Message 〜明日の僕へ〜

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 岡本真夜&西垣哲二

解説 岡本真夜さんの11thアルバム『Tomorrow』の5曲目に収録。副題が同アルバム収録曲の「TOMORROW 〜明日の君へ〜」と対を成している。

 誰かを応援する真夜ソングは珍しくないが、その対象が自分自身であるのは稀有である。特に「頑張れた時の自分を 思い出して」の歌詞に代表されるように、過去と比較し、落ち込んでいる現在の自分を叱咤している意味では「この街は止まらない」の対極にある曲と言える。
 小気味いいのはこの曲に否定という概念がないことである。「心 滲んでも あの時の空を 頑張れた時の自分を 思い出して」として過去を思い出させ、「あきらめない想いが未来を紡ぐなら 止まらない痛みも きっと 今日と同じ明日はない」として未来を向かせながら、どん底である現在に対しても「ありのまま生きれない そんな現実に 誰かの腕の中で 子供のように泣いてもいいんだよ」として、ネガティブであっても否定はしない。例えて言うなら「過去=思い出すべき尽力」、「現在=休むべき雌伏」、「未来=到達すべき栄光」と言ったところだろうか?

 その点を踏まえた上で注目したいのは、この曲の歌詞には「否定」という概念がないが、「立ち止まってもいい 後ろは振り向かないで」とあるように「後退」という概念も無い(「休息」・「思い出し」はあるが)。

 どう足掻いても決して戻ることの出来ない過去と、どんなに拒んでも必ずやって来る未来と、決して立ち止まってくれない現在………そんな中で一貫して大切なのは「信じ続けて」ということではなかろうか?
 正直、ダンエモンは能力・人格・容姿・人望のすべてに自信がなく、下手に嫌いな奴よりも自分自身の方が信じられない時がある。しかし個人を何から何まで、ありとあらゆる意味において信頼するのはほとんど不可能である。だからこそは人は自分だけでも信じたいのかもしれないし、そうしないと頑張れないのかもしれない。


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平成二四(2012)年一一月二〇日 最終更新