KONOHANA X’mas

正式タイトル 椎名恵・大阪公演 KONOHANA X’mas Version




 
日時2015年12月7日(月)18:00開演
場所大阪府吹田市
ESAKA MUSE
メンバー椎名恵(Vo)、恩田直幸(Pf)、吉澤秀人(Gt)、井上Cico浩一(Perc)
背景  約2年9ヶ月振りの参加となる椎名さんのライブにして、(ダンエモンにとって)地元・大阪では初めての参加だった!
 椎名さん自身は審査員や、合同イベント等で関西に度々来てはいたが、単独ライブの為に大阪にやって来たのは実に十数年振りとのことだった。
 ともあれ、タイミング自体は誠に良かった。

 私事だが、前回、平成26(2013)年3月5日に下北沢440にてスプリングVelvetに参加したとき、ダンエモンは様々なことで先が見えない状態にあった。
 10年近く勤めて来た職場ではゴタゴタが絶えず、父の病も死に至る病か否かとやきもきしていた状態だった(結局父は助からなかった……)。
 その後も大阪を容易に離れられない状態が続き、更に言えばライブ当日は無職だった。一応少し前に次の職は決まっていたのでそれを機に椎名さんのHPを閲覧し、このライブの開催、それも大阪に来ることを知った(それまではけじめとして仕事が決まるまでHPは見ないことにしていた)。ゆえに今回の参加もかなりの無理をしたものだった。
 それでも平成12(1999)年のクリスマスに初めて椎名さんのライブに参加して以来、すべてのライブは関東、それも一回を除いてすべて東京での参加だったこともあり、改めて参加出来て良かったと思った次第である。

 勿論参加して悪かったライブなど存在し得ないのだが、急遽の参加だったために、開場直後まで当日券が採れるかどうかも不鮮明だったので、サイト予約者が呼び出され、次いでローソンチケット予約者が招き入れられる中、本当にやきもきしながら待つこととなった。
 最後に当日券希望者が呼ばれることとなり、チケットを購入して入場した訳だが、当日券を買って参加したのは俺一人だった(苦笑)。
内容
第1部
1.愛は眠らない Have you never been mellow
簡易感想 暗闇の中、バンドのメンバー(ピアノ:恩田直幸さん、ギター:吉澤秀人さん、パーカッション:井上”Cico”浩一さん)が楽器の前に座し、黒のワンピース、毛皮っぽいチョッキ、銀色の丸いアクセサリーがいっぱい纏った椎名さんが登場。

 デビュー直後の椎名さんが有名を馳せた水9ドラマシリーズで始まるのも何とも嬉しい。ライブ参加に間が空いたこともあったためか、「ひと言でいいから 言葉が欲しいの」の歌詞が胸に染みた。聴きたくて長く聴けなかった声・言葉・響きとの再会の嬉しさを再確認した気分だった。

また開始の直前、椎名さんが手を振ってくれたことへの嬉しさもまた一入だった(笑)。
2.29 Twenty-nine
簡易感想 定期的に出て来てくれる名曲である。ライブに参加する度に椎名さんも私も年を食って言っている訳だが(苦笑)、必ずしも「年を取った」≠「成長した」という訳ではない故に、29歳をとっくに過ぎた今、「Twenty-nine こんな大人じゃないのね 自分がなってみると」の歌詞が余計に心に刺さる(苦笑)。

 同時に、人生の中におけるただ一度の年齢が如何に重いかも伝わって来る。そういう意味でも何度も聞くことが深みを与えてくれる1曲であることが再認識させられた。
 ただそうなると少し残念なのは、同じ「29歳」という年齢に着目した1曲である「14時間遅れの誕生日」をまだライブで聴いたことが無いのが惜しまれる。
3.想い出は海に捨てた
簡易感想 「海」という歌詞はどことなく「夏」を連想するから、クリスマスにこの歌が歌われたのは少し意外だった。もっとも、「夏のまま」という歌詞から、時系列的に秋や冬であっても全然おかしくはないのだが。

 椎名ソングの中では決して目立つ方ではなく、派手さも垣間見えないのだが、椎名さんと吉澤さんが為した「Remember me」「Somebody else」の合唱は絶品だった。
4.モノマネ&トーク
簡易感想 タイトルそのまんまの通り、椎名さんによる物まねが披露された(笑)。
 個人的にモノマネタレントでなり切りが凄いのはノブ&フッキーの御二人と思っているが、モノマネはなり切り以外にも、特徴の捉え方や、本物とのギャップも笑える要素として大事である。
 椎名さんのモノマネはピンポイント的な疑似で笑いを取るもので、そのレパートリーは長嶋茂雄終身名誉監督(←道場主は巨人ファンです)と野原しんのすけミッキーマウスだった(笑)。アクションや長台詞ではなく、チョットしたことで漏れる一言二言が面白かった。

