0℃のTENDERNESS

         作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 ENDO MIKIKO
解説 アルバム『RHYTHM BLACK』の5番目に収録。熱さを感じさせないタイトルのせいか、いっけん、大人しめの曲に見える。が、根底にあるのは熱さである。
 正直、ダンエモン自身このページの為に丹念に歌詞を見直すまで、その熱さには気付かなかった。比喩材料が冷たいものとなっており、形骸化した恋人同志の冷めきった関係が、「明らかに眠ってる時間に帰って 起きる前にまた出て行く」「馴れ合いの過信 身を反らした酬い」「リビングはそうIce Rink」「夏に凍えてる」と言った歌詞で表現され、後半に至って、その冷めた状態からの脱却を目指す歌詞が綴られている。
 ダンエモンが注目したいのは冷えきった関係になってしまっているからこそ、その逆境を好転材料にせんとする姿勢である。それを強く訴えている歌詞が「A feezing world 氷ならば必ずA freezing love 溶けて純水になる」と言えよう。氷は確かに冷たいが、不純物なく凍りついた水は凍っている限り綺麗で、「純水」の予備的存在たりうる、として希望に繋げている様が見事である。
 そしてそれに繋がるトリの歌詞、「あなたの心の氷点も いつか融点に そして愛が流れ出す温度は 0℃のTENDERNESS」への展開もまた含蓄が深い。流れるようにたゆたう熱い関係−例えて液体から見れば0℃は確かに物が凍りつく「氷点」だが、既に冷えて久しい関係−例えて固体から見れば0℃は「融点」であり、希望の始まりでもある。
 同じ0℃をどう捉えるか?大黒摩季が多くの歌詞で訴える人生に前向きであることの大切さをそこに感じるファンは多いだろう。
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