置き去りの約束

解説　ファーストアルバム『SUN＆MOON』の第2曲目に収録。はっきり言って暗い(苦笑)。辛うじて別れずに済んでいるカップルだが、結局は心が冷え切っているのを自らの中で誤魔化すことができず、悔やみ、いっそ破壊してしまいたい気持ちを歌う歌詞になっている。
　　殊に「待ってても無駄だね　あなたは帰らない」や「離れて行く心の距離　どうすることも出来ない」といった諦めの境地の歌詞が変じて「置き去りの約束　打たれて流されてしまえばいい」や「あんなに愛しく思えた　その唇で　サヨナラと言って　二人の思い出　すべて　凍りつけてしまうから」といった半ばやけくその歌詞になっている点などはある意味真夜ソングらしからぬ一面でもある。
全面的な賛成はしかねるのだが、恐らく主人公は未だ「あなた」に惚れていつつも、隔たった心の距離を埋めれず見せ掛けだけの関係を続けるよりは「あなた」の為に思い切った決断＝別れに踏み切るべきだと思っているのだろう。タイトルに「置き去りの約束」ともってきて未練を示しつつも歌詞の中では「打たれて　流されてしまえばいい」としてしまっている様はその諦観ぶりに対して「それでいいのか？」とさえ言いたくなる。
どんな詐欺の天才でも自分の心を偽ることは出来ない。「置き去りの約束」にこだわる主人公の未練が事実なら、修復不可能な恋を「凍りつけてしま」いたい、「MY TRUE LOVE」を美しい内に終わらせたいという踏ん切りの気持ちもまた事実である。一見相反するふたつの思いが矛盾なく存在する人間の心の複雑さと悲しさをこの曲の中に見たような気がする。


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