作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 徳永暁人
解説 摩季ネェの15thアルバム『PHENIX』のトリである13番目に収録されている。「BLUE Christmas」、「いとひしい人よ〜Merry Chisrmas〜」、「サンタラン Run♪Run♪」と並ぶクリスマス・ソングである。
クリスマス歌った歴代ソングが聖夜に2人切りになりたくてなれない気持ちを謳っているのに対し、この曲はタイトルに「Sharely」 (=共有的な)とある様に、多くの人々との大切な夜を共に祝う、本来のクリスマスに近いものがある。その点、日本社会のクリスマスは、「子供=上手いものとプレゼント」、「大人=デート&H」のイメージ(偏見?)が強く、日本の仏教が海外の敬虔な仏教徒から「葬式仏教」と揶揄されている様に、海外の敬虔なクリスチャンから「パーティーキリスト教」と揶揄されないか些か心配である。
ダンエモンのクリスマス観はさておき、この曲は静かながらもスケールが大きい。
冒頭で、「聖なる夜は世界中 そっと奇跡が起こる Wonderful Tonight」がとある様に、クリスチャンにとって、約2000年前に多くの者にはそれとは分からないながら「奇跡」が起きていた。
そしてその「奇跡」は個人に留まるものではなく、21世紀の現在に世界最大の信者を擁する教えとなった訳だ。ダンエモンは仏教徒で、キリスト教行事に関係のない人間だが、それでもクリスマス・イブが世界の多くの人々にとって大切な夜であることは感じている。
「笑顔と願いを持ち寄って 愛を繋ごう」や「胸にしまった気持ち それこそが宝物 忘れてしまわないで 歌い合おう」や「握りしめたその手広げて 愛を繋ごう」と云った歌詞は抽象的で、「愛」や「気持ち」の対象もはっきりしないが、逆に多くの対象に当てはめることが出来る。それも生後と愛を説くキリスト教の始まりがイエスの誕生したクリスマスに始まっていることと併せて考えると、すべての始まりがそこにあったからて云えなくもない。
一方で、この歌は曲調・歌詞ともに老若男女問わず親しみ易い。特に「サンタクロース待つ時間は長過ぎるから 振り向きたくなる様な 楽しい音 鳴らそう」という歌詞はケーキを囲んで大勢の子供達が楽しむ様子が彷彿とさせられ、余程孤独な幼少期を過ごした者でなければ一度は楽しんだことのある光景だろう。
「はずかしがりはリズムを出して おしゃべりが苦手なら ハミングすればいい」とあるように、歌えずとも、芸が出来ずとも、その場の雰囲気だけで楽しめた幼少期を思い出すが、いつしかクリスマスとは小学生高学年時には「おもちゃが貰え、上手いものが食える。」だけの冷めた目で見て、受験の時期には「勉強の敵」みたいに周囲から云われ、受験を終えると一緒に過ごす相手がいない際にからかわれるだけの材料になってしまった………。
上述した様に、仏教徒なのだから気にすることないのだが、その意見さえ、「カノジョがいないから仏教徒をたてにスルーしてるだけだろう?」と何十回揶揄されたことだろうか? まあ、物は捉えよう。昨今はクリスマスと云えば、仕事かライブイベントで、後者の場合、まきぇのディナーライブは高いが、その分思い切り酒を飲む日と化した(苦笑)。
ともあれ、ダンエモンに限らず、多くの日本人にとって本来の目的を外れて、すっかりイベント的なものとなってしまったクリスマス。時にはこの歌の様に原点に返って、それに繋がる者が如何に多いかに思いを馳せるのも大切であることをこの歌に教えられた気がする。
摩季の間へ戻る 令和六(2024)年一一月七日 最終更新