 また早口言葉も披露され、「バナナの謎はまだ謎なのだぞ」というものが披露された。
5.いつか空に届いて
簡易感想 OVA『「機動戦士ガンダム-0080-」〜ポケットの中の戦争〜』のオープニングであるのは今更言うに及ばずだが、思えばここ近年すっかりライブの定番として定着しているのが嬉しい。

 また、失業中に時間的な自由が腐るほどありながら、無収入故に金銭的不自由さに苦しんだことから「自由」というものについて幾度となく考えさせられた故に「そうよ創られた世界の中を 抜け出して 自由になりたい」の歌詞がいつも以上に響き、「今夜はANGEL」「誰でも天使のように自由になりたい」の歌詞がリフレインした。
 自由への憧れは椎名ソングの重要命題の1つかも知れないと考えさせられたひと時だった。

 また、この曲がガンダムソングである故に、椎名さんが挿入歌を2曲歌ったアニメ・『エリア88』に関するデビュー前のエピソードが話された。
 このアニメでは椎名さんは「竹中ゆかり」名義で参加しているのは有名だが、椎名さんの芸名は本名の「及川千沙」が「演歌歌手っぽい名前」と言われたことから様々なものが考えられたとのことだった。
 実際に決まった「椎名恵」、かつて使われた「竹中ゆかり」と並んで候補に挙がったものとして、市ヶ谷駅前のラーメン屋「ふじ」から取った「市ヶ谷ふじ子」と云う、それこそ演歌歌手の様な名前(笑)があったことが披露された

 最後に、今回のアレンジとして、ラストの「I never give up forever」「We never give up forever」に置き換えられていたことを述べておきたい。
6.遠い記憶
簡易感想 前述の「いつか空に届いて」同様、OVA『「機動戦士ガンダム-0080-」〜ポケットの中の戦争〜』のエンディングが続ける様にして歌われた。

 物静かな曲故、印象は強くないのだが、失業中、多くの企業から面接にすら至らず書類選考で落とされまくり、新しい職場への希望をいくつも打ち砕かれ続けた直後だったことから、「幼い日の夢」という歌詞がいつも以上に胸に圧し掛かり、「確かに持ち続けたい……。」と思わされた。
7.たぶん彼女も水の星座
簡易感想 いつものメンバーの中でパーカッションとして最も多彩な音を奏でるのが井上さんだが、この曲ではドラムを駆使していた。

 この曲はライブにおいて毎回ならずとも、時折いいタイミングで歌われるのだが、今回は椎名さんにとってダイアン・レインの思い出の曲であることと、カメリアダイヤモンドのBGMに使われたことが語られ、椎名さんの同曲に対する思い入れの深さが伝わって来た(同時に、ダイアン・レインが映画『ストリート・オブ・ファイア』にて「今夜はANGEL」の原曲・『今夜は青春(Tonight Is What It Means To Be Young)』を歌っていたことも言及された。)。
 そう聞くと、普段ダンエモンが嫌いな「All or Nothing」という言葉も奥が深く聞こえたから不思議だった。

 また振付には独特の腰振りが加えられたのであった。
8.LOVE IS ALL 〜愛を聴かせて〜
簡易感想 何かと曲に関するエピソードが語られた今回のライブだが、「説明不要な程の代表的椎名ソング」と言えるこの曲に関しては、椎名さんがデビュー前から日本語カバーを志していたことが語られた。

 この曲のお気に入り歌詞の一つに、「愛だけは越えられる すべてのものを」があるが、歌手デビューという多くの人々が一度は夢見てもなかなか叶わない(ついでを言えば叶った後の持続の方が大変)のを実現している椎名さんには「愛」と同等か、それ以上の想いを持っていることも感じさせられたのだった。
閑話休題
簡易感想 立命館大学のアカペラグループ、ウィスパーズが参加。「きよしこの夜」とサビの無い歌が披露された。
 例によって、歌詞が分からないとコメント出来ません(泣笑)。
第2部
1.ささやかな喜び
簡易感想 第2部に入り、御色直しをして椎名さん再登場。
赤い袖なしワンピースに、黒い長手袋をして、デカい真珠のネックレスを身に着けていた(下記の画像参照。但し、ライブ終了後のもので、手袋は外しています)。



