、結婚前の真夜ソングには少なかったこういう艶めかしい表現もかなりいたについたもんだ、と思っていた。
　この曲もまた「永遠を願って」、叶わなかったことを語っているが、求めて得られぬものを更に求めずにはいられない人間の性を思う時、「許されるなら」の仮定に応えてくれる存在は何なのだろうか？
　恐らくは存在するまい。
　存在し得ないからこそ人間の生きる意義があり、それを唄う真夜ソングには終生の楽しみが伴うことだろう。それこそまさに「Destiny」＝「運命」だろう。
　普段、嫌いであることを公言してはばからない「運命」という言葉だが、真夜ソングに熱中するきっかけとなった仙台で夜中に流されていた番組には、良き出会いの運命であったことを感謝したい。

　そんなシリアスな弾き語りの中にNGによる最初からのやり直しがあったのも、また「御愛嬌」ということで(笑)。

アンコール2．ANNIVERSARY
簡易感想　過去において何度もライブに手トリを務めてきた曲だが、「X＇masには　甘いキッスを　誕生日は　赤い花束を」の歌詞から今回はこれがトリではないことが予測されていた。

　巡る季節の中で、それ自体は一度しかない「記念日」＝「ANNIVERSAEY」が今回のツアータイトルにして、ニューアルバムのタイトルでもある『seasons』とは、一見、対を為す言葉のように見えるのだが、『seasons』＝「四季」があって年が巡り、「記念日」＝「ANNIVERSAEY」が存在することを思えば、その表裏一体性は興味深い。

　余談だが、かつてダンエモンは「九段下」で務めていた(正確にはその隣の駅である「神保町」が職場だったが、地下鉄の乗り降りは「九段下」)。
　その会社での在勤は長続きせず、「九段下」で愛する人と手を繋ぐことも、その「九段下」の近くにして名所である千鳥ヶ淵にて「桜を見に行」くこともなかったが、「東京を離れ、会社近く、という地理的要因は利用できなくなったが、それでも一度敢行したいな。」と八年前に想いを馳せた。

アンコール3．seasons
簡易感想　トリである。
　かねてよりアルバム『seasons』でもトリを務めるこの曲がライブでもトリを務めると共に、「ANNIVERSARY」の続編としての立場も、同様に務めた。

　このようなサイトを見て下さる程、熱狂的な岡本真夜ファンにはわざわざ説明することではないかも知れないが、「X＇masには　甘いキッスを　誕生日は　赤い花束を」という、「ANNIVERSARY」と共通の歌詞を持つこの「seasons」は「ANNIVERSARY」の続編曲となっており、その事実は既知のものではあったが、ライブにても改めて真夜さんの口から説明された。

　改めて聞いていると、完全な一致ではないものの、「来年の今も　こうして　あなたの隣を　歩いているだろう」や「手を繋いで」と言った歌詞にも「ANNIVERSARY」との関連が見られる。

　「まぶしいくらいの　思い出たちが　いつも支えてくれるから　笑顔でいられる　ねぇ　ありがとう　ずっと　そばにいて　強くなれる　あなたがいてくれるから」とは真夜さんが周囲の人間やファンに抱く想いを雄弁に表しているが、それは同時にファンが真夜さんに抱く想いでもある。
　真夜さんと「手」は「繋」げなくとも、またライブで会う時は同じ心では繋がれるだろう。

所感　何と言っても初めて最前列で参加出来たのが大きい。
　他のアーティストのライブでは何度か一番前やそれに近い距離を体験し、ご本人との会話や握手まで成立しているが、真夜さんはこれが今までで一番近い接近だから、真夜ファンとしてはまだまだ努力が足りない。
　ま、千里の道を一歩からである。

　改めて思ったのはやはり選曲である。
　真夜さんに限らず、ツアーは直前にリリースされたアルバム収録曲がメインで、今回もアルバム『seasons』収録曲は10曲すべてが唄われた訳だが、定番曲以外でも「愛しい人よ~remember me~」やPower of LOVE」や「Everlasting」が唄われたことや、「この星空の彼方」や「ANNIVERSARY」がアルバム収録曲に関連した順序なども絶妙だった。
　ライブの回数を重ねるともに既存の真夜ソングも増え、ニューアルバム収録曲と絡んだ選曲は難しくなるのは想像に難くないが、それでも今回の様な絶妙性は失って欲しくない。選ぶ方は死ぬ思いだと思うが。

　余談だが、今回のライブ、ダンエモンは隣に座った同年代の男性、そのまた隣に座った若い女性と歓談しながらライブを楽しんでいた。
　実はその女性、生まれながらの盲目で、御両親に伴われて着席し、ライブ終了後も御両親が迎えに来るまでその場を動かなかった。
　生まれながらの全盲は誠にお気の毒だが、すべての真夜ソングを聴覚と心で堪能してきた彼女は真夜さんがかなり歌詞を間違っていたことを指摘していた。
　勿論、ダンエモンは人間にパーフェクトを求めないし、チョットした歌詞間違いもまたライブならではのものと思っているし、何よりノリの前に気付かないものである、とは思っていた。
　女性も決して真夜さんに歌詞間違いを非難していた訳ではなく、普段CDでしか聴けない真夜さんと違う真夜さんの声と歌を聴けた喜びを露にしていた。
　思うに、楽曲とは音や言葉だけでは精度の高いプログラムに過ぎないのだろう。生きている人間が唄い、生きている人間が受け止めてこその歌なのだろう。
　彼女と再会する日があるかどうかは分らないが、全盲の不幸に負けず、持ち得る感覚すべてで感覚器一つ一つがより詳細に真夜ソングを捉え、それを堪能できる日々を送って欲しい、と願わずにはいられなかった。

　

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平成二一(2009)年六月五日　最終更新

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正式タイトル Mayo Okamoto LIVE 2008～2009 『seasons』

正式タイトル　Mayo Okamoto LIVE 2008～2009　『seasons』