作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 河野圭
解説 摩季ネェのアルバム『すっぴん』の5曲目に収録。曲調がどこか「我が良き友」を感じさせる。
摩季ソングには「That’s イケイケ宣言」、「永遠の夢に向かって」、「この闇を突き抜ける」、「OVERDRIVE」、「アイデンティティ」等のように大黒摩季版ボーイズ・ビー・アンビシャスまたは大黒摩季版天上天下唯我独尊と言える曲が何曲かあるが、この「ROCK & SHOUT」もカウント出来るだろう。
冒頭の「まずはソノ気になりましょう 結局この世は気分次第」だけで見れば自由と好き勝手を履き違えた曲に見てしまいかねないが、直後に「やらなきゃいけない時がある」や「逃れられない運命もある」との指摘があり、自分に正直となり、戦うべき戦いを放棄してはならないことを訴えている曲であることが分かる。
確かにこの世には思い通りにならないことが多過ぎる中、いつしかそれを受け入れることで戦いを放棄し、敗北に対して何も感じなくなる道を選んでしまうことが少なくない。
だが、そうして自分の本音から目を逸らし、自分を欺こうとしても不可能であり、その悔しさが心に溜まらない筈が無い。それゆえにダンエモンは「孤独が癌細胞になる前に」や「爆発しそうなフラストレーション」や「真っ赤な血が濁るその前に」の歌詞にドキリとさせられた。
そしてこの曲がダンエモンを惚れ惚れとさせるのは、多少こじ付けじみていても自らの個性を曲げまいとしている姿勢で、「私は全部悪くない たった一言忘れただけ 手柄を取られたわけじゃない 小さいのは譲ってあげただけ」の歌詞を上っ面だけで見ると負け惜しみにしか見えないが、少し後に「弱味を直して行くよりも 強味を磨く方が値は上がる」という歌詞があることから自らの強弱・好悪・可不可等を見据えた上で我が道を行かんとする様が徹底しているからである。
ラストに「自分自身を責めても意味が無い」とあるが、何らかの過失を犯した時に責任や原因を追求する上での自責は大切だが、すべての不条理に対してまで自己責任を追及したら絶対解決しないし、とんでもないストレスが溜まる。
それを続けたために飛んでもない鬱を抱え込んだ人間も知っているし、その発散方法を知らずに自暴自棄になったり、キレたりして取り返しのつかない事態を招いた例も耳目にしている。だから前述したように「癌細胞」、「フラストレーション」、「真っ赤な血が濁る」の表現にドキリとしたのである。
「王様の耳はロバの耳」じゃないが、偽りの笑顔で心身に疲れや鬱を溜めるぐらいなら、例え人を相手にしたものでなくても「SHOUT」(=叫び)や「Scream」(=絶叫)が確かに必要な時はあろうことをこの曲は教えてくれる。
ちなみに2010年に行われた大人解放クラブツアーでこの曲が歌われた際には参加者全員でその場足踏みを行い、摩季ネェはバスガイドや婦人警官が吹く笛でリズムを取って、同時に笑いも取ってくれた(笑)。
尚、アルバム『すっぴん』初回限定盤付属Disc2に収録されている「セルフライナーノーツインタビュー」によると「吐き出すことの大切さ」を摩季ネェはといており、自身は「溜め込んで納豆にみたいに発酵させるイメージ」を持っているらしい(笑)。
摩季ネェ自身、真面目過ぎる故に発散下手な人が下らない人間の為に苦労している様を心苦しく思う故に「全員は無理でもその場にいる人だけでも」との気持ちがライブでの足踏みに込められていることも語られていた。
摩季の間へ戻る 平成二三(2011)年七月四日 最終更新