リア・ウィンドウにSummer Rain

         作詞 椎名恵 作曲 いけたけし 編曲 戸塚修
解説 椎名恵さんのセカンド・アルバム『Le Port』の7番目に収録されている。軽快なリズムや、椎名さんの包容力ある曲調にほのぼのとした歌にとらえてしまいそうになるが、実態は別れを痛感する寂しい歌である。
 ストーリー的に見ると最後にともにした行動を終え、「あなた」が主人公の車から降り、「振りかえらずに」去っていく姿を車の「リア・ウィンドウ」越しに見て、雨の中に消えていく姿に雨に涙を重ね、悲しみの中終わった恋を振りきろうとする内容になっている。
 注目したい歌詞は「愛していたわ 別れる程 あなたをこわしたく なかったから」という歌詞である。
 主人公はこの恋=「私の夏」の終わりを明らかに悲しんでいることが「こんな別離をするなんて」「無理をしてた心に雨が降り積もる」の歌詞からも明らかである。
 恐らくは「あなた」の将来か、一人立ちすることによる成長を尊重して別れを「自分で決めた」のだろう。それゆえに「Rain あなたへの気持ちなら Tear 残さずに言えたから」の様に未練を断ち切ろうとの歌詞も各所に見られる。
 願わくば愛する人の為に振るった断腸の決意が主人公の後々の人生にプラスに作用する肥やしとなって欲しい物であり、「夏」が終わるなら次は秋……、是非実りの秋を迎えて欲しいものである。


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