さよならは夕凪がくる前に

         作詞 麻生圭子 作曲 池毅 編曲 戸塚修
解説 椎名さんのサードアルバム『W CONCERTO』の3曲目に収録。同アルバム収録曲には別れの決意の曲が多いのだが、この曲は別れてから幾ばくかの時間を経て尚それを惜しむ様を描いている。
 海辺に佇む主人公はなくした恋を惜しんでいるわけだが、「二人で決めたことだけど ふいにあなたを責めそうで」「ひと頃のあの波を 何故逃してしまったの」の歌詞からかなり深い後悔が伺える。
 また、「あなたは遠くへ行く わたしはのこりたい」「あなたは自由になる わたしは変わらない」から別れの後に「あなた」はそれを良き選択と、主人公は誤った選択だったと捕らえていることも伺える。
 しかしながら「同じ朝を迎えることが 痛みになった いつからか」とあるところを見ると別れた時その時は主人公もさほど苦痛では泣く、むしろ二人のため、と考えていたのだろう。
 別れとは元々好ましいものではないが、上手いタイミングで行わないと傷は二倍にも三倍にもなる。そのタイミングへの後悔が「すべて捨てるには遅すぎて」で、「あの時ああすれば良かった」的な後悔がタイトルにもある「さよならは夕凪がくる前に」ではあるまいか?  もっとも、ダンエモン自身は「綺麗な別れ」など信じてはいない。綺麗な運びが計算できるぐらいなら別れやしないだろうし、別れに涙がなく笑ってできるなら最初から愛が無く、愛を演じていたからだろうという気がする。
 せめてタイミングについては告白だけについて考えたい。勝利を得るための計算ならそこに燃えるものもあるが、痛みを和らげる為の計算など上手くいったら言ったで、いかないならいかないでそれなりの別の痛みが生じるだろうから。
 チョット本来の歌詞が訴えることからはずれるのだが、本気で始めた恋でないなら下手な情が生まれる前にストップさせるべきだということだろうか?


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