最後のプレゼント

         作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 建部聡志
解説 別れの曲である。アルバム『PRESENTs』の11番目のこの曲は数多い別れの曲の中でも相手を思うが故にその別れを合えて悲愴なものとしている悲しい主人公の姿が目立つ。
 確かに中途半端な別れは互いの不幸である。一時深く傷つこうとも長い目で見れば癒されるまでの時間も短く、傷も浅くて済む。主人公が「二度とやり直せないほど深く私を憎んで」と懇願したりする所以であろう。
 しかし…、なんだなあ…、同じ男としてこの主人公の思い人である「あなた」には一言言いたい。

女にこんな辛い決断させるんじゃない!!

と。「さよならを決していえないあなた」らしいが、「半端な気持ちで受け止め」たり、「輝きなくした笑顔」を見せたり、中途半端な「最高のパートナー」などと言う言葉を使ったりするから、「ごめんね そんな疲れさせて」「あなたを冷たく捨てよう 新しい恋人と卑怯なラストシーン 演じるから」といった気遣いを主人公にさせている様は横恋慕しながら諦めの悪い、そして結局は受け入れの意志がないことがはっきりしながら断固とした態度の取れない想い人に強引に迫って幕切れを作った過去の自分がオーバーラップして、同情するような腹の立つような想いに駆られるのである。
 さて、ここまで書くとこの解説を見ただけの人には「あなた」が弱い人に思えるかもしれないが、主人公は「何もかも超えられる あなた」と称し、「好きな人を自分の手で 苦しめる日々」として自分を責め、「ささやかなぬくもりに安らぐ ただの女」と自分を表現している。ダンエモンの私見では弱いのは男の方に見えるのだが、結局惚れた弱みで自分を責めてしまうのだろうか?
 この歌の歌詞全体を見れば見るほど人間の強さを考えさせられずに入られない。勿論強さにも様々な形があり、この歌で語られる強さは精神的なものである。勿論その精神的な強さも一言では語れない。語れば切りがないので一つだけダンエモンの想像を語らせてもらうと、主人公と「あなた」の二人は自分の弱さを自覚し、自分にない強さを持つ相手に惹かれ合ったのではないだろうか?
 「最後のプレゼント」………できれば用意したくないものである。
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