 椎名さん曰く、「クリスマスを意識したもの」とのことで、ワンピースがサンタクロースを意識した物なのか、ネックレスが雪を意識した物なのかは不明(苦笑)。

 年末を控え、何かと派手な電飾や賑やかな音楽に耳目が行きがちな季節だから、「微笑んだ瞳のおだやかさには 時が流れた事確かにわかる」「Rolling days きれいものを Stayin’ still きれいなんだと 感じられる今が好きよ」という穏やかでも大切なものに裏打ちされた歌詞が普段以上に響いた。

 余談だが、この曲の演奏が始まり、曲が「ささやかな喜び」と気付いた時からダンエモンはあることに身構えた。
 それは「もし明日が よく晴れた1日なら 沈んでゆく 夕日に乾杯しよう」の歌詞で、ダンエモンはこれに合わせてスミノフの瓶を掲げたのだった(笑)。
 えっ?これを期待して予め酒を用意していたのかって?勿論ダンエモンはそんな超能力者ではありません。曲に関係なく、酒好きで、ロシア料理で一杯やるのも好きなダンエモンがスミロフの存在に気付いて当たり前の様に買っただけです(苦笑)。
2.メンバー紹介
簡易感想 ここで椎名さんと共に素晴らしき音楽を提供して下さっているメンバーの紹介があった。
 既に恩田さんを知ってからは11年になり、吉澤さん・井上さんも知ってから4年になり、前回のスプリングライブVelvetでは全員一緒に写真も撮っている(←前回のライブレポに掲載しています)。

 だが、改めて一人一人紹介されると彼等のことをほんの少ししか知らなかったことが認識させられた。
 ともあれ、大阪府民としてはメンバーと大阪に関するエピソードが語られたのが嬉しかった。

まず、恩田さんだが、メンバーのリーダーを務める恩田さんは大阪にはよく来るとのことで、酒好きの恩田さん(だけではなく、全員そうなのだが(笑))には食い倒れの街である大阪での一杯は欠かせないものとのことだった(笑)。

 ついで吉澤さんは、今回初めて太陽の塔を見たとのことで、大船観音と比べ見られたとのことだった。

 井上さんは楽器を運搬する都合上、会場がどこであれ、常時車で移動されており、今回も東京−大阪間を一人長時間運転されての来阪で、この度大坂城を初めて訪れたとのことだった。

 もうすっかり顔馴染みになった方々だが、こういった紹介とエピソードを聞けるのなら、関東・近畿以外でのライブに参加したいとの気持ちがより一層強まったというものだった。
3.カデンツァ
簡易感想 椎名さん曰く、「しっとりしてもらう。」との目的で選曲されたのがこの「ガデンツァ」だった。
 椎名ソングの中では頻繁に聞く方ではない曲だが、それだけに別れの対するリアリティある描写が改めて心に刺さる。
 殊に、「さようならと書いた手紙は すぐにでもやぶり捨ててね」の歌詞には断腸の想い出為した決断と、どこかでその現実を否定したい気持ちがない交ぜになっていてより一層の重さが感じられた。
 とかくライブには派手で賑やかな盛り上がりが求められがちだが、バラードを初めとする静かでも深みある曲もまた大切であることが再認識させられた。
4.あなたを忘れたくて
簡易感想 前出の「ガデンツァ」同様、「しっとりしてもらう」のを目的に椎名さんが選曲した曲の第2弾。
 先の「ガデンツァ」がリアルタイムの別れを描写しているのに比して、この「あなたを忘れたくて」は分かれてしばらく経ってからを描写しているのが好対照。
 改めて「ワインの栓が抜けなくて 思わず名前呼んだけれど」「新しい恋をするには 想い出が邪魔している」の歌詞に、別れから間もない時間であることが見事に描写されていることの秀逸さを感じずにはいられなかった。

