(You Make Me Feel Like)A Natural Woman dedicated to Aretha Franklin

作詞 Otis Reding 作曲 Otis Reding  編曲 小島良喜

解説 摩季ネェの14thアルバム『MUSIC MUCSLE』Disc2「RESTING MUSCLE」のトリである13番目に収録されている。
 直前に収録されている「Respect」同様、摩季ネェが尊敬するアレサ・フランクリン追悼するためにカバーし、収録したものである。個人的には「Respect」よりこちらの方が好きである。

 洋楽に疎く、英会話能力もイマイチなダンエモンが形容するならこの曲は「出会いに感謝する曲」と云えようか?
 タイトルであり、歌詞にて何度も連呼される「natural woman」とは「ありのままの私」であり、日々の鬱屈した人生に辟易していた主人公がありのまま時分、本来の自分を取り戻せたのは「I met you」(あなたに出逢った)からで、その感謝と影響の大きさを述べるように何度も「You make me feel」と連呼され、訳詞においては状況や流れに応じて「あなたがいてくれるから」とも、「あなたがそう思わせてくれるから」とも、書かれている。

 個人的に注目している歌詞は「“Till your kiss helped me name it. Now I’m no longer doubtful Of what I’m living for, ‘Cause if I make you happy I don’t need to do more,」(何のために生きるのか 今はもうためらってないわ 私があなたを幸せにしてあげること それ以上に必要な物はないから)である。
 世に、出会いに感謝する唄は星の数程あり、実際人と人の出会いが一人の人間に多大な幸福をもたらしたり、人生の大きな転機を与えたりした例は誰にもあるだろう。この曲の歌詞では、どのように出会って、どのような幸福をもたらされたかの具体的な内容は無いのだが、「Now I’m no longer doubtful」としている様が心地良い。具体的な内容が無くても、未來に迷いが無いとしていることから、恐らく主人公は現在の降伏が崩壊したとしても「you」とともに歩む未来を幸福なものに出来ると確信しているか、そのベクトルを歩むことを固く決意的でいるのであろう。そしてそんな確信を与えてくれる存在である「you」への感謝がこれでもかという程の連呼されているのであろう。

 デビュー25周年記念ライブにてこの曲は少し変わった形で歌われた。
 ライブ終盤、舞台に摩季ネェは立たず、スクリーンに摩季ネェと一人の少女・アヤカが語り合う文章が流されていた。その文章はまだ学生と思われるアヤカが誰かを庇って孤独な戦いを展開し、苦悩するのに対して摩季ネェが励ましている内容だったのだが、摩季ネェの説く励ましは誰かを責めるなら最後まで面倒を見る覚悟を持て、その覚悟が無いなら人を非難するなと云わんとするもので、摩季ソングで云えば丸で「ROCK YOU,ROCK ME」の世界そのものだった。
 確かに情報社会である今の世の中、膨大な情報を得易い一方で、間違った情報も得易く、発信し易い。しかも発信に関しては自分の正体や居場所を隠して無責任に発することが容易故、感情のまま、独善の赴くまま、自分の気に入らない相手を無責任に誹謗中傷することが横行している。当然、標的になった者の心痛は想像を絶する。
 だが、情報社会故にクローズアップされているが、この無責任に気に入らない相手を槍玉にあげる傾向は人間社会が古来から持ってきた業でもある。
 摩季ネェは昔からのこの悪しき傾向に警鐘を鳴らし、その悪質さを非難し、そんな悪しき責めから人を守る姿勢を示して来た。

 このストーリーとこの「Natural Woman」が併せて流された理由は分からない。それゆえダンエモンの推測だが、無責任に大多数が個人を口舌で斬る人間社会の暗黒面が横行するにあって、人が個人として戦い続けるのに、側に居る人の存在とその人と共に成長することの大切さを訴える意味で、二つの作品は併せ流されたのだろう。
 アレサ・フランクリンは星となってしまったが、その精神は摩季ネェが、そして多くのアーティストが受け継いでいることを述べてこの解説を締めたい。


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令和五(2023)年一〇月二六日 最終更新