作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし
解説 シングルの18枚目にリリースされた曲で、アルバムでは『MOTHER EARTH』の8枚目に収録されている。私事だが、このシングルはダンエモンにとって、発売日その日に買った最初のCDである(アルバム、シングル含めて)。シングル曲の中では影の薄い存在だが、前述の経緯もあって個人的に思いで深い曲である。
歌詞全体の流れとしては、だらだらした日常から脱却せんとする姿勢は「太陽をつかまえに行こう」と似ている。もっとも「太陽をつかまえに行こう」がアップテンポなリズムに対してこの「ネッ!〜女、情熱〜」では静かなリズムで流れるので、影が薄くなるのはやむを得ないかもしれない。
しかし、自分に云い訳して比較的平和な日常に甘えようとしても、隠し切れない本音が沸き上がる様を描いたその歌詞は「太陽をつかまえに行こう」にはない味わいも持っている。
この歌の歌詞には、「注目とする」と云うか、「身につまされる部分」がある。
それは「夢はあるの でもあてはないの わかっているの 何かしなきゃいけないの 時間もないの 若くないの それなりの現在でも失うのが怖くて」の部分である。
確実な勝算がなければ腰が重くなり、小康状態にあれば敢えて苦い薬湯を飲みたくないのは人間の常であり、しかしそれがよくない、夢の為に何かをしなければ…と考えるのもまた事実である。当然のことながらこの歌詞には直後に「真っ暗な未来なら ネッ! 光を見つけなきゃこれぐらいでメゲないで」と続けている。何故こう続くのかの答えはシンプルで、結局はそれが本音だからだろう。
「身につまされる」、と云うことはその後には自己に言い聞かせるべきこと、共感することが続く。その歌詞が「ひとり諦めるのもすべてを懸けて飛び込むのも 同じ勇気がいるなら…」であり、「そろそろ本気の恋をしようよ」に繋がるのである。ダンエモンとて順風満帆な人生を送っている訳ではない。弱気になることや変化のない日常に甘えることもある。だからこそこの歌には身につまされ、同時に勇気付けられもするのである。
愚にもつかぬことだが、摩季ソングを聴いて何も感じない人は思い切り無気力な人生を歩んでいるか、何の苦労も知らない幸せな人生を歩んでいる人ではないだろうか?
令和五(2023)年七月一九日 最終更新