 そして改めて思うのは「嫌いになれたら楽なのに」の歌詞である。確かに嫌いに慣れたら執着しないと言う意味においては「楽」にはなる(←ダンエモンは執着を忌む仏教徒にはあるまじきほど執着の塊男である)。  だが、簡単にそうはならないから辛いし、嫌いになれたとしたらそれはそれで悲しきことである、と。
5.X’masには花を抱えて
簡易感想 やっぱり、クリスマス期のライブにはこれが無いとね♪、と仏教徒なのに思ってしまう(苦笑)。  ライブのタイトル通り、そして曲名通り、クリスマスに因んで椎名さんはサンタ帽をかぶってこの曲を歌ってくれた。チョット子供っぽい演出と「大人の夜に乾杯しましょう」の歌詞とのギャップがまた一味あった気がした。
6.Silver Bells
簡易感想 例によって知らない曲なのでコメントし辛い。  前曲に続きサンタ帽をかぶって、ウィスパーズの皆さんとの合唱で歌われたこの曲の歌詞は把握し切れなかったが、派手さはなかったが、クリスマスソングらしさとスケールの壮大さが印象的だった。
7.満月
簡易感想 終盤に差し掛かり、新発売が予定されているアルバム『君と僕をつなぐもの』に収録される新曲が披露された。
 何分、聴くのは二度目だが、この時点でアルバム未収録ゆえに歌詞を正確には把握出来なかったが、「たぶん彼女も水の星座」に続いて井上さんが再度ドラムを駆使する中、軽やかでも念を押すような曲調で為された「もっともっとあなたを 知りたい 見てたい 抱きしめたい」という歌詞が特に印象的だった。
8.君と僕をつなぐもの
簡易感想 前曲に続き、新アルバム収録曲が更に一曲披露された。アルバムのタイトルと同名でもあることが紹介された。

 例によって初試聴で歌詞は把握し切れなんだのだが、タイトルにもある「君と僕をつなぐもの」に続く歌詞にして、「つなぐもの」であることを述べた「さびしさ」「むなしさ」「今生きていること」の歌詞には特に力が入っており、例えどのような形でも両者を結び付ける絆を堅めんとの意志が伝わって来るようだった。
9.エンジェルメドレー
簡易感想 4年前のAutumn Live『Blue Moon』で披露されたヒット曲メドレーが復活した!

 それまで座って酒を飲みながら聴いていたのを、椎名さんに促されて一同スタンディングする中、俗に「水9ドラマ」と呼ばれる1980年代中盤の水曜9時に放映されたドラマの主題歌がメドレーで歌われた。
 順に、「今夜はANGEL」「夜毎ハイウェイを飛ばす女」「THE WIND」「悲しみは続かない」が歌われた訳だが、代表的椎名ソング揃いの上、聖夜の静けさと甘いムードを一気に大盛況に変え、熱き盛り上がりの中にライブを終結(勿論アンコールはあった訳だが)させたことを述べることで、敢えて野暮な批評は控えたい。
〜Encore〜 Please don’t you cry
簡易感想 一先ずメンバーが退場した後、アンコールを求める手拍子の中、再々度壇上に立った椎名さんが今回のライブの最後に選んだのは、「元気の出る曲」として選曲したこの曲だった。

 ライブに参加する中、2回に1回の割合で歌われるこの曲だが、最後の最後に聴いたのは今回が初めての様に思われる。過去のライブレポや同局の解説でも触れているが、この曲はダンエモンが椎名さんのファンになることを決定付けた恩義ある曲故に、オーラスで聴けたのには一際感慨深いものがあった。

 そして井上さんの気合が入りまくったドラミングの中、最後の「Please don’t you cry Lalalalalalalalalala」は参加者全員での合唱となり、数々のライブの中でも稀有な一体感の内にライブは終結したのだった。
所感 まず率直に思ったのは、「無理をしてでも参加して良かった。」というものである。

 勿論椎名さんのライブで参加して悪かったライブなど皆無なのだが、今回は「初大阪」に加え、ライブ終了後も椎名さんが希望者全員に対してサイン・ツーショット写真撮影に快く応じて下さり、メンバーの皆さんとも充分な会話が出来、参加回数が二桁に達して尚も新鮮さを味わえたことは誠に貴重な経験だった。


 3度目になる椎名さんとのツーショット写真。勿論、自身の素顔を晒す勇気は有りません(苦笑)。

 参加時無職(正確には翌月からの就業は決まっていて、バイト生活)故に翌日のスケジュールを心配する必要が無かったので(苦笑)、長蛇の列に先を争う必要もなく、主に恩田さんと大阪で飲む酒の楽しみについて語り、今後、特に30周年記念行事への参加といつの日かまた大阪で参加することを誓い合った。
 次の職はシフト勤務なのでライブに参加し易くなると思われるが、それでも然るべき経済力と、休みたい時の休みを希望出来る職場での立場が無いと望む参加が苦しいのはここ数年嫌というほど味わってきた………故に次の職をより一層頑張らねばと思うと同時に、それ等の苦難を乗り越えて参加する喜びがあることを改めて感じた今回のライブであった。

 

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平成二八(2016)年一一月二〇日 最終更新