Autumn Live

正式タイトル 椎名 恵 Autumn Live『Blue Moon』




日時2011年9月6日(火)19:00開演
場所東京都世田谷区
下北沢440
椎名さんの衣装(写真からは見えませんが、背中がV字型にSEXYに割れ、見事な縁取りあり)


背景 実に5年振りの参加となったことに呆然としていた。椎名さんのライブに二度目に参加した年(2000年)から三度目に参加した年(2004)の間も4年半ほど空いたが、この時は東京に住みながらも生活がままならない状態だったが、この5年間は何だかんだ言って年に3回程は東京に来ていたし、経済的にも多少の余裕はあった。
 が、ライブの度に諸事情あって見送りを繰り返してきた。5年も間が空いたのは日頃の行いなのか、不運なのか、ガランダー帝国の陰謀なのか(←勿論ボケで書いている)………。

 会場の2時間前には下北沢440に到着(勿論一番乗り)し、早朝の上京から10時間以上を朝から酒を飲みながら新宿→西日暮里→渋谷→下北沢をふらふらしながら、寝不足の体を更に疲れさせながら、年に2、3回は上京しながら椎名さんのライブと縁遠くなっていたこと、ダンエモンとして参加しながら20周年、25周年に参加し損ねていたこと等に想いを馳せていた。

 下北沢440の前で、リハーサルが僅かに漏れ聞こえてくることに静かな興奮を覚えながら、数年の空白がどう埋まるか楽しみでもあり、不安でもあり、の心境で開演を待つダンエモンだった。

内容
第1部
1.愛は眠らない Have you never been mellow
簡易感想 5年振りに御尊顔を拝する椎名恵さんは勿論、同時に懐かしの恩田直幸氏、お初にお目にかかる吉澤秀人氏と井上Cico浩一氏を感無量で迎える中披露されたのは水曜ドラマでドラマ以上に注視していた「愛は眠らない Have you never been mellow」に懐かしさはヒートアップした。
 サビの「ひと言でいいから 言葉が欲しいの Have you never let’s someone else be strong」や「信じていたい 愛される時を Have you never let’s someone else be strong」では初めて聴くギター担当の吉澤氏が椎名さんにハモらせていた。

 そしてこれまた初めて聴く井上氏のパーカッションが、ドラムの横に吊るして並べた数多くの金属棒(多分、水を入れたコップの様に長さで音が違うのだろう)を撫ぜるようにして立てる音階が深みを際立たせていた。

 そしてそこに御馴染、恩田氏のピアノを加え、ライブは静かにヒートアップしていった。

2.恋人以上
簡易感想 2曲目はアルバム『VOLAGE』からで、渋い選曲である。椎名ソングは複雑な人間関係や微妙な距離感を歌った物も多いが、「どんなことでも話せる」「繕うことは何もない」関係でありながら、相手が好きであることを伏せた状態が「一番いい関係」ということが言い得て妙な感覚を堪能させてくれるが、ここはさすがに年季を感じるから、5年振りの参加でこの曲を聴けたのは非情に心地良かった。

 そしてチョット身につまされたのは「そばに居て欲しいなら 居るけど 一人になりたいなら 帰るわね」の歌詞。歌詞とは直接関係ないが、ダンエモンは数多くのライブに参加するにあたって、殆どが一人での参加だが、大抵は開演前にファン仲間と顔を合わせる(特にダンエモンを名乗ってからは)。ところがこの日に限って、開演前に誰とも顔を合わさなかった(後に合わせたが)。それゆえに「二月の交差点」じゃないが、5年という月日は様々な物を奪うのに充分な時間であることをしみじみと感じ入っていた。

3.Sea’s Barでもう一度
簡易感想 平成11(1999)年12月のモーダ・ポリティカにて椎名さんのライブに初めて参加したときに期せずしてこの曲を聴いたのが思い出された。

 この曲もまた微妙な感覚を感じさせてくれるもので、主人公は無くした恋を忘れたい一方で、新たな出会いを求めているのか求めていないのか単純には言い切れない心境を醸し出している。ある意味、京王井の頭線と小田急線が交差する下北沢は「出会いと別れ くり返す人達」の多いところだろう。さすがにこの日が金曜日でも下北沢にある440では「金曜のSea’s Bar」になるには無理があるが(苦笑)。
 だが、5年振りのこの曲との再会は、「やさしすぎない 気の利く Bartender」がいなくても「ときめきを 思い出す」事は出来た(笑)。

