My sin

作詞 椎名恵 作曲 羽場仁志 編曲 勝又隆一
解説 椎名恵さんの9thアルバム9曲目『ガラスの月』に収録。同アルバム収録の「あなたが消えてゆく」「陥ちたMoral」程ではないがこれもまた寂しさ漂う曲である。
 「sin」を英和辞書で引くと「宗教上の、道徳上の過ち」と出てくる。そしてその過ちの結果、愛する人を失い、「Kissはもうできないの?」という具体的好意を伴う歌詞でそれを悔いる様を描いている。
 同じアルバムに「Kissしたい」「陥ちたMoral」がある事を考えると三曲それぞれにまた新たな意義が見出せそうである。
 注目したい歌詞は「傷つけてから判ったなんて 愚かだけど」である。失って初めて有り難味がわかる、という事は世の中に往々にしてあるが、「今までのこと忘れてなんて言えないけど」の歌詞からは非が殆ど一方的に主人公にあることが、「許されるなら何もなかったように 抱かれたい」という艶かしい表現からは失ったものの大きさが伺えて興味深い。
 別の視点で見ると、「あなたの傷み、あなたの大切さも 気づいたのに」「どんな時もあなた 怒らずにいたよね」の歌詞からは「あなた」が優しい人で、主人公はそれに相当甘えた末に何がしかの裏切りから取り返しのつかない破局を招いたと見える。
 恐らくは絶望的な別れなのだろう、回復の見込めない。失ったものが大きいからこそ「この恋がすべてだわ」という風に惜別の情が悲しくも大きくでてくるのだろう。
 「そばに居れるだけで 嬉しかった私」がどのようにしてわがままになり、やさしいはずの「あなた」「影」は何を思って「ふるえて」いるのだろうか?勿論推測には限界があるが、謙虚に始まって、わがままで終わる展開は様々な恋愛途上において心しなければならない何かを教えてくれる気がする。


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