幸せが始まる場所
解説 クラッシックをカバーした椎名恵さんのアルバム『toy box〜Classical〜』の3曲目に収録。元曲はリストの「愛の夢」とヨハン・シュトラウスの「皇帝円舞曲」である。
同アルバムの歌詞カードによると、椎名さんは「リストの「愛の夢」の、ゆったりしたメロディに詞を付けてみました。イントロと間奏には別の曲でヨハン・シュトラウスの「皇帝円舞曲」を取り入れています。ワルツの楽曲がポップスになった、わかりやすい曲」とコメントしている。
タイトルにもあるように、歌詞の内容は始まりの希望と期待に満ちた喜びを温もりに溢れている。まさしく「幸せ」、ここでは明らかに結婚式そのものを意識したものになっている所にもその味が表れている。
1番の「かがむようにくちづけ」は(チャーチ式の)結婚式での先生の接吻を、2番の「指先が あなたに触れて温もりを知る」は指輪の交換を、直後の「この腕は 愛をつなぐ橋になるのね」は列席者に見送られて、腕を組んで退場する新郎新婦の描写にピッタリである。
勿論元曲の穏やかながらも力強さも欠かさないリズム、軽やかでありながら一言一言に今ある幸福を尊ぶ重みをにじませる曲調との調和も見逃せない。それらを見るにつけ、主人公の得た「幸せ」が決して楽に得たものではなく、様々な思いを乗り越えて到達したものであることが伺える。勿論それを端的に表した歌詞は「咲き誇る花のような 愛」であろう。
「手」、「くちづけ」、「指先」、「腕」、「吐息」と主人公は「あなた」との接点全てに喜びと幸福をにじませている。それらの歌詞は純粋に接触とそこから「始まる」であろう未来への希望が溢れるゆえに一辺のいやらしさも感じさせない。そしてそんな純粋さがあるゆえに「幸せが始まる場所 それはあなた」の歌詞がタイトルとも相俟って際立つものにしていることは言うまでもない。
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