 ちなみに、この曲と前出の「恋人以上」はボサノヴァ式で演奏され、歌われた。

4.愛を教えて
簡易感想 ここから2曲、椎名さんが「アルバム代表曲」として選んだ曲が歌われ、アルバム『Lovers』からはこの「愛を教えて」が選ばれた。
 ライブの定番曲を前に、椎名さんが手拍子を主導したこともあって、会場内はノリノリ状態に。
 それまでの曲は静かな曲が続き、この「愛を教えて」もアップテンポで歌われる訳ではないのだが、「あなたが欲しいと望んだのは嘘じゃないから」「愛は認め合うことだよと」「太陽みたいな暖かさと 強さ」といった詞・曲から静かながらも確かな強さが感じられることに今更ながら喜ばされ、驚かされた。

5.風をつかまえて
簡易感想 今度の「アルバム代表曲」『Cherish』から。5年前に参加したライブでは最初に歌われていたのを覚えていたので、「Wind is blowing」の歌詞による静かな盛り上がり、そしてギター・ドラムも加わってのハモりも嬉しかった。

6.Masquerade
簡易感想 アルバム『Toy Box』でのカバー収録を初め、これまでものライブでも椎名さんは何度となくカーペンターズを歌っている。
 ここからの2曲もカーペンターズが歌われた。兄妹デュオであるカーペンターズは妹のカレンが、道場主が英語を勉強し始める前に亡くなっているので、残念ながら現役時代を堪能する術はない。だが椎名さんを始め、多くのアーティストに多大な影響を与えており、実際、椎名さん自身「歌手を志さしたきっかけ。」とさえ仰っていた。
 洋楽音痴のダンエモンですら、聞く度に「聞き覚えがある……」と思わされる。この「Masquerade」もそうだったから、偉大なり、カーペンターズである。

 余談だが、この曲と同名の楽曲並びにアルバムは日米で無数に存在する。「Masquerade」は日本語に訳すと「仮面舞踏会」だが、仮面舞踏会と言うものはそんなに人を惹き付けるものだろうか?ダンエモンには仮面舞踏会で付けるマスクがどうしてもS……ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!……失礼…楽曲そのものの感想に戻ります……(汗)。

 残念ながらダンエモンの同時通訳力では歌詞の魅力を充分には堪能できなかった。しかしカレンに負けない椎名さんの深みある声、何かに彷徨っているような物憂げさ、そして恩田・吉澤・井上の3氏がアイコンタクトをかわしての演奏に力を入れた盛り上げ振りに、得も言えぬ趣があった。

 参考までに歌詞の日本語訳は下記の通り。
 私達は本当に幸せだろうか?この寂しいゲームをする中で
 言うべき正しい言葉を探しているから、何らかの道を見つけるのではなく、理解することを探しているから私達はこの仮面舞踏会に敗れる
 言う事を恐れ、且つ余りにも遠くにいるから、互いに近付く事から、始まりから、私達はそれを説き伏せることに挑んだ
 しかしその言葉は方法を集め、私達はこの寂しいゲームの内部で敗れた
 あなたの目を見る度に去って見えなくなることを考え、そしてどれほど激しく挑もうと問題ではない
 何故私達がこの道にあるかの理由を理解することで私達はこの仮面舞踏会に敗れる

 私達はそれを説き伏せることに挑んだ、しかしその言葉は道を集め、私達はこの寂しいゲームの内部で敗れた。
 あなたの目を見る度に去って見えなくなることを考え、そしてどれほど激しく挑もうと問題ではない
 何故私達がこの道にあるかの理由を理解することで私達はこの仮面舞踏会に敗れる
 私達はこの仮面舞踏会に敗れる
 (翻訳担当:道場主。よって訳の正確さの程はかなり怪しい)

7.Close To You
簡易感想 この曲はアルバム『Toy Box』にも収録されていて知っていたので、純粋にこの曲が聞けて嬉しいと同時に歌詞が分かることにほっとしたりもした(苦笑)。

 他のアーティストの例で恐縮だが、このライブの前年、岡本真夜さんがこの「Close To You」と同盟のアルバムをリリースし、これに派生した曲を3曲収録している(実際に歌と呼べるのは1曲だけだが)。この「Close To You」一つをとってもカーペンターズの偉大さが分かるし、この兄妹デュオが歌うのを生で見るのが永遠に不可能なのが惜しまれる。
 「On the day that you were born The angels got together And decide to create a dream come true」の部位が詞・曲ともに何かが誕生する荘厳さに溢れている心地良さを“生椎”で聴けたのは実に思い出深い出来事だった。

