PROMISE"I DO"featuring UTADA HIKARU

         作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲
解説 充電後初のそして通算で10枚となるアルバム『O』のトップに収録。加えて「歌姫」とも称される宇多田ヒカルがデュエットしていることもまた大きな話題を生んだ曲である。大正製薬の『ゼナ』のCMのBGMに使われていたことも見逃せない。
 歌詞の流れを追うと、諦観に支配された社会及び自分自身に対する皮肉とそこから這い上がらんとする静かながらも揺るぎ無い決意である。
 「『きっと時代が悪いんだ』と解った顔した大人達」「傷つく事には慣れているし 幸せになれるかもわからなくて」といった歌詞に渋々ながら同情したり身につまされる人は多いだろう、そしてそれに対する「ホントのこと知ってるくせに」は心のどこかで思いつつも口に出せない核心を突いていて、痛烈な皮肉を感じてしまう。
 そしてそんな社会や自分自身に対して「諦めない 負けない くじけない」「迷わない もう振り返らない」と歌い上げている様は誠に大黒摩季らしいものがある。それに対する答えが「生きるすべてに太陽は微笑む」「今を 明日を 閉ざす嵐も必ず晴れ渡る」であり、それを挑むべき場が「REAL WORLD」「FREEWAY」といえよう。
 ダンエモンとしてこの歌の歌詞に注目したいのは「今こそ愛が試されてる」、「今度こそ本気ではばたく」といった歌詞である。これらの歌詞から歌の主人公が何度失敗しながらも「今こそ」、「今度こそ」というNEVER GIVE UPの精神を、何度失敗しようとも這い上がる決意を失うまい、という意志を感じさせてくれ、数々の摩季ソングが与えてくれた勇気を再認識させてくれる。逆境に勇気を与えてくれる摩季ソングの中の一線を画す部分と言える。
 ちなみにデュエットする宇多田ヒカルはバックコーラスで「War is over…(戦争は終わる…その後は聞き取れず)」と歌い、その後で「I wanna(私は望む)」と連呼していることと、このアルバムがリリース(2001年12月12日)の3ヶ月前(つまりこの曲が作られている頃)にアメリカ合衆国でアルカイダによる同時多発テロが起こり、その一ヶ月後には「アルカイダを保護している」とされたタリバン統治下のアフガニスタンに対する報復戦争が仕掛けられたことは決して無関係ではないだろう。アメリカ育ちの宇多田にとっても辛い出来事であり、大黒摩季の知人もそのテロで行方不明になったと言う話をダンエモンは小耳に挟んでいる。「LIFE IS ALIVE」に続いて反戦・反テロリズムの意が含まれていることは想像に難くない。ダンエモンもまたそのような世相を否とする意志をここに「PROMISE」し、無能は無能なりにもそれに対する不断の努力を積むことを「I DO」と叫びたい。

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