白いGradation

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし


解説 シングル曲の第7弾目、アルバムは『永遠の夢に向かって』の9曲目に収録されている。VictoriaCFイメージソングであるが、ダンエモンは耳目にした記憶はない。
 同じアルバムの一つ前に収録されている「GYPSY」同様に猜疑と嫉妬に苦しんだことが背景にあるが、別れの要因が対称的である。「GYPSY」が苦しんだ末に主人公が別れを求めたのに対し、この曲では主人公の方が振られたようである。
 猜疑心に絡んでも、「GYPSY」がほぼ黒に違いないのに対して、この曲の彼氏の浮気は白の様である。どっちが振られるかは必然だな(笑)。

 歌詞の展開としては、側にいることや優しさを求め過ぎ、嫉妬とその場逃れの相手の台詞に苦しんだ果てに愛を失った主人公が、その過ちを反省し、未来への糧にする為に昇華しようとする流れになっている。
 自慢じゃないがダンエモンもかなり独占欲が強く、嫉妬深い性格をしている。自分で嫌になるぐらいである。同病相憐れむ様だが、主人公の気持ちも分かる気がする。
 しかし主人公は失って初めて分かったのだろう、目先のことに追われて一喜一憂し、大局を見誤ることの愚かさに。
 「好きだから もう追いかけない」の歌詞は、何がいけなかったのかを漸くにして悟り、しかし悟ったがために行動に移せなくなった切なさが集約されている。
 大局的にはこれでいいのかもしれないが、失って戻ってこないもののことを考えると釈然としないものが残る。いっそお馬鹿さんの方が躊躇いもなく追えただろうに…とも考えてしまうのはダンエモンもまた根本的なところでお馬鹿さんだからだろうか?

 この歌もまた最後の締めが秀逸である。「さよならも 思いでも全て抱き締めて そばにいたい にじむ Gradation」「そばにいたい」が本音であり、裸の心が「にじむ」という表現で表されているのが何とも云えない。
 互いの為に追いかけない方がいいことも確かに世の中には存在するが、本音は本音で自分自身を偽れないものである。
 ところで一つだけダンエモンに読み切れないものがある。タイトルであり、歌詞にも用いられる「白いGradation」「白い」は何を比喩したものだろうか?「摩季の間」での修業まだまだ足りず…である。

摩季の間へ戻る

令和四(2022)年六月三日 最終更新