 そして個人的に嬉しかったのは、この直後、5年振りにもかかわらず椎名さんに覚えられていたことだった!
 この日ダンエモンは最前列で参加していた。椎名さんはある参加者の方を指して、遠く名古屋から足を運んでいる方がいらっしゃる事を述べていたので、つい「(もっと遠い)大阪からです。」と口走ったところ、「あらっ!久し振りじゃない!!」と満面の笑顔を向けられ、体中の力が抜ける心地だった……………(恍惚)。
 顔の覚えられ易さには自信のあるダンエモンだが、さすがに5年と言う時間は不安だったが、ここに時間の脅威は雲散霧消したのだった。

8.Please don’t you cry
簡易感想 この曲に対する想い入れの深さはとそれにまつわる記憶は何度も記述して来たのでここでは触れない。
 しかし今回、ライブで何度も聴いている筈のこの曲に、いつも以上の力の入り様を感じた。繰り返される歌詞にしてタイトルでもある「Please don’t you cry」は特に力が入っていて、今椎名さんに誰か励ましたい人がいるかのようだった。
 勿論これはダンエモンの推測でしかないが、椎名さんが誰かを励ましているのなら、ライブの半年前に起きた東日本大震災の被災者も含まれていたことだろう。

第2部
1.私達のための午後
簡易感想 ライブが開催された9月6日とは暦の上では秋だが、体感的には完全に夏である。だがそれでも「やっぱり秋」を趣深く彩ってくれるこの曲を聴けるのは嬉しい。
 実際、ダンエモンが敬愛するアーティスト達の中でもこのタイプの曲を見事に歌い上げられるのは椎名さんだけだと思っている。それは単純にキャリアや年齢だけの問題ではない。
 リリース時に31歳の若さで「あぁ、そばにあなたがいる 幸せ嬉しく感じて あぁ、少し泣きたくなる これも秋の午後のせいね」なんて歌詞に深みを持たせ、歌いこなせるなんて「天性」としか言えない(←本来、ダンエモンはこの言葉が嫌いなのだが)。●KB■8や◎もい×ク▲ーバー◆のメンバーが年齢やキャリアを経たからと言って、この歌を歌えるようになるとは思えない。
 断わっておくが、これは他のアーティストを見下しているのではない。ヒットを取り易い、色っぽさやアップテンポさや派手さを追えば追う程、こういう曲から遠ざかるのも無理はなく、それを自然に歌える椎名さんが素晴らし過ぎるのである。
 「やっぱり秋は一人じゃない方がいいわ」の歌詞に応えて、次にこの曲に合う時は「一人」じゃないようにしたいが、それまでの時間この曲に会えないのも辛い気がするのだから、自信の無さが生むジレンマは心苦しいものである(苦笑)。

2.あなたを忘れたくて
簡易感想 「風をつかまえて」に続いてアルバム『Cherish』収録曲が、椎名さんの「フォークソングっぽい」という紹介を受けて登場。
 「別離の理由」「あなたは彼女に アドレスも見ずにダイヤルした」という描写が写実的かつ生々しい。それが「あなたを忘れた」い気持ちと今も愛おしい気持のジレンマをより濃厚にしているのが改めて秀逸だった。
 ちなみに携帯電話が普及し、電話帳機能が充実している昨今では家族や恋人の携帯番号さえ記憶していない事が多いが、ダンエモンはン十年前の一度も掛けなかった初恋の人を初め、学生時代に惚れた相手全員の家の電話番号を今でも覚えている(今では使われていない番号も多い)し、元カノの携帯番号(これも現在使われていない)も覚えている…………う〜ん、やはり未練たらしいだけで、自慢にはならんな(苦笑)。

3.黄昏のビギン
簡易感想 ライブの定番であるこの曲が、今回は元祖である水原弘氏バージョンで披露された。恥ずかしながらダンエモンはこの日までこの「黄昏のビギン」はちあきなおみさんがオリジナルと思っていた。
 道場主が小学1年の頃に若くして亡くなっていた水原の死の事を知るすべもないが、椎名さんの解説によると、「テンポが異なり、余り伸ばさない」とのことだった。
 調べてみるとこの曲をカバーしたアーティストはとても多く、今後もライブの度に歌われるであろうこの曲を様々なバージョンで聴いてみたい気もするし、椎名さんのオリジナルに徹して欲しい気もする。

4.一人一人WINK
5.秋と言えば?
簡易感想 ライブの背景である「秋」にちなみ、「秋の思い出」が語られた。
 椎名さんがバンドメンバー達に「『秋』と言えば?」と問うた所、恩田氏の回答は「男子校の学園祭」で、それゆえに華やかな思い出が無かったそうだ。ちなみに道場主も男子校の出身なので、あのむさ苦しさはよく分かる(苦笑)。
 次いで吉澤氏の回答は「あき竹城」で、井上の回答は「八代亜紀」という極めて不真面目な回答だった(笑)。

