作詞 大黒摩季&光永亮太 編曲 光永亮太
解説 摩季ネェの15thアルバム『PHOENIX』の4番目に収録されている。
少し気怠さが漂うような、別の云い方をすれば「無為自然」を漂わす様な曲調でありながら、「Boys be ambitious」的な意を訴える歌詞が特徴的である。
本題である歌詞解説に入ると、冒頭の「Shaka♬シャカ You’ll be all right Shaka♬シャカ Everything’s all right Shaka♬シャカ You’ll be all right」で、まずは自然な自己肯定への呼び掛けから入っている。
他にも、「Shaka♬シャカ この地球で Shaka♬シャカ たった一つの 君というこの奇跡を 信じることから始めよう」や「海から生まれた僕らはそう 滴 だから集まれば無限な海のように きっと 何かをまた生み出せるハズさ」といった歌詞にも表れている。
勿論余程の自信家か思い上がり者でない限り、自己のすべてを肯定するのは困難である。多くの人は自己を認め、受け入れたい一方で自分の欠点や弱点に対し内省を深め、時には自己嫌悪にも苦しみ、肯定と否定の狭間を行き来しているのだろう。
この歌の歌詞でもその辺りの苦悩は充分心得ていて、それ故に「ほらWake up in the mornig☆彡始まりの合図 起き抜けのCoffee 目を覚ますOh Baby 生まれたての波 つかまえに行こう Yeah」と云った励ましや、「昨日の深い悩みも 心縛るやるせなさも 太陽が憂いを蒸発させてくれる そして それから Yes,Come on!! Fu〜」といった大自然も費やし、「寒い日もある 台風だって来る それでも地球が回る限り 君の波は来るから」と云った良い意味での諸行無常的な好機の巡りが説かれている。
その辺りの主旨が集約されている歌詞が、「大きなうねりにのまれ 無力さを知るけれど でも 抜け出せたらAerial 苦しみは喜びのManeuver line Yes,Come on!! Fu〜」や「Shaka♬シャカ この世界を Shaka♬シャカ 変えるのは いつだって小さなChance☆ そして 勇気という名の愛なんだ」といった歌詞だろうか?
実の所、この歌を何の予備知識も聞いたとすると、摩季ネェの曲とはなかなか気付けない。
というのも、摩季ネェが歌い出すのは後の方で、最初は波音組(はねぐみ)2020の面々が歌っている。
波音組2020とは、平成30(2018)年に大黒摩季、DJ TSUYOSHI、セレイナ・アン、MOOMIN、光永亮太諸氏らと共に結成されたグループで、光永氏はこの曲の作曲、編曲を担っている。その光永氏は光永泰一朗氏の実弟で、過去に兄弟で摩季ネェのアルバム『LUXURY 22-24PM』収録の「Twisty Love」と「ALWAYS featuring Taichiro Mitsunaga and Ryota Mitsunaga」にコーラス参加している。
そして摩季ネェが参加するのは、いよいよ意志の高鳴りから自然までも呼応させんとする程気持ちが盛り上がる「Big waveよ 今来い 空までも高く 跳び超えて行け」の歌詞からである。
あたかも、波音組2020がこんこんと説いた機運の高鳴りに摩季ネェが強烈な承認を与えているかのようにダンエモンには移った。
終盤、「合言葉は今日も『OH YES!!!』 奇跡と共に奏でるMusic さあ、行くのさ自由に」という歌詞があるが、「自由」は云う程簡単ではない。それは「自らを持って由と為す」とある様に、自分だけのものである一方で、自分の力と責任だけで為されなければならないものでもある。それ故、「自由」を貫くには自信と覚悟の双方が欠かせない。
その点、この歌はラストでも「Shaka♬シャカ この世界を Shaka♬シャカ 変えるのは いつだって小さなChance☆ そして 勇気という名の愛なんだ。」として、原動力に決して大きな力が求められている訳じゃなく、何より大切なのが「君の背中に自分を重ねて Big waveよ 今来い 空までも高く 跳び超えて行け」と叫ぶ様な自分自身の在り様と意志であることを改めて教えてくれている気がする。
そして最後の最後に自己肯定を追認する様に「Shaka♬シャカ 君のままに」で締められ、波音組2020の面々が各々に「Shaka」と呟いた後に、寄せては返す波の音がすべてを呑み込んで受け入れてくれる海の大らかさで迎えてくれるような終わり方が何とも心地良いものである。
摩季の間へ戻る 令和六(2024)年九月日 最終更新