ささやかな喜び

         作詞 椎名恵 作曲 椎名恵 編曲 戸塚修
解説 椎名ソングの中でもダンエモンが最も好む曲の一つであるこの曲は椎名恵さんのフォースアルバム『29〜Twenty nine ダブルコンチェルト』の4曲目に収録されている。
 何と言ってもこの曲の歌詞は人生の全てを前向きに受け止めて、昇華し、「喜び」としているところが魅力的である。「生きてゆく事に 速さなんてないから ありのままの 自分でいて 愛も傷みも 長い人生の中では きっとささやかな喜びね」という歌詞がその最たるものといえるだろうか。
 背景を推測すると「ふいに肩を たたかれて振り返」っと背後で「微笑ん」でいたのは恐れくかつての恋人なのだろう。そしてこれも推測の域を出ないのだが、かつては主人公も恋人も若さゆえの感情的に熱くなり易い人間だったのだろう、良くも悪くも。それゆえに「瞳のおだやかさには 時が流れた事 確かにわかる」という歌詞が含蓄に富んでくる。
 また同様に感情で突っ走るだけでなく、落ち着きを持つようになったのは主人公も同様であるがゆえに「Rolling days いい女に Stayin' still なったなんて 今は一番嬉しい言葉よ」ともなるのだろう。話が逸れるが道場主が年増好みな理由の一つに若さに任せた美しさより年齢を経た落ち着きとそこに人生の重みを加えた笑顔を好むから、というのがある。恐らく主人公は道場主が好む「いい女」である事だろう。
 それは勿論ダンエモンがこの曲を椎名ソングの中で特に好んでいる理由の一つでもある。「誰だって 疲れた心をそっと なぐさめたい そんな時もある」のを理解しつつ、「きれいなもの」「きれいなんだと 感じ」て、「愛も傷みも」全て受けとめてそこに「ささやかな喜び」を見出し、「ほんの些細な 出来事さえも今では 喜びに変える事」は若者にはなかなか難しい事である。それを知るゆえにダンエモンにはこの曲は非常に魅力的なのである。惜しむらくは背景的な考察が推測の域を完全には出ないことである。自信はあるのだが。


恵の間へ戻る