6.紅葉
簡易感想 ここからは秋にちなんだ童謡が歌われた。改めて様々なジャンルを歌いこなす椎名さんの幅広さが堪能出来た。

7.赤とんぼ
簡易感想 これまた秋の定番童謡である。関係無いが、この曲作曲者・山田耕作は道場主の出身大学学歌も作曲している。

8.I’m in a hurry
簡易感想 ここまで概ねまったりした曲が続いたが、ここからヒートアップ。ライブでこの曲を聴くのは初めてで批判口調や命令調の多い歌詞もライブの流れに新鮮さを与えてくれた。

9.たぶん彼女も水の星座
簡易感想 この曲はアルバム『W CONCERTO』収録曲だが、ライブにおける椎名さんの選曲は一つのアルバムに偏らず、新旧も、主題歌になった曲とそうでない曲も、実に上手く配曲(?)されている。
 「水の星座」で秋の星座は蠍座が該当し、この日の乙女座だったが(苦笑)、「Um 今なら判る あなたの Um 哀しい気持も」という歌詞が秋の物悲しさともマッチングしていた。

10.LOVE IS ALL〜愛を聴かせて〜
簡易感想 真打ちの登場である(と言うのは些かオーバーか…)。毎度のライブで中盤を占めるこの曲が今回はアンコール前のトリを務めた。
 この曲の登場は些かも疑っていなかったこのタイミングでの登場は嬉しかった。
 そしてこの曲を聴きながら、思いも掛けず5年の間が空いた事や、今後も仕事や状況次第では間が空く事が有るかもしれないことに不安を抱いていたことに対し、「逢えない夜の数だけ 信じることを覚えていくわ」「遠くても 大切なものが見えるから 生きていける」「真実の愛ならば 眠らない」という歌詞が椎名ソング原点への達帰りと、時間が空く事に対する勇気を与えられた。

Encore メドレー
簡易感想 会場のスペースゆえにアップテンポな派手な曲が歌われることが少ないのを気遣ってか、アップテンポ且つかつて“水9ドラマ”を彩った代表曲がメドレーで歌われた。
『ヤヌスの鏡』「今夜はANGEL」「夜毎ハイウェイを飛ばす女」『プロゴルファー祈子』「THE WIND」『この子誰の子?』「悲しみは続かない」の順に冒頭とサビをピックアップして歌われた。
やはり名曲は時代を越えて名曲である!!これ以上の感想は「野暮」であろう。

所感 ハレー彗星が地球に到来した昭和六一(1986)年にデビューした椎名さんは今年でデビュー25周年になる。そして四半世紀という長い時間の中で椎名さんが常に体調に留意し、体調不良によるキャンセルを一度もしていない事も知らされた。だが、ヤバかったこともあり、アロンアルファを使用しようとして、顔の近く思い切り圧迫した所、噴出した内容物が目の中に入り、マネージャーに一大事を伝え、即座に病院に駆け込んだという衝撃の出来事もあったという。
 サラリーマンをやっているダンエモンには自らの才と名と顔を資本に生業を続ける苦労は分かる様で分からないが、すべての責任を自らに帰することを続けて来たことに、すべてのアーティストに頭が下がる想いだった。

 また5年振りの再会で椎名さんに顔だけではなく、名前(ハンドル・ネーム)もしっかり覚えられていて第1部と第2部の合間に客席を巡って来た椎名さんに「ダンエモン君じゃないの!」と声を掛けられたのはまさに至福だった……(うっとり)。以前名前を呼んで下さった時のように「ダンエモンさん」じゃなくて「ダンエモン」と言う敬称の違いが「5年の時間」を埋めて有り余る「距離の近さ」を頂いた様だった……。

椎名さん(右)と楽曲房ダンエモン(左)
プライバシー保護の為、ダンエモンの画像を伊達臣人風に修正していることを御了承下さい。
 更に5年経てば椎名さんは30周年を迎える。もはや椎名さんに忘れられることはないだろうけれど、その時にタイミングよく時と場所を供に出来る為にも日々の精進を自らに誓う次第だった。その為にもまずは無職(2014年4月24日現在)を何とかしないと……。

 最後に触れておきたいのは、グッズで、東日本大震災被災者への募金とするため、シリコンのリストバンド(白と橙の二色)とブドウ型のイヤリングが売られていた。勿論リストバンドを購入したが、残念ながらこれは次回のライブ参加を待たずして断裂してしまった…。被災地の代わりに厄を背負ってくれたと思いたい所である。

 

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平成二六(2014)年四月二九日 最終更新